患者さんへ

症状別Q&A

鼓膜に穴」があいていて、でも入院治療はしたくない

外来で鼓膜閉鎖術が受けられます。

鼓膜再生を促す薬(リティンパ)を含んだスポンジ材料を使って、1回の手術で約80%の方が完全治癒します。外来で局所麻酔下に行い、手術時間は約30分です。合計4回まで保険適応があります。

何度か耳の手術をしたけれど、聞こえない
補聴器が合わない。耳漏で補聴器が壊れるかも

植込型骨導補聴器をご存知ですか?

通常の補聴器(気導補聴器)は主に鼓膜経由で音を伝えますが、骨導補聴器は鼓膜を介さず、直接内耳に音振動を伝えることができます。これにより、耳の穴が塞がっている方や何度も鼓膜や中耳の手術を受けた方でも聞こえを取り戻すことができる可能性があります。30分ほどの手術で骨導補聴器を耳の少し後ろの側頭骨に植え込むことができ、効率よく、内耳に音を伝えることができます。手術前に外来での視聴もできるので、お気軽にご相談ください。

生まれつきの難聴かもしれない

遺伝学的検査(採血)で多くの事がわかります。

1000人に1〜2人の割合で先天性難聴が発症します。当院の遺伝カウンセラーと共に、遺伝や遺伝性難聴に関する情報を提供します。検査内容に同意いただければ採血で「難聴に関わる遺伝子」を保険診療下に調べることができます。また、当院では幼児難聴外来にも注力しており、より詳細な聴力検査(ASSR)を行い、しっかりと末長くサポートする体制が整っています。お子さんの補聴器に関する相談・検査もできますので、いつでもご相談ください。

両耳とも聴こえが悪く補聴器でも会話できない

人工内耳は世界で最も使用されている人工臓器の一つで、内耳の代わりをしてくれます。

鼓膜の奥の側頭骨内にある内耳には、毛の生えた細胞(有毛細胞)が規則的に並んでおり、まるでピアノの鍵盤のように音の高さに対応し、音の高低を感知しています。この有毛細胞は「音の振動」を「電気信号に変換」する役割を担っており、電気信号は聴神経、そして脳へと伝わります。多くの難聴が有毛細胞に原因があるため、 人工内耳の電極がこの鍵盤の代わりをし、音の「電気信号」を伝える役割を担います。当院では数多くの手術を行っております(2010年以降で約400件)。

片側」の難聴で困っている

補聴器あるいは人工内耳の適応になる可能性があります。

2024年に日本耳科学会が「一側性難聴人工内耳適応基準(2024)」を公開し、これまで治療介入が難しかった片側難聴の方にも治療適応を広げるための活動を始めています※。近い将来、片耳の難聴に対しても人工内耳が適応になるかもしれません。両耳で聞くメリットは沢山あり、例えば、雑音下で必要な会話だけを聞き取る力や音の方向感覚、離れた場所からの音を明瞭に聞く力などの改善があります。現時点では補聴器が主体となります。補聴器の調整も当院で行っていますので、補聴器が合わないと感じる方や試してみたい方も、いつでもご相談ください。
※現時点では片側難聴者への人工内耳は保険適応ではありません。