研究オプトアウト情報

2023年01月05日 掲載

(R04-194)骨軟部腫瘍における手動によるpan-trk免疫染色の最適化条件の検討

これまでに骨軟部腫瘍の治療を受けた患者さんへ【過去の検体、診療情報の調査研究への使用のお願い】

近畿大学病院 腫瘍内科では、「骨軟部腫瘍における手動によるpan-trk免疫染色の最適化条件の検討」という研究を行っております。
近年、肺がんにおいてはALK, ROS1, RETなど治療標的となるTyrosine kinase(TK)融合遺伝子が存在することが次世代シークエンサー(NGS)の開発によって解明され、それらに一致した極めて奏効性の高いTK阻害剤の開発も伴って、肺がん患者の生命予後は著しく改善されることとなりました。一方、骨軟部(主に四肢や体幹部)に発生する悪性腫瘍である, 肉腫の領域では、これまで分子病理診断には有効である腫瘍特異的な融合遺伝子の報告はされてきましたが、なかなか直接の治療標的となるような融合遺伝子はみつかっていませんでした。しかしながらNGSの恩恵を受け、肉腫にも直接の治療標的となりうるようなTK融合遺伝子の存在も少ないながらも次々と報告されるようになってきました。そのなかの1つにNTRK陽性腫瘍が挙げられ、臓器横断的に見たときにも骨軟部腫瘍にはNTRK陽性腫瘍が比較的多いことが知られています。しかしながら、比較的多いとは言っても骨軟部腫瘍が希少癌であること、また頻度的には1~2%程度であることもあり、全国的にも非常に稀な腫瘍となっています。現在のところ、NTRK融合遺伝子陽性腫瘍を検出する方法として最も汎用性の高いものは自動染色機によるpan-trk抗体(VENTANA)を用いた免疫染色になりますが、稀な腫瘍故に適切な陽性コントロールもなく行っている施設がほとんどであり、また偽陽性と解釈される非特異的な染色パターンもかなりの頻度でみられることが分子標的治療を勧めていくうえで大きな問題となっています。さらに、日本国内においても大学病院やある程度の規模の病院を除き、自動染色機(VENTANA)を用いた免疫染色が行えない施設も多いのです。
以上のことから、手動によるpan-trk免疫染色の染色条件の確立と、真に融合遺伝子陽性となるような染色パターンの認識が必要となっています。
本研究の成果により、自動染色機のない施設でも最適な条件でpan-trk免疫染色を行うことにより、NTRK融合遺伝子陽性骨軟部腫瘍を広く見つけていき患者救済へと繋げることが出来ると思います。そのため、過去に悪性腫瘍の治療を受けた患者さんの手術病理組織検体およびカルテ等の治療データを使用させていただきます。

●この研究の対象となる患者さんは、近畿大学病院において入院による治療を受けられた方で、研究開始時点においては遺伝素因の関与の程度、および再発・転移機構が明らかでない全ての骨軟部腫瘍の外科手術治療を受けられた方です。
利用させていただく試料・カルテ情報は下記です。
病理組織検体ならびに診断名、
①患者さん基本情報:年齢、性別、喫煙歴、家族歴、既往歴 
②疾患情報:病理組織診断、病期、原発部位、手術術式、治療内容、癌既往歴、看護記録を含む臨床経過 
③血液および各種生化学検査結果:腫瘍マーカーを含む各種検査結果 
④画像検査所見:CT、MRI、PET/CT、超音波などの診断評価用画像データ

●この研究は近畿大学医学部倫理委員会の承認を受けて行われます。
・研究実施期間 研究実施許可日 ~ 西暦2027年3月31日まで
・研究責任者  川上 尚人

●過去の病理組織検体・データを使用する研究であり、新たな検査や費用が生じることはなく、また、データを使用させていただいた患者さんへの謝礼等もありません。

●試料・情報(研究に用いられる情報に係る資料を含む。)の保管及び廃棄の方法 
本研究で解析された検体は研究事務局の責任の下で保管され、検体保存場所は順天堂大学人体病理病態学の指定された場所になります。HP上に公開した情報に対する研究協力できない旨の申し出がない限り原則として検体の破棄は行わず、匿名化を行って厳重に管理、保存されます。また、研究期間内においても検体番号が読みとれなくなった場合、試料の取り違えや混入が起きたような場合、物理的に収納が出来なくなった場合、その他研究代表者が必要と認めた場合には、研究代表者の判断により、必要に応じて廃棄される場合があります。検体の廃棄は、登録番号(検体コード)のラベルを完全に削除し、次亜塩素酸ナトリウムなどで検体を破壊したうえで医療用廃棄物として廃棄します。保管検体を医学研究に二次利用する場合には、改めて研究計画書を提出し、倫理審査委員会の承認を受けます。尚、将来の医学研究とは、施設の職員等をはじめ、国内外の医療施設、大学、研究所、治療のための薬や医療機器を作る企業などが行う、人の疾患克服に貢献する将来の医学研究のことを指します。また、本研究で得られた資料や患者さん情報などのデータは、研究事務局の責任の下で、順天堂大学人体病理病態学の保管庫にて厳重に保管されます。検体及びデータの保管期間を延長する際には改めて施設の研究倫理審査委員会の承認を受けます。保管期間経過後、本研究に関する情報を廃棄する場合は、匿名化したのち廃棄します。

●患者さんの情報は、個人を特定できる情報とは切り離した上で使用します。また、研究成果を学会や学術雑誌で発表されますが、患者さん個人を特定できる個人情報は含みません。

●調査研究の結果、特許などの知的財産が生じる可能性もございますが、その権利は大学・研究者に帰属し、あなたには帰属しません。

●この研究を行うための資金は、バイエルよりサポートを受けた医師主導研究で賄われます(Bayer IIR_Exploratory research on pan-TRK IHC protocol:Grant#22178)が、研究者が企業等から独立して計画し実施することから、特定の企業が研究結果および解析等に影響を及ぼすことはありません。

この研究の対象となる患者さんで、ご自身の情報は利用しないでほしい等のご要望がございましたら、大変お手数ですが下記のお問い合わせ先までご連絡ください。なお、研究参加の有無が今後の治療などに影響することはございません。

【問い合わせ先】
近畿大学病院 腫瘍内科
電話:072-366-0221 (内線)3542
研究責任者:川上 尚人

研究代表施設・研究事務局
順天堂大学医学部附属順天堂医院 人体病理病態学講座
電話:03-3813-3111 (内線)3523
研究代表者:齋藤 剛

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