メッセージ

メッセージ

工藤正俊近畿大学消化器内科は平成11年4月、第2内科学教室より分離し、独立する形で新設されました。この新設は、「ナンバー内科制から臓器別内科へ」という時代の流れに則したものであり、現に内科学教室は平成14年4月より8診療科から構成される大講座制へ移行しました(現在は9診療科)。そのようなことから消化器内科は平成20年3月で設立からやっと9年の新しい診療科であり平成23年度は13年目の年にあたります。私達が消化器内科をスタートさせたときは約10名のメンバーでの出発でしたが現在では約40名程度に達しました。もちろんまだまだ充分とは言えませんがそれなりにスタッフも若くバイタリティーにあふれた科であります。

設立時、私が近畿大学消化器内科の目標として最も強調したのは「和」と「チームワーク」そして、「フットワークのよい医療」です。消化器内科は様々の検査手技、治療手技を持つ大変忙しい科です。従ってcomedical staff(技師やナース)あるいは放射線科、病理、外科といった他科との連携や協調・協力は欠かせません。どの一つが欠けても大きな活力を生み出すことは出来ません。医局員同士の協調はもとより、協同作業に従事する他科のメンバーとの間の「和」と「コミュニケーション」「チームワーク」は最も重要なことであろうと考えています。また臨床の第一線において、診療依頼があればいつでもどこへでも消化器内科医が出向き、「見落とし」や「対処の遅れ」が発生することのないよう「フットワークの良い医療」を確立することも大変重要であると考えています。

診療面では消化器内科は、肝疾患、胆膵疾患、上部消化管疾患、下部消化管疾患と大きく4つの領域に分けることが出来ます。私達の科ではそのいづれもが重要であると考え重視しています。外来は初診と3つの再診で一日平均約250名、入院ベッドは約80床稼働しております。腹部超音波室では5台のカラードプラ・造影エコー対応装置で通常のエコーに加え毎日造影エコーや先端医療であるラジオ波焼灼療法(RFA)を行っております。内視鏡室では通常の上部・下部内視鏡に加え、乳頭切開術(EST)、バルーン拡張下結石除去術(EPBD)、閉塞性黄疸に対するドレーナージ術(ENBD、PTCD)及びステント留置、早期胃癌や食道癌に対する粘膜切除術(ESD)・粘膜下層切開剥離術(ESD)やレーザー焼灼術、消化管出血術に対する止血や静脈瘤に対してのEVL,EISなどを積極的におこなっております。
また最近では日本でも限られた施設のみで稼働している最新の超音波内視鏡(EUS)装置を用いてEUS下生検および遺伝子解析、EUS下造影などの最先端の医療ならびに臨床研究も行っております。

肝癌の治療では前述のRFAに加え消化器内科でも血管造影による治療を内科医自身で行っております。また厚生労働省の「がん研究助成班研究」や厚生科学研究などにも参加し新しい治療も積極的に行っております。肝癌の診断と治療では国内でも有数の基幹病院であると自負しておりますが、今後も世界へ向けた発信を続けたいと考えております。また肝癌の一次予防としてのインターフェロン治療(PEG IFN+リバビリン併用療法)や二次予防(再発抑制)のためのインターフェロン治療も積極的に行っております。

これらの特殊な治療はもちろん入院のうえで行いますが、通常の超音波検査や内視鏡検査は初診患者さんでも絶食で来院していただければ可能な限り即日検査できる体制を整えております。また、大病院にありがちな入院ベッド待ちも在院日数を出来るだけ減らす努力により、ほとんどない状態となっておりますので入院予約から1週間程度で入院が可能となっております。

教育面では3年生・4年生のチュートリアルならびに講義を担当し、5年生6年生のクリニカルクラークシップ(病棟実習)を担当しております。研修医教育にも最善の努力をし、可能な限り内科全般の研修ができるような体制を整えております。

研究面では臨床を重視した研究、さらに臨床的疑問に根ざした基礎研究、そしてその研究成果を臨床に還元すべく、いわゆるClinical Oriented Research を目指して日夜努力を続けております。臨床研究の分野ではこの大阪狭山の地から新しい evidence、新しい学問の流れを世界へと発信出来るような、そのようなcreativeな診療・研究体制を確立すべく医局員一同一丸となって努力しております。

以上長々と述べましたが、このホームページにアクセスしていただいた全ての人々に消化器内科に対して今後とも厚い御指導、御鞭撻をお願いすると共に「入局希望」、「受診希望」、「患者さんの紹介」など、いづれでも結構ですのでお気軽に上記Eメールアドレスにでもご相談又はご連絡下さいますようお願い申し上げます。

平成20年4月1日