教室紹介

ご挨拶

近畿大学医学部産科婦人科学教室を代表し、ご挨拶申し上げます。
近畿大学医学部は南大阪唯一の医学部です。
優秀な医師を育成するために、医学部附属病院は最先端で質の高い医療を行う必要があります。近畿大学医学部産婦人科は、医育機関としての誇りと使命感を胸に、常に高いレベルの診療を目指してきました。
産婦人科は周産期医療(産科)、婦人科腫瘍、生殖医療(不妊治療)、女性医学からなる幅広い領域で、女性の健康をトータルに支える診療科です。当科は、初代野田起一郎教授が婦人科腫瘍のリーダーとして近畿大学を日本でも有数のがん治療の中心施設として育て上げられ、さらに2代目の星合昊教授は産婦人科領域にいち早く腹腔鏡手術を取り入れられました。そして、3代目の万代昌紀教授は、それらを融合し、婦人科悪性腫瘍における腹腔鏡手術やロボット手術のパイオニアとして活躍されました。私自身は婦人科腫瘍学を専門としておりますが、周産期医療、生殖医療、女性医学の診療も幅広く行ってきました。
周産期の分野では、お産を取るという医療は他にない素晴らしい経験です。本来happyな出来事であるはずのお産は、ちょっとしたことで大変なことになる救急医療としての側面を持っています。この大変な状況を何とか救って母児の幸せをもたらすのが産婦人科医の生き甲斐です。

婦人科腫瘍の分野では、当科は、早期がんに対しては低侵襲手術としての腹腔鏡手術やロボット手術を行っております。一方、進行・再発がんでは、がんを手術で取りきることで長期生存や治癒につながることが多くあります。私は、他の施設では治療できないと言われたがんであっても、あきらめずに立ち向かっていくことをモットーとしています。

生殖医療の分野では、現在、子宮内膜症や子宮筋腫など、不妊症をもたらす病気が増えています。当科は、そのような病気に対する腹腔鏡手術を得意としています。さらに、体外受精・胚移植などの高度生殖医療も行っており、不妊症をトータルで診療できる体制が整っています。また、何らかのがんにかかった若年女性が抗がん剤投与や放射線治療を受ける前に、将来妊娠できるように卵子や卵巣を凍結保存する、いわゆるOncofertility診療も行っております。

女性医学の分野では、更年期障害や月経前症候群など、女性ホルモンの変動に伴いQOLを損なう様々な症状に対して、投薬を中心として診療を行います。近畿大学には、本邦随一の質の高い漢方治療を行う東洋医学研究所があります。通常のホルモン療法に漢方治療も併用することは、心身の不調を改善するために非常に有効です。

産婦人科の診療は、高度になればなるほど、他の診療科と共同で診療を行うことが必要となります。周産期医療では小児科や救急部、婦人科腫瘍では消化管外科や泌尿器科と共同で診療を行うケースが多くあります。近畿大学病院は、各科の専門家が揃っており、フットワーク軽く一緒に診療する体制が整っていることが最大の強みです。

今後、近畿大学産婦人科は、南大阪における近隣の医療機関とともに、優秀な産婦人科医を育成し、女性を一生涯サポートするための医療ネットワークを構築していきたいと考えております。

近畿大学医学部産科産婦人科学教室
主任教授 松村 謙臣