白内障( はくないしょう )

 白内障とは

白内障は主に加齢で誰にでも発症する一般的な目の病気です。もともとピントを合わせる機能を持っている水晶体( すいしょうたい ) が濁る病気で、霞む、見えにくいといった症状が出ます。点眼で濁りを取ることはできず、手術で治療を行います。2-3mmの小さな創口から水晶体の濁りを超音波で砕いて除去し、その後人工の眼内レンズを挿入します。

白内障の代表的な症状
 視界が全体的にかすむ
 視力が落ちる
 光をまぶしく感じる
 暗く感じる
 2重3重に見える
白内障はさまざまな原因で起こりますが、最も多いのは加齢によるもので、高年齢の人ほど多く発症します。一部には全身疾患に合併するものもあるので、若年者でも発症します。
白内障の種類と原因
 加齢性白内障(加齢によるもの)
 全身疾患に合併する白内障
 アトピー性皮膚炎、糖尿病など
 先天性白内障 (風疹など)
 外傷性白内障 (眼のけがなど)
 その他 放射線、薬剤(ステロイド薬)、レーシックなど屈折矯正手術後

 手術の適応と眼内レンズ

白内障が進行して日常生活に支障がみられる場合には、手術を行います。手術では、濁った水晶体を超音波で粉砕して取り除き、その代わりに人工の眼内レンズを挿入します。挿入する眼内レンズの種類には保険適応の単焦点レンズや選定療養の多焦点眼内レンズがあります。

 白内障手術後:多焦点(3焦点眼内レンズ)を挿入した写真

具体的には、現状の保険診療内で適応可能な単焦点の眼内レンズでは、遠くにピントを合わせるか、近くにピントを合わせるかの二択になるので、元々の屈折状態(遠視や近視)や普段重視する距離(運転、料理、パソコンなどの使用頻度)などを考慮して眼内レンズを選択します。乱視が強い場合は、乱視を軽減する眼内レンズも選択できます。2020年4月より選定療養となった多焦点眼内レンズでは、眼鏡なしで遠方から近方まで見えますが、レンズの特性上、夜のライトに輪のような光(ハロー)が見えたり、コントラストが若干低下したりすることがあり、向いている人と向いていない人がいますので、主治医とよく相談してください。

 単焦点レンズの見え方:ピントを合わせた距離のものが、非常にクリアに見える。この写真では遠方にピントを合わせています。

 多焦点レンズ(3焦点)の見え方:遠・中・近の距離のものが同時に見える。

また稀ですが、過去に目に怪我をした人や、近視がとても強い患者さんでは、水晶体の支えが著しく弱いことがあり、通常の方法では眼内レンズを挿入することが困難な場合もあり、眼内レンズを白目の部分(強膜)に固定する必要があります。白内障は一般的な病気ですが、濁り方や症状の感じ方は患者さんごとに違いますし、眼の中の状況は千差万別なので、患者さんの眼の状態に適した治療が必要となります。詳細は主治医とよく相談してください。