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生殖

AYA世代のがん患者さんの妊孕性温存療法

AYA(アヤ:Adolescent and Young Adult)世代とは、思春期と若年成人期、すなわち15歳から39歳ごろまでの世代のことを指します。AYA世代にも時としてがんが起こります。特に、小児~20歳頃までは血液がん(リンパ腫や白血病)、脳腫瘍、骨軟部腫瘍など、30歳以降は乳がんが多くなります。近畿大学病院は、南大阪唯一の大学病院として、また地域がん診療連携拠点病院として、数多くの患者さんを診療しています。
近年の医学の進歩により、これらの患者さんの多くが治療を受けることで完治する、あるいは長期間寛解状態を維持することができるようになりました。一方、抗がん剤や放射線治療などの影響で、妊娠する能力(妊孕性)が低下または失われ、将来不妊症になる可能性があります。がん治療により妊孕性が低下する可能性がある患者さんを対象に、当院では妊孕性温存療法を行っています。具体的には、がんの治療を開始する前に、精子・卵子・一部の卵巣組織・受精卵等を採取して凍結保存しておき、がんを克服し、妊娠できる状態となった時に、それらを使用し妊娠する可能性を温存しておく方法です。
私たちは、がんと診断されたAYA世代の若い患者さんに、がんそのもの、そしてがん治療が将来の妊孕性に及ぼす影響を理解していただき、治療開始までの限られた時間に、なるべくがんそのものの治療に影響を及ぼさないような方法で妊孕性温存療法を行っています。病気に向き合いながらも将来自分の子供を産み育てたい、と思うAYA世代のがん患者さんを私たちは最大限サポートします。話を聞きに来るだけでも構いませんので、主治医と相談の上、ぜひ受診に来てください。