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研修案内

近畿大学脳神経外科専門研修プログラム　研修案内

はじめに

脳神経外科診療の対象は、国民病とも言える脳卒中（脳血管障害）、脳腫瘍、頭部外傷、てんかん・パーキンソン病等の機能的疾患、脊髄・脊椎疾患、小児奇形疾患など多岐にわたります。脳神経外科専門医の使命は、総合的な専門的知識と診療技術を持ち、これら多岐にわたる疾患の予防や診断、手術・非手術的治療を的確に行うことで、国民の健康・福祉の増進に貢献することです。
脳神経外科専門研修では、初期臨床研修後に専門研修プログラムに所属して4年以上の定められた研修を受けることにより、脳神経外科領域の病気すべてに対して、的確な診断、手術・非手術的治療を行うことができる専門医になることを目指します。

当研修プログラムの特徴と教育指針

脳神経外科学が包含する領域は多岐にわたっており、脳神経外科医として独り立ちするには段階的なトレーニングが必要です。当研修プログラムの専攻医教育では、脳神経外科一般の診療能力を身に付け、専門医の資格を取得することを第一目標としています。その後は本人の希望や特性に応じて、サブスペシャリティとして特殊な専門領域を扱う人材を育成する方針です。
当教室には、髙橋主任教授の専門分野である脳血管障害をはじめ、脳腫瘍、機能的疾患など、どの分野においても全国レベルのエキスパートが在籍しています。また、基幹施設の近畿大学病院は、日本脳卒中学会研修教育病院、日本脳神経血管内治療学会研修施設、日本定位・機能神経外科学会技術認定施設、日本臨床神経生理学会認定施設、覚醒下脳手術認定施設、日本てんかん学会研修施設として施設認定されており、専攻医の先生方には、さまざまな分野で、充実した専門研修を行なっていただいています。最近では男性医師のみならず、若手女性医師の台頭も目立っています。
私どもの研修プログラムでは、多様な価値観のもと、各人の独創性を伸ばす方向で脳神経外科の臨床と研究を推進しております。広い視野と特殊な技術をあわせ持った専門医が評価される時代、脳神経外科の診療・研究に興味をもち、共に発展させていきたいと考える諸君が参加されることを期待しております。

研修内容

1. 脳血管障害や頭部外傷などの救急疾患、脳腫瘍、てんかん・パーキンソン病等の機能的疾患、脊髄・脊椎疾患、小児奇形疾患などの予防から診断治療に至る、総合的かつ専門的知識を研修カリキュラムに基づいて習得します。
2. 上記の幅広い疾患に対して、的確な検査を行い、正確な診断を得て、手術を含めた適切な治療を自ら行うとともに、必要に応じ他の専門医への転送の判断も的確に行える能力を研修カリキュラムに基づいて養います。
3. 経験すべき疾患・病態および要求レベルは研修マニュアルで規定されています。管理経験症例数、手術症例数については最低経験数が規定されています。
4. 脳神経外科の幅広い領域について、日々の症例、カンファレンスなどで学ぶ以外に、文献からの自己学習、生涯教育講習の受講、定期的な研究会、学会への参加などを通じて、常に最新の知識を吸収するとともに、基礎的研究や臨床研究に積極的に関与し、さらに自らも積極的に学会発表、論文発表を行い脳神経外科学の発展に寄与できるよう努めてもらいます。専門医研修期間中に筆頭演者としての学会（全国規模学会）発表2回以上、筆頭著者として査読付論文採択受理1編以上（和文英文を問わない）が必要です。
5. 脳神経外科専門領域の知識、技能に限らず、医師としての基本的診療能力を研修カリキュラムに基づいて習得する必要があります。院内・院外で開催される講習会などを受講して、常に医療安全、院内感染対策、医療倫理、保険診療に関する最新の知識を習得し、日常診療において医療倫理的、社会的に正しい行いを行うように努めてもらいます。

研修スケジュールと到達目標

1. 初期（卒後3年目）
   脳神経外科研修の第一歩を近畿大学病院で開始します。豊富な症例、スタッフによる丁寧な指導、各種のカンファレンスにより診断、病態、治療方針について理解を深めます。
   【目標】神経学的診断、画像診断、術前術後管理、救急患者対応、手術・血管造影などの基本手技の習得
2. 中期（卒後4〜5年目）
   市中病院で実践的研修を行います（希望があれば、近畿大学病院での研修の継続も可能です）。この期間には個人の希望や特性に応じたオプションや大学院入学を含めたバリエーションがあります
   【目標】頭蓋形成、慢性硬膜下血腫、V-Pシャント、外傷・脳内血腫の手術手技を習得
3. 後期（卒後6年目）
   近畿大学病院で研修の仕上げを行います。
   特殊な症例、難易度の高い手術の経験、最新の治療技術の習得をめざします。
   【目標】血管吻合、脳動脈瘤クリッピングなどの手術手技の習得

当研修プログラムの概略

1. プログラムは、単一の基幹施設と複数の連携施設によって構成され、必要に応じて関連施設が加わります。なお、専門研修は、基幹施設及び連携施設において完遂されることを原則とし、関連施設はあくまでも補完的なものです。
   当プログラムの構成は以下の施設からなります。
   基幹施設：近畿大学病院
   連携施設：近畿大学奈良病院、沖縄協同病院、友愛会病院
   関連施設：近畿大学病院救命救急センター、和泉市立総合医療センター、厚生会第一病院、関西医科大学附属病院
2. 基幹施設における専門研修指導医に認定された脳神経外科部門長、診療責任者ないしはこれに準ずる者が専門研修プログラム統括責任者としてプログラムを統括します。当プログラムでは主任教授の髙橋　淳です。
3. プログラム全体では規定にある以下の要件を満たしています。
   1. SPECT / PET等核医学検査機器、術中ナビゲーション、電気生理学的モニタリング、内視鏡、定位装置、放射線治療装置等を有する。
   2. 以下の学会より円滑で充分な研修支援が得られています。
      1. ア.脳腫瘍関連学会合同（日本脳腫瘍学会、日本脳腫瘍病理学会、日本間脳下垂体腫瘍学会、日本脳腫瘍の外科学会）
      2. イ.日本脳卒中の外科学会
      3. ウ.日本脳神経血管内治療学会
      4. エ.日本脊髄外科学会
      5. オ.日本神経内視鏡学会
      6. カ.日本てんかん外科学会
      7. キ.日本定位・機能神経外科学会
      8. ク.日本小児神経外科学会
      9. ケ.日本脳神経外傷学会
   3. 基幹施設と連携施設の合計で原則として以下の手術症例数を有する。
      1. ア.年間500例以上（2019年手術実数　835）
      2. イ.腫瘍（開頭、経鼻、定位生検を含む）50例以上（2019年手術実数　117）
      3. ウ.血管障害（開頭術、血管内手術を含む）100例以上（2019年手術実数　328）
      4. エ.頭部外傷の開頭術（穿頭術を除く）20例以上（2019年手術実数　33）
4. 各施設における専攻医の数は、指導医1名につき同時に2名までです。
5. 研修の年次進行、各施設での研修目的を例示しています。
6. プログラム内での専攻医のローテーションが無理なく行えるように地域性に配慮し、基幹施設を中心とした地域でのプログラム構成を原則とし、遠隔地を含む場合は理由を記載します。
7. 統括責任者および連携施設指導管理責任者より構成される研修プログラム管理委員会を基幹施設に設置し、プログラム全般の管理運営と研修プログラムの継続的改良にあたります。

近畿大学病院での週間スケジュール

研修についてのお問い合わせ

近畿⼤学医学部 脳神経外科教室
担当：辻　潔
E-mail：kiyoshi-tsuji@med.kindai.ac.jp