臨床検査部では、患者さまに迅速かつ的確な医療を受けていただくために、精度の高い検査データを提供しております。また、検査内容に関するご相談、輸血医療における適正な製剤使用の推進や がんゲノム検査や 病理解剖にも関与し、医療の質の向上に努めています。さらに、チーム医療の一員として、 医療安全 や院内感染対策 、栄養サポートなどを支援し、 より安全、安心な医療環境を守っています。
臨床検査部は、大きく生理機能(生体)検査部門と検体検査部門に分かれ、検体検査部門はさらに中央採血部門、血液・一般検査部門、病理検査部門、輸血部門、微生物検査部門で構成されています。
主な検査業務は以下のとおりです。
臨床検査部は、臨床検査技能の向上と職能の拡充を目標に掲げ、内外の勉強会や学会へも積極的に参加し、意欲的に業務に取り組んでいます。認定微生物検査技師、細胞検査士、超音波検査士など関連学会の認定資格を取得することで、専門性の高い高度な技術と知識の習得に励んでいます。さらに、検査専門分野の検査施設認定、教育研修施設認定なども取得しています。
検査部門それぞれのスタッフは、さまざまな情報を幅広い視野で活用し、専門分野にこだわることなく、病院内でのいろいろな専門職と連携を図り、院内感染対策、安全管理対策などのチーム医療へも貢献しています。
臨床検査部は、部門検査システムとして生理機能検査管理システム、臨床検査総合管理システム、病理検査管理システム、輸血検査業務管理システム、中央採血管理システムを擁し、病院電子カルテシステムと連携することで、迅速で信頼性の高い検査データを提供しています。
中央採血室では、外来患者さまの採血や尿検査を行っています。
検査(採血・採尿)のある方は、13番へお越しください。
月~金曜日 7:45~17:00
土曜日 8:25~12:30
1~6番の採血台からお呼びします。
―注意事項―
以下のような場合は、お申し出ください。
採血後5分間は、採血したところを揉まずに、しっかり押さえてください。
血液や尿、胸水、腹水などの体液を化学的に分析する検査です。たんぱく質、酵素、糖質、脂質、含窒素成分、電解質(ナトリウムやカルシウム)炎症マーカーなどを測定します。
体の免疫反応を調べる検査です。ヒトが細菌やウイルスに感染した時に作られる、血液中の抗体を調べることで、どのような病原菌に感染したのかが分かります。イムノアッセイ(抗原抗体反応)により、微量に存在する内分泌ホルモンや腫瘍マーカーなども測定します。
血液中の細胞(赤血球や白血球など)を調べることで、血液の病気を調べます。
大きく分けて血球検査と凝固検査があります。
尿中や便中、胸水・腹水などの体液中の病的成分を簡易的に検出したり、顕微鏡を用いて微生物や細胞成分などを調べています。
病理検査部門は、患者さまの病巣組織の一部を採取し顕微鏡で観察、癌かあるいは他の疾患かを診断する部門です。
胃カメラや大腸内視鏡検査では消化管粘膜面を内科医や外科医が観察しながら異常を探します。そして「おかしい」と思った部分を小さなはさみで採取します。(生検といいます)。病理部門では、患者さまから採取したこの小さな検体を加工し、1mmの1/300の薄さ(3-4μm)の厚みにスライスし、病理医が顕微鏡で観察します。そして胃癌や大腸癌なのか、又は、良性の潰瘍や炎症やポリープなのか、を診断します。病理部門は臨床各科の先生方と共同で、正確な診断、適切な治療法の選択ができるように働いています。職員が直接、皆様とお話することは少ないのですが、病院の中央部門として極めて重要な役割を担っております。
また近年は様々な遺伝子診断が行われていますが、特に癌の遺伝子診断において、癌細胞の選別、抽出を行い、検査の精度を高める重要な役割を果たしています。
材料によって大きく5つに分けられます。
病変のごく一部を小さく採取して加工し、顕微鏡で診断します。大きく切除する必要があるのか、薬で治療するべきなのかを決定します。炎症の強さの判定や病原体の同定も行います。
喀痰、尿、胸腹水といった液体の中に浮遊している細胞や子宮がん検診で子宮から採取した細胞をガラスの上に塗布して、染色して顕微鏡で観察し、癌細胞の有無を見分けます。
乳腺・甲状腺の腫瘤では細い針を刺してほんの少し細胞を採取して同じようにガラスに塗って癌細胞の有無を見分けます。
手術で摘出された臓器はホルマリンで固定したのちに肉眼的に充分に観察して、十分な数の標本を作製して検査します。術前の診断が正しかったのかどうか、また、癌であるならば、取り残しなく完全に摘出されているかどうか、周辺のリンパ節へ転移がなかったかどうか顕微鏡を用いて詳しく検索します。
術後の抗がん剤治療が必要な場合は、その薬剤の選択のための追加検査も行います。
必要に応じて、癌の遺伝子検査も行います。
お預かりした臓器、癌細胞は長期保存が可能な形に加工されておりますので、診断の後も長期間保管しております。当院においては開院以来(1999年~)の全標本を保管し、速やかに遺伝子検査、追加検索ができるようにしております。
今日、手術は「体への負担が少なく」「できるだけ小さな傷で」「できるだけ小さく」切除することを目指しています。しかし小さく切り取ることは、腫瘍からギリギリのところでの切除を目指すことになり、取り残しの危険を伴います。このために、手術中に癌が完全に切除しきれているかどうかを診断するのが術中迅速凍結切片診断です。断端の組織を-80℃で急速に凍結して標本を作製します。この方法だと15分程度で結果が出せるので、手術中の執刀医はその結果をもとに追加切除することができます。術中迅速凍結切片診断は時にその手術の成否にかかわる決定的な鍵を握る事が多く、大手術を行う場合には必須の検査と言われてきています。
極めて難解な疾患で種々の治療の甲斐もなく又は予期せぬ経過で死亡した場合には、ご遺族の承諾をいただいて病理解剖を行います。解剖の結果は院内のすべての部署の医師が集まる臨床病理検討会で討論され、病院全体で疾患の本態の解明や診断の的確さや治療の効果を真摯に検討します。
このように病理科は、院内のほぼ臨床全科に対応して、頭のてっぺんから足の先までの組織を顕微鏡を用いて丹念に検査し、治療方針の決定に大きな役割を果たす「病理診断」を提供する部署です。
内容 | 件数 |
---|---|
組織診断 | 5,565件 |
細胞診断 | 3,755件 |
病理解剖 | 9件 |
迅速組織診断 | 256件 |
迅速細胞診断 | 42件 |
【顎下腺腺様嚢胞癌の染色標本】
*各検査の詳しい内容は検査のてびきNO.25をご覧ください。
輸血管理室では、安心して輸血療法を受けていただけるよう、院内の輸血療法に関する業務全般を集中的に行っています。様々な検査(血液型・不規則抗体スクリーニングなど)や臨床への情報提供を行い、24時間体制で患者さまに適した輸血製剤の確保・供給をしています。
さらに、赤十字血液センターと綿密に連携し、必要な血液製剤の確保や重篤輸血副作用の原因究明に努めています。
微生物検査室では、患者さまの喀痰や便、尿などから感染症の原因となっている病原菌やウイルスを見つけ出す検査を行っています。併せて、見つかった病原菌に対して、有効な抗菌薬は何かを調べる検査も行っており、薬剤耐性菌(抗菌薬が効きにくい菌)などの検出状況を常にチェックし、ICT(院内感染対策チーム)と連携して院内感染の防止に努めています。また、最新の遺伝子検査装置を用いて、COVID-19などの感染症診断に関する検査も行っています。
*各検査の詳しい内容は検査のてびきNO.24をご覧ください。
心臓や肺、脳といった人体の臓器や機能に異常が無いかを調べる検査です。患者さまに対し電極を装着または検査機器を体に当てて検査を行います。また、患者さまの努力を必要とする呼吸機能検査もあります。
月~金曜日 8:00~17:00
土曜日 8:25~12:30
心臓の電気信号を測定する検査です。体に電極を装着し、心電図波形を検出することで不整脈や波形の変化を確認することが出来ます。また、1日分の心電図が記録できるホルター心電図や、運動負荷をかけながら行う検査等があります。いずれも痛みを伴う検査ではありませんので、お子様でも安心して検査を安心して受けていただけます。各検査の詳細については、下記を選択していただけると内容が表示されます。
肺機能や気管支に異常がないかを調べる検査です。肺の機能を正確に測るために、おもいきり息を吸い込んだり吹き出したりしていただく必要 があります。患者さまの努力がとても大切な検査ですので、ご理解とご協力をお願いします。 各検査の詳細については、下記を選択していただけると内容が表示されます。
探触子(プローブ)と呼ばれる検査装置をゼリーを塗った体の表面にあて、探触子から出力される超音波を用いて、心臓や血管、肝臓などの腹部臓器から、表在の腫瘤や関節などまで幅広く調べられる検査です。また、食道から心臓を観察する経食道心臓超音波検査も医師と協力して実施しています。検査の詳細については、下記を選択していただけると内容が表示されます。
主に脳や神経の機能を調べる検査です。脳波検査は頭に、神経伝導速度検査は手足に電極を装着して微弱な電気信号を検出し検査を行います。脳波検査(小児用)の場合、睡眠を誘発する薬剤を使うこともあります。また、神経伝導速度検査は電気刺激を用いて検査を行うため、多少の痛みを伴う検査となります。各検査の詳細については下記を選択していただけると内容が表示されます。
上記の検査以外にも手足の動脈に閉塞や狭窄が無いかを調べる血圧脈波検査、体内の水分・脂肪量・筋肉量を調べる体成分分析検査、自律神経に乱れがあるか否かを心拍数から調べるCV R-R 検査検査と呼ばれる検査も行っています。各検査の詳細については下記を選択していただけると内容が表示されます。
内容 | 件数 | 内容 | 件数 |
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安静時心電図 | 9,452件 | 心臓超音波 | 3,952件 |
階段昇降負荷 | 82件 | 腹部一般超音波 | 2,808件 |
トレッドミル負荷 | 86件 | 乳腺超音波 | 1,367件 |
起立試験 | 48件 | 血管超音波 | 1,082件 |
ホルター心電図 | 513件 | 脳波 | 105件 |
携帯発作時心電図 | 5件 | 脳誘発電位 | 7件 |
呼吸機能スクリーニング | 3,094件 | 神経伝導速度 | 124件 |
気管支可逆性 | 327件 | 睡眠時無呼吸 | 136件 |
呼吸機能精密 | 138件 | PSG | 51件 |
呼気ガス分析 | 778件 | 聴力検査 | 4件 |
呼吸抵抗 | 436件 | 新生児聴力 | 0件 |
心臓カテーテル補助 | 8件 | 術中神経モニタリング | 33件 |
部員構成(2025年4月現在)
臨床検査技師 | 21名(うち4名有期職員) |
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科長代理 | 2名 |
主任 | 4名 |
有期看護師 | 1名 |
学位 | 人数 |
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博士(医学) | 1名 |
細胞診断 | 1名 |
認定機関 | 資格・認定名 | 人数 |
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国家資格 | 臨床検査技師 | 21名 |
看護師 | 1名 | |
有機溶剤作業主任者 | 2名 | |
特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者 | 1名 | |
日本衛生臨床検査技師会 | 日本衛生臨床検査技師会 | 2名 |
認定病理検査技師 | 1名 | |
日本衛生臨床検査技師会 | 緊急臨床検査士 | 2名 |
二級臨床検査技師(血液学) | 1名 | |
二級臨床検査技師(病理学) | 1名 | |
二級臨床検査技師(微生物学) | 2名 | |
二級臨床検査技師(循環生理学) | 1名 | |
日本超音波医学会 | 超音波検査指導士(血管) | 1名 |
超音波検査指導士(腹部) | 1名 | |
超音波検査士(循環器) | 3名 | |
超音波検査士(消化器) | 3名 | |
超音波検査士(血管) | 2名 | |
超音波検査士(体表臓器) | 1名 | |
血管診療技師認定機構 | 血管診療技師 | 1名 |
日本心エコー図学会 | 認定専門技師 | 1名 |
日本脳神経超音波学会 | 認定技術師 | 1名 |
日本輸血・細胞治療学会 | 認定輸血検査技師 | 2名 |
細胞治療認定管理師 | 2名 | |
I&A 視察員 | 1名 | |
日本臨床細胞学会 | 細胞検査士 | 4名 |
国際細胞学会 | 細胞検査士 | 2名 |
日本乳がん検診精度管理中央機構 | 乳房超音波評価A | 1名 |
日本検査血液学会 | 認定血液検査技師 | 1名 |
認定骨髄検査技師 | 1名 | |
医療の質・安全学会 | 医療安全管理者養成研修 終了 | 1名 |
日本臨床微生物学会 | 認定臨床微生物検査技師 | 1名 |
感染制御認定臨床微生物検査技師(ICMT) | 1名 | |
日本生体医工学会 | 第2種ME技術認定技師 | 1名 |
厚生労働省 | 日本DMAT隊員資格取得 | 1名 |
日本不整脈心電学会 | 心電図検定一級 | 2名 |