研修希望者へ

Johns Hopkins University留学体験記

SEASON 25
アメリカで医療機関を受診する

留学にあたり、懸念の一つが医療機関への受診でした。妻に持病があり、常時内服が必要なのですが、同様の処方が受けられるか、病状が悪化した時にどうしたらいいのか、渡米前にネットで調べても情報が極端に少なく、結局よくわかりませんでした。もしかすると、自分や家族の持病のせいで留学をためらっている人がいるかもしれませんので、今回はそのあたりの話をしたいと思います。

アメリカでは、いきなり専門病院を受診することもできなくはないようですが、予約が数ヶ月先になるという話を耳にし、病状が悪化した時に困るし、薬も足りないので、まずファミリークリニックを受診することにしました。ファミリークリニックはネットですぐに見つけることができ、予約も2週間先ぐらいで取れました。そこで3回ほど診てもらったのですが、内服中の薬が一般的ではないことと、病状が悪化した時のことも考えると専門のところで診てもらってくれということで、ホプキンス分院にある専門外来を紹介してもらいました。予約は自分で電話する必要がありましたが、診療や処方内容は自動的に紹介先に共有されていたようでした。ホプキンス分院の専門外来では、驚いたことに医師ではなく診療看護師(ナースプラクティショナーと言います)が対応してくれました。頼んでもいないのに、日本語の通訳の方もリモートでついてくれました。アメリカの診療看護師は医師と同様に診察し、処方の権限まであります。処方薬を受け取りたい薬局を聞かれ、近所のWalgreenを指定すると、処方箋が自動的に送られ、薬が準備されるので受け取りに行きます。症状が落ち着いていれば、処方の追加はスマホのアプリからリクエストすることができ、直接の受診は1年に1回でいいそうです。症状の悪化や困ったことがあれば、アプリから担当の医師や診療看護師にメッセージを送り、やりとりすることもできます。

医療保険については、我が家の場合、ホプキンスが提供する医療保険に加入しています。この保険はカバー範囲が広く、かなり良い保険だそうです。・・が、家族3人で月々880ドル費用がかかります。めちゃくちゃ高いですよね。しかし、この保険のおかげで、すでに何回か医療機関を受診し、血液検査や処方もしてもらっていますが、今のところ大きな実費は発生していません(トータルで数10ドル程度)。病院で会計をするのではなく、後日家に請求書が送られてくるので、クレジットで支払いをします。 ちなみに、早めに受診したいがERを受診するほど大ごとではない場合(例えば、抗生剤治療が必要な副鼻腔炎や尿路感染、喘息発作、処置が必要なケガなど)は、予約不要でwalk-inで受診可能なacute care clinicも割とあちこちにあります。本当にやばい時は911をcallしろとのことです。 結論として、病状が落ち着いており、アメリカでの医療保険の加入や病院の予約に多少時間がかかっても大丈夫であれば、あまり心配せずとも日本と同様の治療(あるいは日本では未承認の薬など)が受けられると思います。病状が不安定な場合は、落ち着いてから渡米する方が無難かもしれません。