医師インタビュー

OB・仁科慎一(倉敷中央病院)

病気ではなく人を診ることを学べました

OB 仁科慎一(倉敷中央病院)

近大腫瘍内科に来たきっかけ

消化器内科で内視鏡をしていましたが、消化器がん治療において内視鏡治療、手術には限界が感じられました。薬物療法に興味がわきました。

大学院でがんをテーマに研究していましたが、がんの研究は臓器に関係なく、シグナル伝達、細胞周期、メチル化などがん種をこえて共通するテーマであること、それらはヒトにそなわっている本質にせまることを知りました。その研究とその結果を応用した治療が非常に近く、Bench to Bedsideが実際に行われているということに興味がわきました。

先輩に、「切除でとれるがんは、まだがんなんかじゃない、いぼと変わらない。本当にやらないといけないのは転移し切除できないがんの治療だ」。「本当の悲しみは転移し有効な治療のない患者にある。」と熱く語られました。

その先輩が近畿大学におられたこと、癌学会等でお会いするたびに誘っていただきました。

見学にいき、中川先生、鶴谷先生(現 昭和大学先端がん治療研究所教授)に一緒にがんをやらないか?と熱く声をかけていただきました。みんな仲良く、いい人たちだでした。工藤先生(現 大阪国際がんセンター)、川上先生に笑顔で挨拶していただいたことが忘れられません。

これらが積み重なり、近畿大学に行くことを決めました。

腫瘍内科での日々

消化器内科から腫瘍内科への転科ははっきり言ってきつかったです。何もかも初めてでわかりませんでしたが、みなさん、親切に教えてくれました。新しい分野、考え方に触れることができました。

呼吸器内科出身、麻酔科出身の緩和ケア医など、様々な先生方がいらっしゃって多様な文化が入り混じる感じが新鮮でした。皆ががん患者のよい未来のため日々努力していました。

基礎研究結果、統計解析、治験、臨床試験など日々刺激のある教室でした。

緩和治療も充実しており、がん患者の全人的治療が行われていて、病気ではなく人を診ることを学べました。

現在の仕事の内容

主に消化器がんの化学療法、希少がんの診療、遺伝子パネル検査の院内での実施をしています。

腫瘍内科で得た経験

消化器がんのみではなく、多癌腫の知識から、考え方が広がりました。

医療とは病気を診るものではなく、人を診ることだと再認識させられました。そして、基礎研究、臨床研究の結果をもって人の人生に小さな幸せを届けられたらいいなと考えられるようになりました。

がんを診ている人々に出会え、刺激をもらえたことが、近畿大学腫瘍内科での最も大きな経験になりました。

腫瘍内科医としてのキャリア

自分は岡山大学消化器内科で一般内科と消化器内科研修、基礎研究の指導していただいてから近畿大学腫瘍内科で再度研修させていただいたので、最初から腫瘍内科というわけではありません。消化器であれ、呼吸器であれ、がんに興味を持ったら一度腫瘍内科を経験してみることはよいことだと思います。

新しい研修医制度、専門医制度では、内科は専門医取得のため長期間の研修が行われるようになりました。その研修の中で臓器特異的な治療、全身性炎症性疾患、代謝疾患、神経疾患など内科全般を研修し、がんに興味があれば、より専門的な知識を習得するため腫瘍内科で専門医を目指すのがよいと思います。近畿大学は基礎研究に近く、留学もできるので、よりはば広い見識が得られるのではと思います。

がんゲノム医療が行われる時代に腫瘍内科はその中心で活躍すると思います。