教育内容Education

模擬患者と連携した、チームによるがん患者の意思決定支援演習(SP演習)

がん患者とのコミュニケーションの問題点・オンコロジーチームの課題を各職種の立場から議論し、 SPを含んだロールプレイを行うことで、がん患者とのより良いコミュニケーションを築くために 必要なスキルを習得し、がん診療におけるチーム医療のあるべき姿を学習する。

到達目標

  1. がん診療におけるチーム医療の現状の課題や必要性を理解しチーム医療の理想像を展望する
  2. がん診療におけるコミュニケーションスキルの重要性を理解し習得する
  3. がん患者のニーズに沿った最新医療を提供するための
    • オンコロジーチームにおけるがん診療医師の役割と機能を理解する
    • オンコロジーチームにおけるがん看護専門看護師の役割と機能を理解する
    • オンコロシーチームにおける遺伝子カウンセラーの役割と機能を理解する
    • オンコロジーチームにおける理学療法士の役割と機能を理解する

実施方法

  1. SP演習(対面形式にて実施) :
    自由討論、総合討論、SPを用いたロールプレイ実習、講演
    • がん診療上の臨床課題をそれぞれの立場から自由に述べる機会を持つ
    • 模擬患者に対して特異的臨床状況を構築し、多職種の医療関係者が仮想的に共同体験する
    • 模擬患者に対してShared Decision Makingを円滑に進められるよう試みる
    • 共同体験において各職種がどのように感じ、どのように行動するべきかをディスカッションする

事前/事後学習

  1. 事前学習 : レポート提出
    e-learningの視聴、各自で課題に取り組み、事前に検討・問題点をまとめる。
  2. 事前討論 (ZOOM形式にて実施) :
    ロールプレイ演習に向けて、シナリオの理解を深める。また学生間の役割分担の確認を行う。
  3. 事後学習 : レポート提出

実習日

  1. 2024年9月14日(土) 10:00~17:30

場 所

  1. アットビジネスセンター大阪梅田 702号室・703号室
    〒530-0002 大阪府大阪市北区曾根崎新地2丁目2-16 関電不動産西梅田ビル7階

実施報告

内 容 日 時
事前学習(ZOOM形式)
2024年8月28日(水)
2024年9月  2日(月)
SP演習 (対面形式)
2024年9月14日(土)
参加者 人 数
がんプロ院生 9 人
教 員 9 人
S P 4 人
合計 22 人
がんプロ院生/職種内訳 人 数
医 師 3 人
看護師 2 人
理学療法士 2 人
遺伝カウンセラー 2 人
合計 9 人

受講生の声

参加者(医師)

実習前、『チーム医療』と聞くと各職種が各々の分野で役割を担い、チームで共通の課題に対応していくことをイメージしていた。しかし、今回の実習を通して、他の職種に関してより理解を深めることができ、互いにフォローし合い、より良い医療を提供していくことではないかと考えるようになった。今後、よりさらにチームを意識しながら、実臨床に取り組んでいきたい。

参加者(遺伝カウンセラーコース)

学内では主に基本的なカウンセリング技術や遺伝性疾患に対する知識を試されるような形式、また遺伝に対する理解も比較的良好な患者という設定ではロールプレイ経験がありましたが、今回のSP演習ではバッドニュースを伝える、且つ、遺伝に対する理解が難しい患者という設定で、よりリアルな臨床に即した内容を経験しました。 これまで積み上げてきた自身のロールプレイに対する常識が破壊され、自分の職務を需要さ・難しさを再認識させられました。心機一転、またロールプレイに真摯に取り組もうと気が引き締まる思いでした。

参加者(医師)

日々の診療の中で、コミュニケーションに関して、主に終末期のディスカッションで悩みは尽きません。また周術期のアドバンス・ケア・プランニングは特に悩みが深く神経がすり減ることでした。そのような日々を過ごす中で、この演習の案内をいただき、少しでも考えるきっかけとなればと思い受講しました。

参加者(医師)

この多職種の研修を通して、それぞれの職種で役割は異なっていても共通して根底にあったのは「目の前の患者さんの価値観に沿った医療を行うこと」「これでよかった」と思ってもらえる意思決定支援を行うことでした。「医学的に正しいこと」と「倫理的に正しいこと」とを多職種で考えながら日々噴出する課題に取り組んでいけたらと願います。模擬患者の皆さまはじめとしたたくさんの方のご協力があり学んだことを忘れないように今後も学び続けようと思います。

参加者(理学療法士)

SP演習を通して、患者とのコミュニケーションを客観的に見てもらい、アドバイスをいただくことができたのでとても参考になりました。また、多職種で連携することの重要性を具体的にイメージすることができたので、自分の職場でも情報共有を活性化し患者により良いケアを提供していきたいと思います。

参加者(看護師) 

多職種への配慮を持ちながら、限られた医療資源を有効に活用し、患者とその家族により良い医療を提供するためには、チームをどのように運営し、支援の場面に応じて誰がリーダーシップを発揮するべきかを見極め、調整することが重要であると学んだ。

実施風景 

実施風景 
実施風景  実施風景  実施風景