2025.2.18
アイオワ大学に来ている小谷です。日本とアメリカの手術の違いを今回は伝えたいと思いましたが、お互いの国でも施設ごとによって様々な違いはあると思いますし、「おまえが日本とアメリカを代表して語るな!」と突っ込まれそうな序文だと思いましたので、近畿大学とアイオワ大学の手術室の相違点を自分の視点で伝えたいと思います。
まずアイオワ大学の手術システムでは、主治医が入る手術を手配しますが、1週間の予定は、チーフレジデントが外来と病棟と手術に入る全員のレジデントと学生を割り振ります(難しい手術は上級のレジデントが受け持っているような印象でした)。手術は基本的にレジデント(+フェロー)(+学生)と主治医で行います。アイオワ大学の手術室は全部で33室あり、ほぼフル稼働で動いています。手術室を見渡すと、大体の体制は日本とほとんど同じです。医療的には使う器具や糸針など、日本で使っているものとほぼ同じです。執刀者以外も麻酔科、機械出し看護師、外回り看護師など、一見すると体制は何も変わりません。タイムアウトして手術が始まり、閉創時にガーゼカウントを行うなども日本と同様です。ただ、近畿大学では最後にガーゼの遺残がないかを確認するためのレントゲンを必ず撮影していましたが、アイオワではガーゼカウントが合っていれば、最後にガーゼ検知器をおなかに当て、音が鳴らなかったらレントゲンを撮らずに終了しています(もちろん音は鳴ったことはないですが)。それに、各主治医によって手術のやり方や使う機器などが違います。日本でもデバイスなどは多少個人の好みもありますが、概ね機器や手術のやり方は統一されていることが多いので、驚きました。また、教育体制もかなり違っていて、レジデントに対して手術前の打ち合わせ(ブリーフィング)と手術終了後の振り返りや評価(アセスメント/デブリーフィング)などはよく行われていました。日本では手術の内容についての会話は医師の間ではあったとしても、私自身はしっかりした評価などは行っていませんでした。ただ、日本で良い点もたくさんありますし、アイオワで見て良い点を日本に持ち帰って、効率的な教育体制の向上が出来ればいいと思いました。
手術が終了した後のアイオワ大学での手術室、一見すると日本の手術室と変わりはない
ガーゼカウントのボード、枚数が合っていればレントゲンは撮影しない