研修希望者へ

研修Q&A

一般病院と比較して大学病院で研修を受けることのメリットは何ですか?

大学病院では、婦人科の知識だけでなく、放射線読影、臨床病理といった臨床に必要とされる専門知識を系統的に習得しつつ、個々の症例を深く掘り下げ理解したうえで診療をおこなうというトレーニングを徹底します。
このようなトレーニングは症例数をこなしただけでは決して身に着きません。また、希少症例、重症症例の取り扱いを通じて、未知の疾患に遭遇したときにどのように対処したら良いのかを学ぶこともできます。
他科にも多くのスペシャリストがいるため、産婦人科と関連した他科の診療に関しても高いレベルのものを学ぶことができます。
このような機会を研修の初期に持つことは、その後の実力を飛躍的に高めるために必須であると考えます。

大学病院の研修って、難しい症例ばかりで、一般的な分娩や簡単な手術などのプライマリケア的な研修が不足するのでは?

みなさんが、今後、実力のある医師になるためには、一見、「簡単な」症例でも、1例1例、順を追ってきちんと診断・治療をおこなう習慣をつけることが、プライマリケアの第一歩です。
一方で、研修の初期に多くのcommon diseaseを経験することもまた重要です。
そこで近畿大学産科婦人科学教室では大学での研修に加えて、1)近くの分娩を多く取り扱う病院や、プライベートクリニック等で多くの正常分娩の研修を可能にします。2)大阪市内のいくつかの病院(*近畿大学産婦人科での研修プログラム‐図参照)でのたすきがけ研修を可能にし、より多くの症例や、大学以外での診療を経験できるようにします。

近畿大学は、関連病院の数が少ないので、大学以外での研修ができないのでは?

近畿大学産科婦人科学教室は、大阪府下を中心に、研修に定評のある多くの連携病院(図参照)を有しており、Q1で述べたように、これらの病院で分娩をはじめとしたcommon diseaseの経験を積んでもらうことができます。
勤務先については、個人の希望や家庭環境などを考慮し、個別に相談しながら非常に柔軟に対応しています。
市中病院での研修をとおして、大学とはまた違った、さまざまな考え方や診療技術を持つ先生の指導のもとに研修をおこなう機会を作ります。研修医全員に複数施設での研修を推奨したいと思っています。

将来、産婦人科の中でも特殊技術を身につけたいのですが、近畿大学ですべての技術を身につけることが可能ですか?

近畿大学産科婦人科学教室では、産婦人科専門医はもちろんですが、産婦人科の3つの専門領域である、腫瘍専門医、周産期専門医、生殖医療指導医を取得してもらうことが可能です。
さらに、がん治療認定医、内視鏡技術認定医、細胞診指導医などの専門的な資格を得ることもできます。
しかし、これらの資格はあくまでも専門性への入り口に過ぎません。現代の産婦人科の各領域は高度な専門性を有しており、ひとつの施設でそのすべてをカバーできる所はありません。
そこで、産婦人科専門医を取得したのちのサブスペシャルティー研修においては、その専門領域内で高度な技術を取得したい場合は積極的に専門施設で研修してくることを後押ししたいと思います。
一方、近畿大学では腫瘍・内視鏡に関しては高度な技術を有しており、今後、この方面での専門研修を広く受け入れていく予定です。

大学院での研究を考えていますが、臨床医としてメリットはありますか?

産婦人科に興味がある先生へで書いたように、長い臨床医生活の中で一度、臨床を離れて別の角度から自分が取り組んできた疾患に関してじっくり考えてみる機会は、産婦人科医にとって一生の宝となる貴重な機会と思っています。
研究を通じて他科・他領域の先生と仲良くなったり、同じ分野の産婦人科医とライバルとして競い合ったり、研究成果を生かして留学したり、と医師としての視野を広げる意味でも重要な時間です。是非、大学院を含む大学での研究の機会を作ってほしいと思います。もちろん、大学院ではなく、大学で勤務しつつ臨床研究をしたいひとは、それも可能です。また、女性医師で子育て中の先生は、自由な時間の使い方ができるため、キャリアを継続しつつ子育てするのにも絶好の機会です。

研修期間・大学院以外で、大学で勤務する機会はあるのでしょうか?また、そのメリットは?

大学病院は、臨床・研究・教育を1か所でおこなうことができる施設です。個々の産婦人科医がキャリア形成のさまざまな場面において上手に大学を利用してほしいと思いますし、これからの大学の使命はそこにあると思っています。
大学院で続けてきた研究を実用化したい、教員として学生・研修医の教育をやってみたい、臨床面で専門技術を習得したい、子育て後、一般病院での復帰が不安なのでもう一度リハビリしてから復帰したい、などなどさまざまな希望に答えられるようにしていきたいと思います。
大学は組織であるとともに、それぞれの夢を実現する「場」でありたいと思います。気軽に相談してください。

女性ですが、産婦人科は興味があるのですが、結婚・出産後に続けていくのは厳しいのでしょうか?

まず、初めに厳しいことを言わせていただきます。現在の医師不足の状況の中で女性医師がキャリアを続けていくのは、医師になったものとしての責務だと思います。
職業選択はもちろん自由ですが、ひとりの医師をつくるのには莫大なお金と労力と時間がかかります。短期間でその果実を放棄してしまうのなら、はじめから他の人に譲ってあげていたほうがどれだけ世の中のためになったことか・・・。
あなたの手のなかにある技術はあなただけのものではないのです。よほどのことがない限り、医業と家庭の両立は可能だ、との覚悟が女性医師には求められる、と思います。
では、女性医師がキャリアを続けて行ける、行けない、は全部、本人の責任なのでしょうか?
もちろん、違います。周りは最大限、サポートすべきですし、、そのような仕組みを社会でも組織でもどんどん整備していくべきです。
しかし、そのすべての始まりは、女性医師の「続けたい」という強い意志だということを考えてください。
今、産婦人科では全国レベルで女性医師がどのようにしたらキャリアを継続できるかを真剣に模索して、そのための手立てもさまざま試みています。まだまだ不足の面はあるでしょうが、「何が足りないから働けないのか」「何があれば、続けられるのか」の具体的な提案を当事者の女性医師からどんどん出してもらうことで本当に必要な点が改善されていくのだと思います。
産婦人科入局者の7割が女性である現在、女性医師が「結婚・出産後に続けていくのは厳しい」ようでは、産婦人科の将来はありません。あなたが働き続けられるように我々も全力を尽くすつもりです。

研修についてのお問い合わせ

近畿大学医学部産科婦人科学教室
〒589-8511 大阪府大阪狭山市大野東377-2
TEL (072)366-0221 内線3215
担当:小谷 泰史
E-mail:sanfu@med.kindai.ac.jp