研究オプトアウト情報

2022年12月13日 掲載

(R04-190)CT画像、HE病理組織および臨床情報からMSI-H胃癌を同定するアルゴリズムを人工知能 (AI, artificial intelligence) を用いて構築する多施設共同後向き観察研究(胃癌MSI_AI)

2022年9月30日 ver.1.0

1.対象となる方

1) 以前に「胃癌術後補助化学療法とマイクロサテライト不安定性および免疫関連バイオマーカーとの関係を検討する多施設共同後向き観察研究」にご参加いただいた患者さま
2) 本研究に関して、患者本人から文書で同意を得られている症例、もしくは既に既存試料が得られて保管されている場合、患者より明確な拒否の意思が無い症例。

2.研究実施機関

研究代表者:近畿大学医学部腫瘍内科 中川 和彦
近畿大学医学部腫瘍内科 責任者:川上 尚人
大阪医科薬科大学 一般・消化器外科 責任者:李 相雄
関西医科大学附属病院 消化管外科 責任者:井上 健太郎
堺市立総合医療センター 消化器外科 責任者:西川 和宏
大阪労災病院 上部消化管外科 責任者:赤丸 祐介

3.本研究の意義、目的、方法

がんの成り立ちには様々な原因がありますが、その中の一つにマイクロサテライト不安定性(MSI)というものがあります。マイクロサテライト不安定性が高い(MSI-H)腫瘍は、ステージIIもしくはIII大腸癌のうちおよそ15%に認められ、この特徴をもった患者さまは手術単独で良好な治療成績が認められることが分かっています。さらに近年の研究で、こうした患者様に対して免疫チェックポイント阻害薬の効果が非常に高く、手術が不要となる症例も出てきていることが報告されています。一方で、手術をされた後に行う補助化学療法が無効、もしくは時にかえって治療成績を悪くする可能性があることが示されています。またそうした現象に腫瘍免疫が強く関わっていると考えられています。近年の研究により、胃癌の中にもマイクロサテライト不安定性(MSI)という特徴をもった方がおられることがわかりました。以前に行った我々の研究ではステージII胃癌におけるMSIはおよそ13%程度に認められました。
現在、MSIと診断するためには胃癌の病理組織を用いた検査を別途行う必要があります。しかし我々は、MSI-H胃癌がCT画像や病理所見、臨床的背景に特徴を持つ可能性を見出しています。こうした特徴を人工知能(AI)に学習させ、病理組織を用いた新たな検査を追加することなくMSI診断が可能なアルゴリズムを作りたいと考えています。これにより適切な治療選択が進む結果、 胃癌全体での予後延長のみならず医療費の抑制にもつながることが期待されます。
MSI-Hの一部は、遺伝性腫瘍症候群であるリンチ症候群であることがわかっています。MSIが認められた場合、リンチ症候群と診断される確率は20~50%程度と考えられています。
リンチ症候群とは、比較的若い年齢で大腸や子宮、胃などさまざまな臓器にがんができやすくなる遺伝性疾患であり、患者さんのお子さんやご兄弟(姉妹)に50%の確率で同じ体質が受け継がれます。ただし、MSI検査だけではリンチ症候群と診断することはできず、確定するためには、さらに詳しく家族歴の聞き取りや遺伝子診断を行う必要があります。
今回の研究はリンチ症候群を見つけることが目的ではありませんが、MSIが陽性の場合にはリンチ症候群の可能性もでてくるため、必要な方には、結果の解釈について改めて説明の時間を設けます。また、心配や不安などがある場合、遺伝相談(遺伝カウンセリング)の機会を提供いたします。
本研究に参加の施設における遺伝子カウンセリングの体制としては下記のものがありますので、ご希望の場合は受診していただけるように致します。
近畿大学病院 遺伝子診療部 
関西医科大学 臨床遺伝センター
大阪医科薬科大学 遺伝カウンセリング室

本研究の目的は、胃癌に対する根治的手術をうけた患者さまのうち、すでにMSIの状態が判明している方の臨床情報ならびに病理組織、CT画像を用いて、MSIを診断できるAIアルゴリズムを作成することです。
もし、データの利用をご希望されない場合には、下記連絡先までご連絡くださいますようお願い申し上げます。

4.協力をお願いする内容

上記研究実施機関において手術をされたあなたの胃癌の組織の一部、およびあなたの診療記録を調査させていただきます。また、当院に収集された検体および情報はAI アルゴリズム構築のため、エムスリー株式会社に提供します。

【調査する項目】
①性別、②診断時年齢、③病理診断名、④原発巣部位およびTNM分類、⑤MSIの状態、⑥患者識別コード
(これらは「胃癌術後補助化学療法とマイクロサテライト不安定性および免疫関連バイオマーカーとの関係を検討する多施設共同後向き観察研究」にて収集した情報を利用する)

【試料の種類】
① 腫瘍部のHE標本1枚
【情報の種類】
② 胃癌手術前の胸部〜骨盤CT画像

5.本研究の実施期間

倫理委員会で許可された日から6年間

6.プライバシーの保護について

本研究で扱う患者さんの個人情報は、研究用に付与された患者番号のみです。その他の個人情報(住所、氏名、電話番号など)は一切取扱いません。本研究で扱う診療情報は個人を特定されうる個人情報は全て削除され、匿名化されます。個人情報と匿名化データをつなげる情報(連結情報)につきましては、本研究の情報管理者が研究終了まで厳重に管理し、研究に関してデータの確認が必要と判断された場合にのみ参照します。上記研究実施機関から【調査する項目】に示した情報を収集し、近畿大学医学部腫瘍内科にて保存/管理いたします。
この臨床研究で得られたデータおよび試料を二次利用すること(他の研究で利用すること)が有益であると研究代表者が判断した場合は、この臨床研究で得たあなたの診療情報(測定結果)および試料が利用される可能性があることをご承知おきください。その際には改めて実施計画書を作成し、必要な場合には改めて倫理委員会の承認を受けます。その場合もあなたの個人情報は厳重に守られます。
 なお、得られた情報は研究終了後から5年後に匿名のまま自動的に破棄されます。測定終了後の余剰の組織は、研究終了後から5年後に原則として返却(近畿大学医学部病院病理部または各参加施設)または破棄します。

試料・情報の管理について責任を有するものの氏名又は名称:近畿大学医学部

7. ご質問や研究に対する拒否の自由

その他に本研究に関してお聞きになりたいことがありましたら、遠慮なくいつでも担当医または下記のお問い合わせ先まで御相談下さい。
患者様からのご希望があれば、MSIの検査結果および二次的所見についてお知らせいたします。またその方の臨床データおよび試料を研究に利用しないようすることをご希望であればそのようにすることも可能です。そういったご要望を頂いたとしても、患者様の不利益となることはありません。

8. 問い合わせ先

近畿大学医学部腫瘍内科
施設責任者:講師 川上 尚人
〒589-8511 大阪府大阪狭山市大野東377-2
TEL:072-366-0221(Ex.3542) / FAX:072-360-5000

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