教室紹介

ご挨拶

近畿大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座のホームページをご覧いただきありがとうございます。
2022年4月1日より講座の名称が耳鼻咽喉科学から耳鼻咽喉・頭頸部外科学に改称され、同日付けで主任教授を拝命いたしました。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域はひとが通常の日常生活を営む上で欠かせない重要な機能をつかさどる部位であり、これらの障害は生活の質の低下に直結します。耳、鼻などの感覚器疾患、音声、嚥下などの機能障害に加えて、昨今、頭頸部領域に発生する腫瘍性疾患に対する診断、治療の重要性、専門性が高まったことが改称の理由の一つです。

これまで私自身も主に頭頸部癌に関する臨床、研究を行ってまいりました。近年、本邦においても頭頸部癌、とくに口腔、咽頭癌が増加しています。治療法を選択する上では根治性を追求することに加えて機能の温存も重要で、手術、放射線療法、化学療法も組み入れた集学的治療の重要性が増しています。円滑に治療をすすめるために、放射線科、腫瘍内科、口腔外科の先生方や薬剤師、看護師、言語聴覚士、栄養士などのメディカルスタッフを含めたチーム医療を推進しています。また、頭頸部癌に対する外科手術では拡大切除、再建だけではなく、患者さんにとって低侵襲な内視鏡下、ロボット支援下咽頭悪性腫瘍手術を導入しています。この他、頭蓋底や上縦隔など境界領域の疾患に対しては脳神経外科、食道外科、形成外科など他科の先生方と連携した上で合同手術を行なっています。今後も他科、多職種間での連携を深めた上で、よりよい頭頸部癌集学的治療のエビデンスを発信していきたいと考えています。

近畿大学病院は、2025年に新病院への移転が計画されています。南大阪地域唯一の大学病院として、頭頸部癌診療のみならず、耳科、鼻科、嚥下・音声などの多様な疾患に対応できる施設として、患者さんの期待、要望に応えうる医療機関を目指していく所存です。

研究、教育面では、頭頸部癌、耳科、神経耳科学、鼻科学を中心とした基礎、臨床研究をテーマとして取り組んでいきたいと考えています。耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の研究に関しては、診療科特有の疾患、病態が数多く存在するため、これらの病態解明、治療法の開発には耳鼻咽喉科・頭頸部外科医自らが先頭に立って進めていく必要があります。そのために基礎研究室と協力、連携をとったうえで、最先端の研究手法を取り入れながら臨床に結びついていく研究を行うことを推奨したいと思います。さまざまなアイデアをもって研究成果を日々コツコツと積み重ねていくことで臨床に還元できるように力を合わせて取り組んでいく所存です。医局に所属する一人一人の好奇心、興味を大切にし、延ばしていけるような教育やサポートを行っていきたいと考えています。

最後になりましたがこのホームページをご覧いただいている多くの医学生、臨床研修医の方々が当講座の仲間となって、共に成長、発展していくことを期待しています。

近畿大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座
主任教授 安松 隆治