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サブスペシャルティへの道

婦人科腫瘍専門医への道

日本婦人科腫瘍学会の認定する婦人科腫瘍専門医は、婦人科の悪性疾患のスペシャリストであり、取得のためには、認定施設での一定期間の修練、多くの経験症例数、手術執刀数、学会参加や論文業績が必要であり、取得までの道のりは大変です。

当科は初代の野田起一郎教授の時代から婦人科悪性疾患の取り扱いが多く、その伝統は現在も続いています。

また、医療圏の特性上、他に競合する大学病院やがんセンターなどの高次施設がなく、症例が集まりやすい状況にあります。当科には現在婦人科腫瘍専門医が多数在籍し(メンバー資格欄参照)、日々診療を行っています。このような環境ですから、婦人科腫瘍専門医の修練にはうってつけの施設であり、最短年限で取得が十分に可能です。広汎子宮全摘の減少、ならびに鏡視下手術への移行により症例数の確保が難しくなってきているという話を耳にしますが、当科では心配いりません。

手術に関しては、子宮頸癌は早期であれば鏡視下手術を行います。子宮体癌は腹腔鏡手術・ロボット支援下手術を数多く行っており、腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清も行っています。卵巣癌はたとえ進行例でも完全切除を目指し、しばしば他科の先生にも協力いただいて徹底的に切除します。当科の方針として、できるところは腫瘍専門医の指導下に術者としてどんどんやってもらい、難しいところは腫瘍専門医の助手をしながら修練します。標準的な化学療法はもちろんすべて網羅していますし、最新の治験にも関われます。放射線治療科も非常に協力的で、ともに治療を行うパートナーとして力強い存在です。

また、病理診断科とは、手術症例、外来での生検症例、診断困難症例について病理カンファレンスを行っており、放射線診断科とも、術前症例を中心に画像カンファレンスを行っています。婦人科腫瘍の治療は婦人科医だけではできません。いろいろな部門との協力が必要不可欠です。近大は、大学病院でありながら非常に他科との垣根が低く、本当にありがたいです。
疾患に対する最先端の考え方を発信するのがアカデミアの役割ですが、松村教授はこの分野のオピニオンリーダーでもあります。自分たちが考えていること、近大でやっている診療が、世に広まっていくのを体感するシーンもあります。ガイドラインに対して受け身の立場ではなく、よりよいものを作る立場なのだという感覚は、身が引き締まるとともに、非常に刺激的です。

また、婦人科腫瘍専門医と腹腔鏡技術認定医のダブルライセンス取得も可能です。ロボット支援下手術にも積極的に取り組んでおり、症例数もどんどん増えてきています。

難しい症例も多いですが、みんなで一丸となって診療を行っています。
是非当科で婦人科腫瘍専門医を目指しませんか?

周産期専門医(母体・胎児)への道

日本周産期・新生児医学会が認定する、周産期専門医(母体・胎児)についてです。認定施設での一定期間の修練、経験症例数や学会参加などの実績を積んだのちに試験に合格することが必要で、取得にはじっくり取り組む必要がある資格です。

さて、近大は地域周産期母子医療センターとして、南大阪の砦として、周産期診療も充実しており、周産期専門医の修練の基幹施設となっています。診療実績の分娩件数だけみると少ないように見えますが、内容は濃密です。産婦人科医直通の電話を設けており、搬送依頼が驚くほどたくさんきます。NICUの後ろ盾のもと、超早産、超低出生体重児はもちろん、小児外科・心臓血管外科も充実していますから胎児疾患も幅広く対応可能です。また、大学病院ですから、合併症妊娠にはすべて対応可能です。また、母体救命はわれわれの最も得意とするところで、南大阪でIVRに24時間対応できる施設が限られることもあり、重症の産科大量出血症例がしばしば搬送されてきます。救命救急科や放射線科の協力も熱いです。無痛分娩も麻酔科バックアップのもと積極的に行っており、硬膜外カテーテル留置~麻酔実施、管理まで習得可能です。

産婦人科専門医を取得し、周産期専門医をめざそうとしている先生はおそらく正常分娩には習熟されていると思いますので、妊婦健診から分娩、産後まで、是非この濃密な周産期診療を体験してください。 (ちなみに、正常分娩は外勤・当直先で十分味わえます)

また、若手の先生で周産期に興味がある方、近大で周産期が勉強できるのか?と心配することなかれ。確かに正常分娩は少ないですが、正常経過から逸脱した症例をじっくり見ることで、不思議と正常な経過のものにも問題なく対応できるようになります。また、それでも分娩が少ないのは確かなので、専攻医2-3年目頃に1~2年、分娩件数の多い、有名な総合周産期もしくは地域周産期母子医療センターで修練してきてもらいます。
(最近の実績:兵庫県立尼崎総合医療センター、愛仁会千船病院、大阪赤十字病院)

当科には現在周産期専門医(母体・胎児)が2名ですが、修練中の医師が数名おり、この1-2年で5名ほどまで増える予定です。医師の数も多くないので、十分な症例数が経験できます。
また、当科は産科・婦人科とすっぱりわかれていませんので、周産期専門医の修練をしながら、腹腔鏡技術認定医の修練、高度生殖医療、悪性腫瘍の治療に参加したりすることも同時に可能です。このような施設は意外に少なく、大きな魅力の1つと思います。
悪性疾患合併妊娠や妊娠中の腹腔鏡手術もあります。自分で不妊治療をして、そのまま分娩まで管理したり。これは周産期のみしか扱わない病院では経験不可能!

是非当科で周産期専門医の修練をしませんか?

腹腔鏡技術認定医への道

日本産科婦人科内視鏡学会の認定する、腹腔鏡技術認定医制度があります。手術実績や学会発表・論文の業績とともに手術動画の審査があり、近年では合格率が50%を下回り、大変難しい資格となっています。取得をめざしておられる先生も多いのではないでしょうか。

近大産婦人科は以前から腹腔鏡手術を盛んに行っており、良性疾患では9割以上、また、悪性疾患でもここ最近は広汎子宮全摘、傍大動脈リンパ節郭清まで多くの症例を腹腔鏡で高い精度で行っています。

近大産婦人科には多数の技術認定医がおり(メンバー資格欄を参照ください)、ほぼすべての腹腔鏡手術に参加しています。修練中の医師は、技術認定医の指導の下で術者として、あるいは助手として技術認定医の手術をみながら、充実した修練が可能です。全国的にもこのように恵まれた施設は本当に少ないと思います。

さて、現在他施設で勤務している医師も含めると、近大は直近5年で7人もの技術認定医を輩出しています。なぜこんなことが可能か?

理由として、

  1. 症例数に恵まれている(診療実績を参照ください)。その割に医師の数がそこまで多くないので、1人当たりの担当する手術件数が多い。難易度の低い疾患・症例から高い疾患・症例までバランスよく集まっている。
  2. 技術認定医から直接、腹腔鏡手術のコツを得やすい。ちょっとしたTIPSで劇的に技術が向上することはよくある。
  3. 悪性疾患の取り扱いが多いため、手術解剖に習熟しやすい。縫合結紮などの細かい技術ももちろん大切だが、それ以上に解剖の理解が重要である。悪性の腹腔鏡手術はもちろんのこと、開腹手術にも多数参加して解剖を理解することは、腹腔鏡技術の向上に必ず役に立つ。
  4. 初心者は、難易度の低い手術から。また、全体として難易度の高い手術でも、難易度の低いパートは必ずあるので、その部分を担当する。何かあれば指導医が必ずカバーしてくれる。
  5. 上達してくると、長時間手術や難易度の高い手術にどんどん参加する。しかし、無理に先発完投するのではなく、術者と助手をローテーションしながら行う。休憩もはさむ。その結果、集中力が持続し、上手な手本を見て実行するというよい流れができ、結果的にさらに上達が早くなる。
  6. 他施設の手術に長けた医師たちと手術動画をみながらディスカッションを定期的に行っており、近大として常に、根治性を損なわない安全な腹腔鏡手術のブラッシュアップを続けている。

・・などが考えられます。

当科の腹腔鏡手術の技術は全国でも屈指のものと自負しています。 手術が上手になりたい先生は、是非当科で修練されてはいかがでしょうか?

研修についてのお問い合わせ

近畿大学医学部産科婦人科学教室
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担当:小谷 泰史
E-mail:sanfu@med.kindai.ac.jp