2025.2.14
1月からはアイオワ大学に来ている小谷です。
アイオワ大学では、臨床を見学する機会が多くなり、自然に多くの学生や研修医と交わることが多く、ハワイ大学で聞いたことも含め、今回はアメリカでの医学部、研修制度を日本との違いも踏まえてお伝えします。
日本の医学部は高校卒業後から6年間で国家試験に合格すると医師免許が与えられますが、医師になると2年間の初期研修を経て、産婦人科の場合はその後3年間の後期研修を経て、産婦人科専門医となれます。一方、アメリカの場合、一度4年制大学を卒業しないと医学部へ入学は出来ません。医学部の入学自体、日本と同様に競争率は相当高いのですが、ボランティア活動など奉仕の精神も重要であり、ボランティアの参加なしに医学部への入学は厳しいようです。学費も非常に高く、年間5万ドル(約750万円)以上するとのことです。日本のように学生がアルバイトをしているかというと、医学部の中でもかなり勉強しなければならないので、基本には勉強漬けらしいです。カリキュラムは大まかに、1年生は基礎医学、2年生は臨床医学を勉強し、3年生から実習に出ます。まずは必須科目の内科、外科、小児科、産婦人科、精神科などを回り、4年生では選択実習が中心になります。その後、日本でいう国家試験に当たるUSMLEに合格すると、医師として働けるわけですが、アメリカは、アメリカ卒後医学教育認定医評議会(ACGME)というレジデントプログラムに入れる枠が決められているので、学生時代に自分の行きたい科に行きたければ、相当評価される必要があり、評価されるために学生時代からかなり熱心に勉強しているとのことです。ちなみに、整形外科、形成外科や放射線科などが非常に人気で、なかなか入れないとのことです(日本では自分が希望する科に誰でも行ける体制です)。また、その後3年から5年の研修を経て、専門医試験に合格すると、その分野の専門医として一人前になれます。よって、ここまで来るのに相当の年月とお金がかかりますので、中途半端な気持ちで医学部に来ている者もおらず(ローンを組んで学費を工面している方も多いと聞きます)、皆が熱心であり、個人的にはアメリカの医学部3、4年生が日本の初期研修医と同じくらいのレベルではないかと思っています。日本にいる時に、医学生に対してなぜ医師を目指すのか?研修医に対していい医師にはなりたくないのか?と思わざるを得ないことが時々ありました。アメリカでは本人の相当なやる気と、そもそもの教育体制や指導体制が日本と異なっているので、是非いい点を日本に持ち帰り導入していきたいと思っています。