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薬剤部

薬剤部

薬局長挨拶

近畿大学医学部附属病院薬剤部 薬局長 森嶋祥之(1978年3月近畿大学薬学部卒)

2023年、近畿大学医学部附属病院は堺市内への移転を予定しており、今まさに生まれ変わろうとしています。当院薬剤部には、近畿大学出身者以外にも多くの大学の出身者が所属しており、院内外を問わず、さらに信頼される薬剤師を目指し、近畿大学のキャッチフレーズ「固定概念を、ぶっ壊す。」さながらのダイナミックな組織改革にも取り組んでおります。

当薬剤部は、6部門で構成されています。所属員は、いずれかの部門に所属し、専門業務の他に薬剤師として必要な知識・技能の習得に日々励んでいます。また各部門には、災害担当、学術研究担当、作業環境担当、業務手順担当、勤務時間担当、業務編成担当を配置し、職場環境の向上のため日常的に取り組んでいます。

●人材育成プラン

2017年2月、薬剤部人材育成プランを策定し発表しました。その概略は、入職後7年で調剤、薬品管理などの基本的な業務に加えて各部門での専門業務を経験し、その後、専門薬剤師としての道を進むものです。大学病院でありながら、まずは調剤や薬品管理などの基本業務をしっかり学べる環境を整備しています。

●病棟業務

病棟業務の目標として、2年後全病棟への薬剤師配置を掲げています。この中で、特徴的な業務は次の2点です。

  1. 救急医療の初療(生命の危険に瀕している重篤患者に対しての緊急処置等)に積極的に参加し、薬剤師としての職能を最大限に発揮。
  2. 特定機能病院としてがん診療を重視し、全国トップクラスの抗癌剤調製件数を誇る業務への関与。

●地域医療

2017年3月、関西地区の緩和医療への関与、現場薬剤師の知識・技能の向上、連携基盤の構築を目的に、「緩和医療ファーマシューティカルケア研究会・大阪」を立ち上げるなど地域の在宅医療推進にも取り組んでいます。また、2017年4月、「第1回近畿大学医学部・大規模災害対応研修会」を開催し、地域の多職種の方々にもご参加いただいて、大規模災害時の医薬品供給の課題と対応について討議いたしました。このような活動を通じて、地域の病院薬剤師・保険薬局薬剤師の先生方との協働や連携を意識した活動も進めています。

さらにクオリティの高い医療提供のため、私たちは改革のスタートを切り、走り始めています。寸分も目が離せない近畿大学医学部附属病院薬剤部にご注目ください。

主な業務内容

調剤

近畿大学医学部附属病院 薬剤部 調剤近畿大学医学部附属病院 薬剤部 調剤

当院では電子カルテによるオーダリングシステムを導入しており、医師が電子カルテより入力した処方内容は薬剤部にて発行されます。
薬剤師が処方内容(処方薬)、用法・用量などが適正であるか確認し、処方内容に疑問が生じた場合には、処方医に確認した後、調剤します。また、内服薬調剤においては、自動錠剤分包機を活用し、患者さまが自己管理しやすいよう一包化にも対応しています。さらに、注射薬調剤では、2016年3月に注射薬自動払出システムを更新し、更なる業務の効率化および安全性の向上を図っています。

薬品管理

近畿大学医学部附属病院 薬剤部 薬品管理薬品管理室は、医薬品の購入・供給管理(発注、検収、各部署からの医薬品請求・受払業務)、在庫管理(棚卸業務、日常在庫の把握、病棟・外来などの配置薬の管理)を行い、院内の各部署に医薬品を円滑に供給し、医薬品の管理を適切に実施することで病院経営に貢献するよう努めています。

また、麻薬管理では、「麻薬および向精神薬取締法」に基づき、以下のような厳格な管理を行っています。

  1. 医療用麻薬の購入・検収・保管
  2. 麻薬処方せんに基づく調剤・交付
  3. 麻薬譲受書・譲渡書により購入された麻薬の記録の作成・保管
  4. 麻薬処方せんにより払い出された麻薬の記録の作成・保管
  5. 麻薬事故がおこった際の対応、麻薬事故届の作成
  6. 府知事への各種届出(調剤済廃棄届・麻薬廃棄届)、麻薬年間届の作成

さらに、当院で実施されている治験における治験薬は薬剤部が一括管理し、治験の科学性・信頼性・倫理性が確保できるよう、治験薬の管理・調剤、管理文書の作成および保管、治験薬のマスタ管理などを行っています。

注射薬無菌調製

近畿大学医学部附属病院 薬剤部 注射薬無菌調製当院では、サテライト方式で抗がん剤や高カロリー輸液などの注射薬の調製が行えるよう一部の病棟にミキシングルームを設けています。特に、医療従事者への曝露対策も必要となる抗がん剤においては、全病棟の入院患者さまを対象に、休日の投与にも対応可能なミキシング体制をとっています。多くの抗がん剤治療においてレジメン管理での運用を行っており、身長・体重・臨床検査値などの患者さま個々の情報を基に、投与量、投与スケジュールなどの確認を行い、有効で安全な医療が提供できるように努めています。

院内製剤

院内製剤とは、患者さまの症状や状態にあう医薬品がない時に、薬剤師が院内で調製する医薬品を指します。
調製している製剤は、内服剤・外用剤・注射剤などの全ての剤形に及びます。注射剤や点眼剤など、無菌性を求められる場合は無菌室・クリーンベンチなどの専用の設備を用いて調製しています。調製するにあたって、科学的・倫理的妥当性について十分に考慮した上で、有効性、安全性、安定性の面についても考慮し、品質を確保しています。また、無菌製剤・製剤業務において定期的な環境チェック(微粒子測定・クリーンベンチの付着菌確認試験など)を行い、市販の医薬品と同様な品質に近づけるよう適切な管理下で調製を行っております。このように院内製剤の調製は、疾患に関する知識に加えて、薬学的知識と技術が結集された業務になります。

PET(Positron Emission Tomography)/CT検査

PET/CT検査に使用する放射性医薬品は、院内のホットラボ(PET薬剤製造室)で製造されています。薬剤師は製造工程における、一部の薬剤の合成から品質管理および各種検定に関わっています。また、ホットラボの環境測定試験も行っており、製造衛生管理基準に則った管理を通じて、安全かつ的確な検査が実施出来るように努めています。

薬剤情報

近畿大学医学部附属病院 薬剤部 薬剤情報薬剤情報室では、医薬品情報の収集・評価・管理を行い、医療従事者からの問合せなどに対して、科学的な根拠に基づく情報提供を行っています。また、薬剤部内のネットワーク上に共有フォルダを構築し、薬剤部内のパソコンからフォルダ内の情報を活用できるように管理を行っています。
電子カルテ端末には、医薬品情報WEB検索システムを導入しており、検索システムにおける院内採用薬の設定、掲示板機能を利用した情報発信を行っています。
医薬品の採用などを審議する薬事委員会の事務局も務めており、採用薬に関する電子カルテのマスタ管理も行っています。

薬剤管理指導

近畿大学医学部附属病院 薬剤部 薬剤管理指導患者さまに、使用中の薬剤の服薬意義や効果、用法用量、副作用、生活上の注意点などについて説明を行っています。指導を通して、患者さまの疾患や薬剤に対する理解を深め、安心して正しく服薬できるよう貢献しています。
また、病歴や薬歴(持参薬も含む)、臨床検査値などから、薬剤の用法用量、相互作用、重複投薬、配合変化、配合禁忌などを確認し、適正かどうか判断しています。カンファレンスにも積極的に参加し、薬剤の効果や服薬状況、副作用の有無などの情報を他職種と共有し、患者さまに適した処方を提案しています。

入院センター

入院センターは入院・術前説明・検査説明・退院後の調整などのマネジメントを行い、患者さま・ご家族が入院や手術についてより理解していただき、安全性の確保につなげるための標準化した業務を行っています。医師の指示を受け、多職種が入院センター内で連携をとり患者対応を行っています。
入院センター担当薬剤師は、サプリメントの使用歴を含めた服用薬剤の把握、術前の抗血小板薬、抗凝固薬などの出血リスクがある薬剤の休薬可否について確認を行っています。

手術室

手術室では、医療用麻薬や筋弛緩薬、向精神薬、麻酔薬など、厳しく規制されている医薬品が数多く取り扱われています。また、一般病棟とは異なる環境の中、緊急性の高い医薬品や特殊な医薬品も使用されます。当院では、手術室に薬剤師が常駐し、これらの医薬品の管理を行っています。使用頻度の高い管理薬剤はセットを用意し、使用量および記録の確認を手術室担当薬剤師が行うことで、厳格な管理を維持しています。また、術後の疼痛コントロールに使用される薬剤の無菌調製も行っています。さらに必要に応じて他職種への情報提供を行いながら、手術室における医薬品適正使用を推進しています。このような業務を通して、他職種と連携し、より安全で円滑な手術室の運営に寄与しています。

救急災害センター

2013年12月より開設した「救急災害センター」は、2次救急に対応する救急外来、3次救急に対応する救命救急センター、脳卒中センター、心臓血管センターなどから構成されています。この救急災害センターには、薬剤師が常駐し、夜間も必要時に対応できるような体制を整えています。
主な業務は、毒薬、向精神薬など規制医薬品も含めた医薬品の在庫管理、持参薬鑑別、薬剤管理指導、医療スタッフへの迅速な情報提供など、多岐に渡ります。また、初療支援の一環として、脳卒中患者のt-PA製剤の調製を24時間体制で行っており、今後、他の業務展開も検討しています。

通院治療センター

通院治療センターでは、患者さまに外来でも安心して抗がん剤による点滴治療を受けて頂くために、がん専門薬剤師などの資格所持者を含む職員で業務を行っています。平均で延べ約1300人/月の患者さまが治療を受けておられ、疾患としては悪性腫瘍だけではなく、生物学的製剤の治療を必要とする関節リウマチやクローン病などの患者さまも利用されています。

薬剤師の業務内容としては、

  1. 治療内容の最終確認、制吐剤など支持療法の提案
  2. 安全キャビネットを使用した無菌調製
  3. 治療内容や副作用の説明
  4. 予約患者さまの処方内容の事前確認
  5. 在庫管理

などを行っています。

多くの抗がん剤治療においてレジメン管理を採用し、投与前に開始基準、用量確認などを行い、安全な外来治療の寄与に努めています。

医療安全

当院には、医療安全に関して組織的に取り組みを行っている「医療安全対策室」が設置されています。現在、専従の薬剤師1名が担当しており、院内のインシデント・アクシデント報告(医薬品に関する報告は全体の約4割)を確認し、重大事案については発生部署と連携・協力して情報収集、分析、対策立案など、医療安全に関わる様々な業務について薬剤師の職能を活かして取り組んでいます。医療安全に関する会議や委員会で事案について検証し、各部署のリスクマネジャーを介して全部署へ事案の周知を行い、再発防止に努めています。また、薬剤部内では医薬品安全管理責任者とリスクマネジャーと協力し、薬剤部員に情報共有と再発防止の啓発を行っています。

感染制御チーム(ICT;Infection Control Team)

ICTは院内の感染症を制御する組織で、医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師、事務職員で構成されています。現在、専従の薬剤師1名、兼任の薬剤師1名で担当しています。
AS(Antimicrobial Stewardship) ミーティングや院内ラウンドに参加し、抗微生物薬や消毒薬の適正使用支援に積極的に取り組むことをはじめとし、各種サーベイランス(調査・監視)の実施や、院内感染対策マニュアルの作成・改訂、院内感染対策における教育、近隣連携病院との情報交換などに関わっています。
患者さまおよびその家族、さらには職員を感染症や耐性菌から守ることにより、安全な医療を提供することのできる環境を整えるために、チームで活動を行っています。

栄養サポートチーム(NST;Nutrition Support Team)

医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師、管理栄養士、理学療法士、言語聴覚士、歯科衛生士など多職種で週1回、カンファレンス・回診を行い、患者さまの病態に応じた栄養療法の提案を行っています。
NSTでの薬剤師の役割は、臨床検査値ならびに患者状態を把握し、個々の病態に応じた必要熱量、アミノ酸、輸液量、電解質、NPC/Nなどを決定し、静脈栄養の処方設計支援を行っています。投与速度や薬剤による副作用の有無なども併せて確認しています。
また、院内外における医療従事者の栄養療法のスキルアップを目的として、当院NSTが定期的に講演会、研究会を企画・運営しています。

緩和ケアチーム(PCT;Pain Control Team)

当院の緩和ケアチームは、医師・薬剤師・看護師・管理栄養士・理学療法士など多職種で構成されています。入院患者さまのがんによる痛み・吐き気・息苦しさなど不快な身体症状の緩和や、不安・気持ちの落ち込みなど精神的な苦痛に対しても支援を行っています。緩和ケア専任の薬剤師は、病棟回診やカンファレンスに参加し、医療用麻薬を含む鎮痛剤などの処方提案や副作用モニタリングを通して薬物治療全般に関わっています。緩和ケアでは、患者さまそれぞれにあった適切な治療やケアを考える必要がありますが、薬剤師も患者さま個々の疾患や療養環境などを考慮しながら最適な薬物治療が受けられるようにアプローチしています。

薬物治療モニタリング(TDM;Therapeutic Drug Monitoring)

TDMとは、血中薬物濃度の結果から、臨床検査値など治療効果や副作用に関する様々な因子をモニタリングしながら、望ましい治療濃度になるような用法用量を個別に設定していく業務です。
当院では、臨床検査技師と連携を取り、測定された結果に基づいて、患者さまの状態を総合的に判断した上で、次回以降の投与量や必要な検査を医師に提案しています。また、医師や看護師から採血タイミングや相互作用などに関する問い合わせにも対応するため、薬剤師として高い専門知識が求められる業務の一つと言えます。
医薬品の効果は最大限に、副作用は最小限に維持できるよう、質の高い薬物療法の提供に貢献するよう努めています。

院内活動

当院では患者さま向けに、定期的に様々な教室を開催しており、薬剤師は糖尿病・腎臓病・肝臓病教室などの講師を担当しています。
各教室の講師メンバーは、薬剤師のほかに医師・看護師・臨床検査技師・管理栄養士・などから構成されており、それぞれの専門分野に関する講義をしています。
薬剤師は、主に薬と疾患の関係について説明し、薬の効果・作用・副作用や使用する時の注意点などの情報を提供しています。これにより、患者さまが安心して継続した治療に取り組めるようサポートしています。

新人教育

入職1年間は、病院薬剤師としての責任を理解し、基礎と業務を着実に身につけていくことを目的とした研修を行っています。当院では、1年目は調剤業務や注射薬ミキシング業務を中心に、様々な業務を経験しながら実践を通じて学びます。新人研修担当の薬剤師を配置し、日々の研修での疑問や不安な点が出てきた際に気軽に相談できるようサポート体制を整えています。研修中はチェックリストを用いて、進捗状況の把握をしながら細やかな指導を行っています。

薬学生教育(実習)

薬学教育が6年制に移行し、長期実務実習が開始されました。その大きな柱である2.5ヶ月間(11週間)の病院実習を、年間で3回、合計36名にも及ぶ薬学部5年生を受け入れています。
調剤および製剤、薬剤管理指導やチーム医療など薬剤師業務に関する基本的知識、技能、態度の修得を通じて、病院薬剤師の業務と責任を理解することを目的としています。
「実務実習モデル・コアカリキュラム」の一般目標を達成できるように、また、当院の特徴を生かした教育ができるように独自のカリキュラムを作成し、直接指導しています。また、学生専用のノートパソコンを配備したセミナー室を設け、レポート作成や自習に、時には交流の場として活用されています。

資格取得

資格取得支援

専門・認定薬剤師とは、医療の専門領域や薬物治療に関する高度な知識・技能を有する薬剤師として、各領域の学会・協会から認定を受けた薬剤師のことです。薬剤部員は資格取得に向けて院外の勉強会に積極的に参加しています。また、専門領域の専門・認定薬剤師は各医療チームで活躍し、患者さまのサポートをしています。当院では、各種専門・認定薬剤師を養成する教育医療機関として認定を受けています。日々の業務の中で、薬剤部スタッフや他職種と共に研鑽を積み、認定・専門薬剤師の取得が可能です。

<研修施設>

  • 日本医療薬学会 認定薬剤師研修施設
  • 日本医療薬学会 がん専門薬剤師研修施設
  • 日本医療薬学会 薬物療法専門薬剤師研修施設
  • 日本病院薬剤師会 がん薬物療法認定薬剤師研修施設   など

資格取得実績 2017年7月現在

  • 日本医療薬学会認定薬剤師
  • 日本医療薬学会指導薬剤師
  • 日本医療薬学会認定がん専門薬剤師
  • 日本医療薬学会認定がん指導薬剤師
  • 日本臨床腫瘍薬学会認定外来がん治療認定薬剤師
  • 緩和医療薬学会認定緩和薬物療法認定薬剤師
  • 日本病院薬剤師会がん薬物療法認定薬剤師
  • 日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師
  • 日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師
  • NST専門療法士
  • 日本糖尿病療養指導士
  • 日本臨床薬理学会認定CRC
  • 日本臨床試験学会認定GCPパスポート
  • 医療情報技師
  • 健康食品指導薬剤師
  • 日本アンチ・ドーピング協会認定公認スポーツファーマシスト
  • 日本旅行医学会認定薬剤師
  • 乙種第4類危険物取扱者
  • ICLS認定インストラクター
  • ケアーマネージャ
  • 実務実習指導薬剤師
  • 日病薬認定指導薬剤師
  • 日病薬生涯研修認定薬剤師
  • 日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師

臨床研究

当薬剤部では、取得した患者さまの貴重な個人情報を含む記録を、医療機関としてだけでなく教育研究機関として臨床研究などの目的に利用させていただくことがあります。我々が行う研究は、厚生労働省が示している「疫学研究に関する倫理指針」に従って行い、取り扱う情報は匿名化し、研究結果は個人が特定できない形で、学会発表や論文投稿などの手段によって公開いたします。臨床研究の積み重ねにより、多くの患者さまが最適な薬物療法を受けられることに寄与できるものと考えておりますので、患者さまのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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