2024.5.16
これから複数回に渡り、アメリカ研究留学を通して得たもの、考えたことについて書きたいと思います。
研究面で得たものは、言わずもがな、腫瘍免疫研究に必要な実験・データ解析の理解・経験です。これはひとえにラボマネージャーのおかげで、実験のやり方のみならず、いろいろ応用できる考え方をじっくり教えてくれました。帰国後も役立ちそうなスキルは、バイオインフォマティクス、特にシングルセルRNAシーケンシングの解析です。アメリカでは急速に普及しており、腫瘍免疫研究には欠かせないものになりつつあります。頑張れば誰でもできるとは思うのですが、まとまった時間で集中的な学習が必要で、日本で臨床をしながらでは無理だったと思います。ちなみに、アメリカにはバイオインフォマティクス解析を引き受けるベンチャー企業がたくさんあり、wet主体のラボでは、よく解析を外注しています(自分で勉強してやろうとしないところがいかにもアメリカぽい)。しかし、時間とお金がかかる割にwet研究者の意図する解析結果が返ってこず、困っているラボが山ほどあります。研究留学を考えている方は、dry解析を少しでも身につけておくと、引く手あまただと思います。
また、Johns Hopkinsという全米トップクラスの大学で、研究に投入される人的・物的・金銭的資源の豊富さ、コネクションの強さ、所属する人々のプライドも目の当たりにしました。CNSを目指す世界、ハイインパクトの論文を出し続ける世界を近くで見れたことも今後研究を続ける上でプラスになるでしょう。(なるかな?)
臨床を完全に離れ、100%研究に没頭できる時間というのは貴重でした。臨床医が研究や実験をする時に気をつけるべきことも理解できましたので、日本に帰ったら必ず還元します。