文字サイズ
T
T
ページの先頭です。
メニュー

診療科・部門のご案内

放射線部

お知らせ

2023/04/01

「医療被ばく低減施設認定」を更新しました。

2023/12/01

「マンモグラフィ検診施設画像認定」を更新しました。

放射線部とは

放射線部では各診療科医からの依頼により診療放射線業務を行っています。各検査、装置ごとに放射線の特性や最先端機器の原理を理解した診療放射線技師が対応し、安全で正確な診療に努めています。

概要

一般撮影(胸部・腹部撮影、骨系撮影、歯科パノラマ撮影、骨密度測定、乳房撮影など)、CT、MRI、アイソトープ検査の他に、X線透視下での造影、血管撮影(血管内治療を含む)、内視鏡的X線透視検査、乳房生検などの特殊な検査や放射線治療も行っています。放射線部内の装置は全てデジタル画像で出力され、院内の電子カルテシステムと連携することで迅速な情報提供が可能です。

特徴

放射線部では、診療放射線技師一人ひとりの能力の向上に努めています。全員が専門の学会に所属し、部内の勉強会をはじめ、院内外での研修会や学会へ積極的に参加し、更なる知識や技能の向上に努めています。得られた情報や知識を業務に還元し、X線被ばくの低減や新しい手技の導入などを積極的に行っています。また、患者さまを大切にし、いつも快く訪れていただける部門を目指しています。

設備・施設

一般撮影室(検査室:X-5~7、X-9~10)

一般撮影室では胸部・腹部から四肢、脊椎(背骨)、歯科領域など身体のさまざまな部位の撮影を行っています。撮影に使用しているフラットパネルディテクタ(FPD)は従来のシステムよりも2倍以上高感度で高精細な画像をより少ないX線量で得られるシステムとして、患者さまへの負担軽減が図られています。画像情報は院内のネットワークを介して速やかに診療に還元されます。

装置(一部)
撮影システム RADspeedPro 島津製作所 2020年9月導入
FPD CALNEO FLOW C77 (富士フィルムメディカル) 2021年1月導入

パノラマ撮影室(検査室:X-4)

2017年4月より、朝日レントゲン製パノラマ装置:AUGE SOLIO Z CMF装置を導入しました。
パノラマ・セファロに加え、歯科用コーンビームCT(CBCT)撮影が可能です。

コーンビームCT(CBCT)撮影

歯科領域において高分解能画像の撮影が可能です。任意の断面画像・3D画像の作成が可能で、撮影後の画像データに処理を行うことで、メタルアーチファクト低減処理ができます。

CT室(検査室:CT1、CT2)

当院では、フィリップス社製Brilliance iCT Elite 256とキヤノン社製Aquilion 64の2台が稼働しています。
単純検査、造影検査を問わず積極的に即日対応を行っており、各診療科と連携して診断や治療に最適な画像を提供しています。
造影剤を使用する検査では、放射線科医師と看護師が常駐して、安全に検査をすすめています。
CT検査後は、放射線科医師(診断専門医)による画像診断報告書を提供しています。

CT検査数について
  • 21,354件(2024年)
緊急CT検査について

当院の救命救急センターは3次救急を担っています。
24時間365日、通常時に実施している検査を単純・造影検査を問わず即時対応いたします。

当院CT装置の特徴

2020年1月より、当院では患者さまの画像診断の向上を目的としてフィリップス社製全身用コンピュータ断層撮影装置(CT装置)Brilliance iCT(ブリリアンス・アイ・シーティ)を導入しました。

①しっかりと動きを止めた画像が撮影できます

0.27秒の高速回転により、従来の心臓CTでは検査が困難であった不整脈、高心拍、心拍変動の症例にも対応して撮影することができます。

②撮影に伴う患者さまの負担を軽減できます

256スライスによるワイドエリア化により、全身を約3秒程度で撮影することができます。高速スキャンと高画質を両立するとともに、患者さまの息止め時間が大幅に短くなります。手術前の検査では、手術支援画像としてさまざまな3次元画像を作成することで、形態の把握や手術計画に利用しています。

③被ばくや造影剤量を低減しながら、画質を担保します

フィリップス独自の逐次近似応用再構成技術iDose4により、検査の目的・部位・撮影条件など必要に応じてノイズ低減ができ、さまざまな臨床応用を可能とします。医療被ばく低減施設として、高画質な画像をより低い被ばく線量で撮影することができます。

④体内金属のある患者さまでも、安定した画質が得られます

全く新しい画像再構成法O-MAR(Metal Artifact Reduction for Orthopedic implants)により、金属による画像への影響を抑制した診断に有用な画像を迅速に提供します。

患者さまへ

当院のCT検査部門は、常に質の高い医療を提供するために職員の能力チェックを実施し、日常的に研修を実施するなど技能向上に努めています。また、定期的な副作用対応や寝台への移乗介助、標準予防策などさまざまな研修を実施し、患者さまに安心して検査を受けていただけるよう努めています。

MRI室(検査室:MRI1、MRI2)

当院では、フィリップス社製Prodiva1.5T(2018年4月導入)とAchieva1.5Tの2台が稼働しています。最新MRI装置の導入により、高画質化と検査時間の短縮を図ることができました。また、体内金属の影響や呼吸の動きの影響を抑える機能が追加され、DWIBSやASL(下記に解説)などの撮影が可能になりました。MRI検査後は、放射線科医師(診断専門医)による画像診断報告書を提供しています。

当日緊急検査について

当院では当日緊急のMRI検査を積極的に行っています。検査前の準備が整っていれば、日を改めずに迅速に検査を行えます。また、午前8時より検査を実施していますので、診察前に検査を受けていただいたり、日中のお仕事への支障を軽減できます。

トピックス①

BodyDWI 体幹部拡散強調画像について
2018年4月より、BodyDWI体幹部拡散強調画像(いわゆるDWIBSドゥイブスDiffusion-weighted Whole body Imaging with Background Suppression)を撮影することができるようになりました。
この検査は体幹部のがんの病巣発見や転移巣の検索、化学療法や放射線治療によるがんの治療効果判定などに用いることができ、簡易的にPET検査のような画像を撮像できることから非常に注目されている検査の一つです。特徴として、放射線被ばくがないので繰り返し検査ができ、造影剤や放射性医薬品の注射をする必要がありません。検査時間は30分程度で、検査費用はPET検査の6分の1程度で負担が少ない検査です。
他のMRI検査と同様に、MRI非対応の金属(心臓ペースメーカーなど)がある患者さまは検査できません。

トピックス②

ASLについて
2018年4月より、Arterial spin labeling:ASL検査を行っています。
この検査は脳梗塞や動脈閉塞性疾患などの血管障害において、血行動態の評価を行うことができます。脳の血行動態の評価はPETやRI、CTでも行うことができますが、MRIで行う利点として、放射線被ばくがないので繰り返し検査ができること、検査費用がPETに比べて安価であること、さらに脳血管画像(MRA)や拡散強調画像なども併せて撮影できるということが挙げられます。また、MRIによる脳の血行動態評価は造影剤を使用する方法と使用しない方法がありますが、当院では造影剤を使用しない方法で検査することができます。検査はASL以外に脳血管画像や拡散強調画像なども撮影しますので30分程度です。

トピックス③

心臓MRIについて
当院では、心臓MRI検査を年間81件程度行っています。心臓MRIでは心臓の壁運動や心筋梗塞部位、心筋虚血、冠動脈形態の評価を行うことができます。また平成30年4月より、心筋組織の性状評価を行うことができるようになり、より精度の高い診断ができるようになりました。
冠動脈の状態を造影剤を用いることなく描出することが可能です。また造影剤を用いた心臓MRI検査は、CT検査などでしか得られなかった情報を一度に取得できます。
心臓は常に動いているので少しずつしか撮影することができず検査時間が長くなります。検査時間は30~60分程度です。

2024年MRI検査件数
年間件数 9,206件
当日緊急検査件数 2,379件
心臓件数 95件
MRI検査における注意事項
  • 検査時間は検査室に入ってから出るまで概ね20~60分です。検査部位や目的、撮影条件により異なります。
  • 検査中は体を動かさないでください。比較的楽な姿勢で検査を行えるようにしますが、検査中に動いてしまうと画像がぶれて、明瞭な画像で診断できなくなります。
  • 検査中に気分が不快になったり異常を感じたりした場合は、ためらわずに連絡用ブザーを押してお知らせください。
  • 検査中はMRI装置から連続的に「トントン」という工事現場のような機械音がします。
    途中で音が変わっても故障ではありませんのでご安心ください。
  • 検査中に一定の間、息止めが必要な検査があります。担当者の息止めの合図に従ってください。
  • 安全に検査を受けてもらうために
    MRI検査では、金属類が機械に近づくと大きな力で引き込まれたり、金属類が発熱したりする恐れがあるため、金属類を外していただきます
  • 下記の体内金属はMRIに対応しているか確認をしてから検査を行います。
    原則、
    検査できない
    心臓ペースメーカー、人工内耳など 一部、適応機種を使用されている場合は、可能な場合がある。
    発熱する
    可能性がある
    刺青、ネイルアート、アイライン、アイシャドウ、マスカラ、コンタクトレンズ、スプレー式白髪染め、染毛料、増毛パウダー、暖かくなる下着(ヒートテックなど) 画像に影響を及ぼす場合があるため、MRI検査が出来ない場合がある。
    検査室内に
    持ち込めない
    磁気カード、診察券、装具、義肢、入れ歯、ネックレス、ヘアピン、メガネなどの金属類、時計、携帯電話、補聴器などの電子機器

乳房撮影室(検査室:X-8)

  • マンモグラフィ検査とは乳房のX線撮影のことです。
  • この検査で早期発見につながる微細な石灰化や、触診ではわからない小さな腫瘤などを見つけることができます。
  • 撮影は乳房を圧迫して行います。立体的な厚みのある乳房を圧迫して厚みを均一にすることで、写真が綺麗になり被ばく線量も少なくなります。
  • 痛みを伴う場合もあります。我慢できない時は無理せず教えてください。なるべく力を抜くことで痛みが軽減されることがあります。
  • 圧迫は重要ですので、ご協力お願いします。リラックスして検査に臨みましょう!
  • 当院では両側の乳房を上下方向(CC撮影)と斜め方向(MLO撮影)の2方向撮影を基準とし、検査時間は15~20分程度です。
  • 必要に応じて追加撮影を行う場合もあります。検査はすべて女性の診療放射線技師が担当しています。
注意事項
検査の際は以下の点に注意して下さい。
  • メガネやネックレス等のアクセサリー類は外してください。
  • 上半身の衣服はすべて脱いでいただきますので、ワンピースなどは避けてください。
  • 髪の毛は写真に入ると写ってしまいますので、束ねてください。
  • 検査の日は制汗剤やパウダーは使用しないでください。がんのサインである石灰化に非常に似て写ることがあります。誤って使用してしまった場合には拭き取ってお越しください。
以下の点については担当スタッフに申し出てください。正しい撮影と診断に役立ちます。
  • いぼ、ほくろ
  • しこり
  • ペースメーカー
  • V-Pシャント
  • 美容形成外科等での埋め込み(脂肪・ヒアルロン酸等の異物注入、インプラント)
  • 妊娠中、授乳中

その他、気になることがあればお伝えください。

乳房撮影装置について
  • 当院のマンモグラフィ装置はFUJIFILM社製「AMULET f」を使用しています。直接変換型FPDを搭載し、最小画素50µmの高精細でノイズの少ないマンモグラフィ画像を提供することができます。乳房の形状、乳房外組織(大胸筋など)や乳腺組織の状態など、マンモグラフィ画像の特徴を自動的に抽出・解析でき、診断に最適な濃度とコントラストを調整する画像処理技術が搭載されています。
  • この装置ではステレオガイド下乳房生検を行うことができます。確実なターゲティング(検査部位の位置決め)をサポートすることに加え、乳房とターゲットの位置関係を模式図で視覚的に確認する機能など、検査の安全性にも配慮した各種機能を搭載しています。

ステレオガイド下乳房生検
  • ステレオガイド下乳房生検は、マンモグラフィ撮影で何らかの異常が発見された場合にそれらが乳がんかどうかを診断するための検査です。
  • マンモグラフィ撮影で病変部位を確認しながら、乳房生検専用の自動吸引装置で広範囲の組織を採取します。
  • 1回の穿刺で複数の組織標本を採取することができるので、より確実な診断が可能です。傷口は縫合が不要なほど小さい(4mm程度)です。針でできた傷跡は1~2か月でほとんど目立たなくなります。
  • 当院では側臥位(横向きで寝た状態)での検査を基本としています。検査時間が1時間近くかかるため、患者さまに過度な負担を与えずに安定した体位をとれるよう心がけています。
  • 2021年3月より、デヴィコアメディカルジャパン株式会社製 乳房生検装置Mammotome revolveを導入しました。
乳房生検装置

骨密度測定室(検査室:X-3)

骨密度測定はDEXA法(2種類の強度のX線を使用した方法)で検査を行います。撮影する部位は腰椎、大腿骨近位部、前腕骨などです。撮影はベッドに寝ていただくだけで、撮影中の息止めは不要です。骨密度を測定することによって骨粗鬆症の早期発見、骨折の予防などが期待できます。また、定期的に測定を行うことで骨粗鬆症の正確な診断ができます。
当院では、最新の骨密度測定装置HOLOGIC社製Horizon C(2022年3月導入)が稼働しています。最新のX線検出器(セラミックディテクター)と高周波X線管球が搭載されており、被ばく線量は以前よりも3割程度少なくなり、体厚のある患者様でも画質がより鮮明に描出できるようになりました。

X線透視室(検査室:X-12、X-13)

X線透視室では消化管や泌尿器などさまざまな造影検査を行っています。一般撮影と同様にフラットパネルディテクタを内蔵した装置を使用し、従来装置と比較してX線被ばくを大幅に低減しつつ、良好で迅速な画像提供を行っています。2022年1月には新たに装置を更新し、これまでの造影検査のX線被ばくをさらに低減できるようになりました。

移動型X線撮影装置

当院では、CALNEO Go Plus(2021年導入)装置2台が稼働しています。病室撮影は、放射線部内のX線撮影室での撮影が困難な場合に病棟などで、装置を患者さまのそばまで移動させてX線撮影を行います。従来、移動型X線装置はCR(コンピューテッド ラジオグラフィー)カセッテ内のIP(イメージングプレート)というものに記録した画像を画像読取装置で読み取り、画像化していました。今回、新たに導入された移動型X線撮影装置はCRカセッテではなくFPD(フラットパネルディテクタ)という方式を搭載しています。FPDはCRカセッテと違い、直接X線を読み取れるため撮影するとすぐに画像化ができ、高感度・高精細な画像をより少ないX線量で得ることができます。FPDはCR カセッテのように撮影毎に交換する必要もなく、繰り返し使用できるという特徴もあります。

血管撮影室

当院では、フィリップス社製3台の血管撮影装置で、各診療科がさまざまな画像下治療(Interventional Radiology:IVR)を行っています。奈良県初となる最新式装置(Philips Clarity)により、高精細な二次元画像に加え、精度の高い三次元画像を作成することで画像下治療に必要な治療手技支援画像を提供しています。
また、従来の装置では抽出困難であった冠動脈ステントや大動脈ステントの形状も明瞭に抽出できる高い画像解像度があり、頭頸部、心臓、腹部、四肢領域の画像下治療に大きな威力を発揮します。さらに最新の画像処理機能によって、従来の被ばく線量に比べ最大80%の被ばく低減を実現させています。
当院ではさまざまな分野の治療に特化した専門性の高い医療従事者からなる多職種チーム医療を推進しており、緊急検査にも積極的に即時対応しています。

当院IVRの紹介
頭頸部領域

脳動脈瘤やクモ膜下出血に対して金属コイルを詰め、血管を塞栓する脳動脈瘤塞栓術、脳梗塞に対して血栓を溶かして血流を再開通させる血栓溶解術、頸部動脈狭窄に対してステントを留置し血管を拡張する頸部動脈ステント留置術などを行っています。

循環器領域

狭心症や急性心筋梗塞に対して冠動脈にステントを留置する冠動脈ステント留置術やFFR、iFRといった冠動脈の血行動態的有意狭窄を評価するカテーテル検査も行っています。心房細動など不整脈の治療では、心臓内部の心筋を焼灼して治療するカテーテルアブレーションや冷却して心筋を凍結させて治療する冷却アブレーション(Cryo-ABL)などを行っています。

腹部骨盤領域

主に肝臓癌に対して直接血管内に抗がん剤を投与した後、動脈を塞ぐ物質を注入して血管を塞栓する肝動脈化学塞栓療法(TACE)や肝動脈動注化学療法(TAI)を行っています。また、交通事故や骨盤骨折などの外傷性出血に対する緊急止血術(TAE)も積極的に行っています。

末梢血管領域

末梢動脈疾患で手足の血管が狭窄・梗塞した場合、バルーンやステントを使用して血管を広げる末梢血管治療(EVT)を行っています。

アイソトープ検査室(RI検査)

当院では、Cannon社製SymbiaE装置2台が稼働しています。主に骨シンチや負荷心筋シンチの検査ですが、他にもさまざまな検査を行っています。今後の高齢化社会に向けて認知症の診断は増加傾向にあります。アイソトープ検査は体内の様々な臓器の機能画像を得るために放射性医薬品を用います。検査の注意事項はお渡しする検査予約票に記載されていますのでご確認して下さい。当院では、がん治療のアイソトープ内用療法も行っています。

①脳血流シンチグラフィー

脳の血流(十分な酸素やブドウ糖を届けるため)を評価する検査です。脳の血流は脳梗塞など脳血管の要因のみならず、アルツハイマー型認知症などの脳の変性疾患でも低下することが知られており、画像解析(3D-SSP解析、局所脳血流解析)で認知症の早期発見や鑑別診断、進行度の評価を行います。

②DATスキャン(ドパミントランスポータシンチグラフィー)

脳内の黒質から線条体に向かう神経(ドパミン神経)に存在するドパミントランスポータ(DAT)を画像化し、ドパミン神経の変性・脱落の程度を評価する検査です。パーキンソン病・レビー小体型認知症ではDAT密度が低下し、画像化されます。

③心筋MIBGシンチグラフィー

脳神経領域の診断には、心臓の交感神経にアイソトープが取り込まれるかを調べることで認知症鑑別診断を行います。アルツハイマー型認知症とパーキンソン病やレビー小体型認知症などの鑑別には、この検査も有用です。自律神経障害を示す疾患では、アイソトープが心臓に集まらなくなることが知られています。アルツハイマー型認知症では心臓の交感神経機能の変化はないのでアイソトープが心筋に集積しますが、パーキンソン病やレビー小体型認知症などでは、自律神経障害によりアイソトープが心筋に集積しないので鑑別が可能です。

アイソトープ内用療法

アイソトープは診断のほかに治療にも応用されています。当院では多職種の医療従事者が連携して、主に外来でのアイソトープ内用療法を行っています。

  • 甲状腺がんの治療(131I)
  • 骨転移のある去勢抵抗性前立腺がんの治療(223Ra)
  • 悪性リンパ腫に対するゼヴァリン治療(90Y)

放射線治療室

放射線治療について

放射線治療は外科療法(手術)や薬物療法(化学療法)と並ぶ、がんの3大治療法の1つです。高いエネルギーの放射線(エックス線または電子線)を病巣に照射し、外科的な傷を身体に与えることなく治療を行います。そのため、侵襲性が低く、形態や機能を温存することができ、高齢者に対しても優しい治療です。病巣に放射線を照射すると、周辺の正常組織にも影響を与えてしまいますが、その影響を最小限にするために、照射方法を工夫・計画し治療を行います。放射線治療期間中は、通院での治療が可能であり、日々の生活の質(QOL)を担保したまま治療を受けることが可能です。
当院ではリニアック装置を用いて、通常の放射線治療から全身照射(X線、電子線)等の特殊治療、強度変調放射線治療(IMRT)や定位放射線治療(SRS、SRT)などの高精度放射線治療も実施しています。
また、疼痛軽減などの緩和的放射線治療や、脊髄圧迫による麻痺、上大静脈症候群に対する緊急放射線治療にも対応しており、初診に来られた当日に照射することも可能です。

2025年7月より、新しいリニアック装置であるバリアンメディカルシステムズ社製「True Beam」が稼働しています。奈良県初導入である治療中のリアルタイムモニタリングが可能な「ExacTrac Dynamic」、呼吸による腫瘍の動きを把握する「呼吸同期システム」、多発性脳転移などの頭蓋内腫瘍への治療に特化した「HyperArc」など、患者さまに安全でより高精度な治療を提供できるよう多種多様なシステムを備えています。(図1)

図1. リニアック室

放射線治療の流れ
①放射線腫瘍医の診察(診察室)

放射線腫瘍医が、がんの広がりや体調、ご年齢、これまでの検査結果や治療経過を総合的に確認し、治療方針を決定します。
患者さまには、放射線治療の目的や期待される効果、治療期間、治療方法、有害事象(副作用)について丁寧に説明し、十分に理解・同意を得たうえで治療を進めます。
安心して治療を受けていただけるよう、「放射線治療とはどのようなものか」、「どのように治療が進むのか」、「効果や有害事象」、「治療中の生活上の注意」などを専用のパンフレットや動画の視聴によって説明させていただきます。医師・看護師・技師が連携して、サポートします。

②治療計画用CT撮影(シミュレータ室)

放射線をあてる範囲や方向を決定するために、実際の治療時と同じ体位でCT撮影を行います。
体を安定させ、毎回同じ姿勢で治療を行うために、「シェル(熱可塑性樹脂)」と呼ばれる固定具を個別に作成することがあります。シェルは通気性のよいメッシュ状で、装着中も呼吸が苦しくなることはありません。(図2,3)
腫瘍の位置が呼吸によって動く場合には、4D-CTという特殊なCT撮影を行い、呼吸に伴う臓器の動きを解析します。この撮影は通常よりも時間を要するため、複数日に分けて実施することがあります。
シミュレーションの日程は、診察時に相談のうえ決定します。診察当日に撮影することも可能です。

  • 図2. CT装置
  • 図3. 頭頸部治療用固定具
③放射線治療計画の作成

撮影したCT画像をもとに、治療計画装置を使用して放射線の範囲・方向・線量を詳細に計画します。
最適な治療を行うために、複数のスタッフ(医師・医学物理士・放射線技師)が綿密に検討と検証を重ね、治療開始までに安全性を確認します。(図4)
この過程には、数日から2週間程度を要しますが、緊急時には当日または翌日から治療を開始する場合もあります。

  • 図4. 治療計画
④放射線治療(リニアック室)

治療計画に基づき、リニアック装置で放射線を照射します。
初回は位置確認の画像撮影や調整が必要なため、リニアック室での滞在は20〜30分程度かかります。2回目以降は10分前後で終了し、実際に放射線が当たる時間は数分です。
放射線技師が体位を微調整し、シミュレーション時と同じ姿勢を再現します。
痛みや不安がある場合は、遠慮なくお申し出ください。
治療中は患者さまだけになりますが、放射線技師が常にモニターとマイクで状態を確認しています。声をかけていただければ、すぐに応答・治療中断も可能ですのでご安心ください。(図5,6)

  • 図5. 実際の寝台位置
  • 図6. 治療中の様子
⑤治療期間中の生活

放射線治療は、ほとんどの方が通院で実施可能です。普段どおりの生活を続けながら治療を受けられます。
通常は月曜から金曜の週5回、1日1回の照射を行い、治療回数は病気の種類や部位に応じて数回〜40回程度となります。
治療時間は予約制で、初回を除き基本的に毎回同じ時間帯です。ご都合により変更が必要な場合は、スタッフが調整いたします。
放射線腫瘍医の診察は原則週1回行われ、希望があればいつでも受けていただけます。
また、体調確認は担当の放射線技師や看護師が毎回行い、生活上の不安(費用・通院・送迎・仕事との両立など)についてもご相談いただけます。

最新トピックス(2025年7月より導入された新技術のご紹介)
①奈良県内初導入 ExacTrac Dynamic 〜治療中のわずかなズレをリアルタイムで確認〜

ExacTrac Dynamicは、放射線治療中に患者さまの体の位置や微細な動きをリアルタイムで検出できる最新システムです。
治療中のわずかな動きも正確に把握し、照射を自動的に調整することで、常に狙った位置に放射線をあてることが可能になります。
このシステムでは、体の表面を光でスキャンし、さらに赤外線による熱分布情報とX線画像を組み合わせることで、0.1mm単位の精度で位置を確認します。(図7, 8)

主な特徴
  • 0.1mm単位の高精度な位置確認が可能
  • 呼吸などの自然な体の動きを検知し、必要に応じて照射を自動制御
  • 頭頸部・体幹部などさまざまな部位の照射に対応
  • 強い固定具を用いず、自然な体勢での治療が可能
  • 図7. ExacTrac Dynamic
  • 図8. モニタリング
②マーカーレス治療 〜体に印をつけない、より快適な放射線治療〜

当院ではExacTrac Dynamicの技術を活用し、皮膚に印(マーカー)を書かずに放射線治療を行う「マーカーレス治療」を導入しました。
従来は、照射位置を合わせるために皮膚にマーカーを書いていましたが、この新技術の導入により不要となりました。(図9)
印がないため、入浴やスキンケアで消える心配がなく、普段どおりの生活が可能です。
また、肌に印がないことで、見た目や精神的なストレスも軽減されます。

主な特徴
  • 治療位置合わせのための皮膚マークが不要
  • マーカーの消失を気にせず入浴・生活が可能
  • 肌に印がないことで、他人の目を気にする必要がない

図 9 マーカーレス治療

ただし、照射部位や照射方法によっては、皮膚マーカーを使用する場合があります。

③奈良県内初導入 HyperArc 〜脳腫瘍に対する高精度・短時間の定位放射線治療〜

HyperArcは、脳腫瘍などの頭部病変に対して、高線量をピンポイントで照射する定位放射線治療を自動化・短時間で実現する最新システムです。
複数方向から放射線を集中させることで、がんのある部位にだけ高線量を与え、周囲の正常組織への影響を最小限に抑えます。(図10)
さらに、複数の脳転移を1回の治療で同時に照射できることが大きな特徴です。

主な特徴
  • 数の脳転移を同時に1回で照射可能
  • 自動化により、準備や照射時間を短縮
  • 高精度な照射により、正常組織への影響を最小限に抑制

図 10. HyperArc

④呼吸性移動対策 〜呼吸による臓器の動きをコントロール〜

胸部や腹部の臓器(肺・乳房・肝臓など)は、呼吸に伴って上下に動きます。この動きにより、腫瘍の位置がずれてしまうことがあります。
呼吸性移動対策では、この「呼吸による臓器の動き」を把握し、照射タイミングを制御することで、正確な位置に放射線を照射します。
患者さまの呼吸状態をモニターで確認し、呼吸の特定の位置や息止め状態に合わせて照射する技術を用いています。(図11)

主な特徴
  • 呼吸の止まった瞬間や一定のタイミングで照射可能
  • 動く腫瘍にも正確に照射が可能
  • 治療前の呼吸練習によって安定した治療を実現

図 11. 呼吸同期照射

⑤左乳房 深吸気息止め照射(DIBH) 〜心臓を守る放射線治療〜

左乳がんの放射線治療では、通常呼吸のまま照射すると近くにある心臓にも放射線があたってしまうことがあります。
DIBH(Deep Inspiration Breath Hold:深吸気息止め照射)は、深く息を吸って胸をふくらませ、息を止めた状態で照射することで、乳房と心臓の距離を広げ、心臓への被ばくを減らす方法です。
研究により、心臓への被ばく量を減らすことで将来的な心疾患のリスクを低減できることが報告されています。

主な特徴
  • 呼吸性移動対策のひとつとして実施
  • 心臓への放射線量を大幅に低減
  • 将来的な心血管疾患リスクを抑制
よくあるご質問(Q&A)
①治療について

Q1. 治療は痛いですか?
A. X線撮影(レントゲン)と同じで、放射線が体にあたっている間に痛みを感じることはありません。

Q2. 1回の治療時間はどのくらいですか?
A. およそ10〜20分です(入室から退室まで)。
高精度照射(定位照射、呼吸同期照射など)の場合は、20〜40分かかることもあります。

Q3. 治療は何回くらい必要ですか?
A. がんの種類・部位・目的によって異なります。

  • 一般的な外部照射:週5回×3〜8週間(15〜40回程度)
  • 定位放射線治療(SRS/SBRT):1〜5回
  • 緩和照射(痛みの軽減など):1〜10回程度

最適な回数は、画像や全身状態をふまえて医師が判断します。

②生活について

Q1. 治療中に仕事や家事は続けられますか?
A.多くの方が仕事や家事を続けながら通院されています。
ただし、体調や疲労の程度により無理をせず、勤務時間や内容を調整してください。

Q2. 入浴や運動はしても大丈夫ですか?
A. 基本的に入浴・シャワーは可能です。
当院では皮膚マーカーレス治療を導入しているため、印が消える心配はありません。
皮膚が赤くなった場合は強い摩擦を避け、保湿を心がけてください。

Q3. 食事制限はありますか?
A. 原則制限はありません。普段通り、バランスの良い食事を心がけてください。
ただし、頭頸部照射では口内炎・味覚変化、腹部や骨盤照射では下痢などの症状が出る場合があります。刺激物を控えてください。

Q4. タバコやお酒は控えた方がいいですか?
A. タバコは治療効果を妨げるため禁煙をおすすめします。
お酒については、体調や照射部位により異なりますので、担当医にご相談ください。

③副作用について

Q1. 副作用にはどんなものがありますか?
A. 放射線の影響はあたった部位にのみ現れます。
主な例は以下の通りです:

  • 皮膚:赤み・乾燥・かゆみ
  • 全身:だるさ・倦怠感
  • 頭頸部:のどの痛み・口の渇き・味覚変化
  • 胸部:食道の違和感、まれに放射線肺炎
  • 腹部:下痢・吐き気
  • 骨盤:頻尿・排尿時の違和感

多くは一時的で、治療後に回復していきます。症状が強い場合は遠慮なくご相談ください。

Q2. 治療中に体調が悪くなった場合は?
A. その場でスタッフにお声がけください。
自宅で悪化した場合は、診療時間内に治療部門、夜間・休日は救急外来へご連絡ください。

④サポート・問い合わせ

Q1. 治療に関する不安はどこに相談すればいいですか?
A.診察時は主治医・看護師へ、治療中は放射線技師にお声がけください。
皮膚ケアや栄養相談、就労支援については多職種チームで対応しています。
些細なことでもご相談ください。

Q2. 治療予約や変更の問い合わせは?
A. 放射線部門の受付または担当技師にご連絡ください。
体調不良や急用の際も、当日朝にお知らせいただければ柔軟に対応いたします。

放射線治療の安全管理・品質保証について

当院では、すべての患者さんに安全で正確な放射線治療を受けていただけるよう、厳しい管理体制を整えています。
放射線治療は、わずか数ミリの誤差が治療効果に影響するため、装置や治療計画の精度確認を日々行い、チーム全体で品質を守っています。

①治療装置の点検・管理

放射線を照射する装置(リニアック)は、毎日・毎週・毎月・毎年と、複数の段階で点検を行っています。(図12)
放射線技師が線量(あてる放射線の量)や照射位置の精度を確認し、問題がないことを確かめてから治療を行います。
少しでも異常が見つかった場合は、使用を止めて点検・調整を行い、常に安全な状態を保っています。

図 12. 装置の測定

②チームによる確認と複数のチェック

放射線治療は、放射線腫瘍医・放射線技師・看護師・医学物理士など多くの専門職が協力して行います。治療計画の作成から照射まで、複数のスタッフが内容を確認し、照射位置・線量・患者さんの識別などを何重にもチェックしています。
これにより、人為的ミスを防ぎ、常に正確な治療を提供できる体制を整えています。

③継続的な安全対策

当院では「放射線治療品質管理委員会」を設置し、治療の安全性や装置の運用状況を定期的に確認しています。
医師・技師・看護師が一緒に話し合い、改善点や注意事項を共有し、より安全な治療を目指しています。また、スタッフは院内外での学会や講習会などに積極的に参加し、最新の知識や技術について日々学んでいます。(表1)

表 1. 放射線治療に関わる専門医・認定資格取得者数

④第三者評価・認定施設としての取り組み

当院の放射線治療部門は、専門機関による第三者評価と認定を受けた施設です。(図13, 14)
これは、治療の安全性・精度・体制などが全国的な基準を満たしていることを示しています。

  • 日本放射線腫瘍学会(JASTRO)認定施設
  • 日本放射線腫瘍学会第三者出力線量評価認定施設
  • 地域がん診療連携拠点病院としての放射線治療体制
  • 医学物理士・品質管理士による品質保証プログラムの実施

これらの認定を通して、「外部からの客観的な評価」を受け、放射線治療の質と安全性を常に高い水準に保つことを目指しています。
  • 図13. 日本放射線腫瘍学会線量評価認定施設
  • 図14. 第三者機関による測定実施証明書
⑤安心して治療を受けていただくために

治療に関して心配なことや不安がある場合は、いつでもスタッフにお声がけください。
「正確で安全、そして安心できる治療」を目指して、私たちは日々取り組んでいます。

図 15. 治療部門スタッフ

当院の放射線治療は日本放射線腫瘍学会の施設認定を受けています。

放射線治療件数(2024年実績)
新規患者数 256人
強度変調放射線治療 67件
全身照射 2件
定位放射線治療 頭部 14件
体幹部 15件

検査数(2024年)

一般撮影 CT MRI 治療 RI TV 血管
37,654件21,354件9,206件5,492件601件649件1,016件

スタッフ紹介(2025年4月現在)

診療放射線技師 25名(男性19名、女性8名)

専門認定技師資格所有者の人数

医療に対する国民の満足と安心に貢献し、福祉と社会の発展に寄与することを目的とした各学会や各認定技師機構により設立された機構団体の資格を積極的に取得しています。

専門認定資格一覧 人数
医学物理士 3名
放射線治療専門放射線技師 4名
放射線治療品質管理士 1名
磁気共鳴専門技術者 2名
X線CT認定技師 2名
救急撮影認定技師 3名
放射線管理士 2名
放射線機器管理士 2名
肺がんCT検診認定技師 1名
検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師 6名
第1種放射線取扱主任者 2名
日本DMAT隊員 1名
日本血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師 4名
AI撮影認定技師 1名
衛生工学衛生管理者 1名
被ばく相談員 1名
医療情報技師 2名