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きんだいびと

2024年02月06日

耳鼻咽喉・頭頸部外科 安松 隆治 主任教授 インタビュー

頭頸部がんは予防と早期発見が可能 正しい知識や治療を多くの人に

全国でも数少ない頭頸部がん専門医である安松 主任教授。
豊富な経験を携え、新しい診療科名に変わった耳鼻咽喉・頭頸部外科に着任し、新たな目標に向かって歩みを進めています。

慌ただしくも新鮮な大阪暮らし

九州大学から近畿大学病院へ赴任しました。
大阪に住むのは人生で初。生まれ育った福岡とは街のスケールが違い、大都会での暮らしは新鮮です。梅田に近大マグロが食べられる店があると聞き、ぜひとも行ってみたいです。
環境が落ち着いたら、大好きな温泉にもゆっくりと浸かりたいですね。

専門とする「頭頸部がん」とは

私の専門は頭頸部がんの治療です。首から上の眼球と脳を除いた部位が頭頸部で、この範囲内にできるがんを総称して頭頸部がんと言います。
口腔がん、咽頭がん、喉頭がんなど種類は多いのですが、胃がんや大腸がんなどと比べると発生頻度は少なく、がん全体の5~6%程度。発生には飲酒と喫煙が大きく関わることから、中高年の男性に多い病気です。
また、口腔がんは口の中の衛生環境も影響し、歯の接触による慢性的な刺激が舌がんの原因になることもあります。最近はウイルス感染による頭頸部がんが増えており、特に子宮頸がんとも関連が深いヒトパピローマウイルスが引き起こす中咽頭がんは、増加の一途をたどっています。

体に優しい低侵襲治療を推進

頭頸部がんの治療法は発生部位や症状によって異なりますが、手術、放射線療法、化学療法が基本です。
近年は免疫療法も行われるようになり、治療の選択肢が広がりました。手術で腫瘍部分を切除すると、声を失ったり、食べ物が飲み込みづらくなったりと、機能障害が生じることもあります。そこで近畿大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科では、内視鏡による治療やロボット支援下手術など、なるべく体への負担が少ない治療を実施。
また、機能障害が起こらないよう切除範囲を決定し、可能な限り機能温存に取り組んでいます。

予防の啓発と早期発見に注力

頭頸部がんは健康診断の検査項目に含まれておらず、確かな知識を持ち、正しく診断・治療ができる専門医も限られています。そのため、異常があっても見落とされることや、かなり進行して見つかるケースも少なくありません。
飲酒や喫煙、ウイルスが主な原因となる頭頸部がんは、生活習慣の改善や予防接種で発症を防ぐことが可能です。今後は啓発活動に力を入れる一方で、早期発見につながる検診システムを構築し、頭頸部がんに対する医師の意識も高めていきたいと思います。

耳鼻咽喉・頭頸部外科 安松 隆治 主任教授(やすまつ・りゅうじ)

福岡県出身。府内では数少ない頭頸部がん専門医・指導医。
趣味は温泉巡りと食べ歩き。
着任と同時に耳鼻咽喉・頭頸部外科へ診療科名を改め、スピード感をもってチームを率いる。

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