機能的脳神経外科疾患
体の一部が規則的にふるえる症状の病気です。特に手に多く、足や頭部、声に症状がでる場合もあります。ふるえ以外の症状がないのが、本態性振戦です。40歳以上の20人に1人にみられ、年齢を重ねると共に多くなってきます。精神的な緊張で一時的に悪化する場合もあります。
本態性振戦の原因はまだよくわかっていません。
画像検査では、MRI、CTともに異常は認められません。
診断には神経系の専門医である脳神経内科医師や脳神経外科医師の診察が重要です。
症状の軽いうちはそれほど問題にはなりませんが、字が書きづらい、コップを持つ手がふるえて日常生活に困ることがでてきますと治療を考慮します。
治療には、代表的に①から④があります。
治療は基本的に薬剤を用います。
薬の効果が乏しい場合や薬の副作用の症状が強いときには、手術加療を検討します。(脳神経外科専門医かつ定位機能神経外科技術認定医にて行います)
抗コリン剤やベータブロッカーなどを使用します。
頭に定位脳フレームという特殊な手術機器を装着し、CT室で撮影をします。そのCTと手術前に撮影したMRIにて、医療用のナビゲーションを用いて電極を入れる部位を決定します。
頭蓋骨に穴をあけ、電極を挿入します。場合により、電極から電気活動を測定し、一旦、局所麻酔にして、手術時に症状を見ながら電極刺激をおこない、ふるえが最も減る部位に電極を留置します。その後、1週間後、全身麻酔にて、前胸部に電池を埋め込んで、脳内の電極と接続します。刺激条件を変えて、最も良い条件のもとで刺激を行い、退院となります。
手術後の通院;電流が流れていることの確認や充電式の場合には充電がうまく行われているかをチェックします。非充電式の場合には3-5年での電池交換(局所麻酔)があります。
(毛髪を剃ることはありません)
②の脳深部刺激術とかわらない方法(定位脳手術)をもちいて、最終的には電極をいれるのではなく、脳の一部、数ミリを凝固するものです。
脳内に電極を留置することはなく、電池もありません。
脳の診断を行っているMRIを用いたあたらしい方法で、超音波を脳内で集めて一部を凝固するものです。脳内に電極や凝固する道具を挿入することはありません。毛髪を剃る必要があります。
それぞれの方法の効果についての報告(Jornal Neurology Neurosurgery Psychiatry 2019)
薬剤を使用しても満足できないふるえで日常生活上、困ることが多い方に対して、脳深部刺激術を行います。
両手の場合には、他の方法が有効であるとの報告はなく、脳深部刺激術を推奨します。
専門の担当医師
講師 内山 卓也
脳神経外科における手術の実績は関西だけでなく国内でもトップクラス
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