研修希望者へ

The University of Iowa留学体験記

Episode 19
基礎研究だけが留学じゃない、教育での留学を選んだ者

1月からアイオワに滞在していますが、2月までは-20℃以下の日や大雪警報が出るなど、非常に寒い日が続いていました。しかし、3月に入り、すっかり雪は解け、最低気温は寒い時で氷点下になりますが、温かい日では10℃近くまで上がることもあり、すっかり春に移り変わってきました。ハワイの時から続けていたランニングは1月と2月はホテル内にあるランニングマシンで行っていましたが、3月に入ってからは外でランニングが出来るようになりました。近くにはアメリカ最大の河川であるミシシッピー川に合流するアイオワ川があり、その川沿いにはトレイルが整備されています。3月に入ってからは犬の散歩やランニングをする人たちも増え、非常に清々しい気持ちでランニング出来るようになりました。
今回は、私が見学したアイオワでの外来の教育体制についてお伝えしたいと思います。アイオワ大学の外来(クリニック)では、診察室とカルテ室が別々の場所にあります。基本的に医師と看護師はカルテ室に詰めており、患者さんは指定された時間に診察室に入り、そこで待機しています。患者さんが来たことがカルテ上に反映されれば、学生や研修医がカルテを確認し、先に問診と診察を行います。診察後、学生や研修医がカルテ室で担当医に今日の患者さんの状態を報告し、担当医と一緒に診察室へ行き、再度診察を行います。その後、もう一度カルテ室で担当医と質疑応答を行い、学生や研修医がカルテを記載します。記載後、指導医がカルテの内容を確認し、必要な修正を加えた後に診察を終了します。検査や手術などが必要な場合、カルテ室にいる看護師に指示を出し、看護師や他のスタッフが検査などの予約を取り、その後患者さんは帰宅します。
私自身日本での外来では、学生や研修医が診察室の後ろで見学し、患者さんが帰った後に病気に関する知識の質問をすることが多かったです。しかし、アイオワでは、病気に関する知識が分からなければ、すぐにGoogleやPubMed(医学論文の検索サイト)を調べるように指導されていました。日本では国家試験に向けて知識を詰め込むことが主な教育方法ですが、アメリカでは日々進歩する医学知識に関してはGoogleで調べることが早く的確であり、知識よりも診察能力や判断能力をいかに養うかに重点を置いた教育が行われれていました。私はアメリカでの経験を日本に持ち帰り、日本でも出来る範囲で医学教育の向上を図れればと思いました。

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アイオワ川を背景にランニング中

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アイオワ大学での外来のカルテ室

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アイオワ大学での外来の診察室

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