主任教授
林秀敏
がん患者さんの健康と幸福のために全てを行うために
近畿大学医学部内科学教室腫瘍内科部門
助教 杉原綾乃
2025年4月から、1年半の期間限定の研修というかたちで近畿大学腫瘍内科にお世話になっています。
現在、同年11月に移転した新しい病院で月曜から木曜まで主に臨床業務に当たり、金土日は愛媛の自宅に戻って夫とともに1歳8か月の娘の子育てや家事をするという日々を送っています。
入職にあたり、勤務形態や学びたいことなど、きめ細やかに希望を聞いていただきました。
当科の魅力の1つは、さまざまなバックグラウンドをもつ1人ひとりの医局員の希望に寄り添い、働きやすく、学びやすい環境を整えてくれるところだと思います。
将来にわたり近大腫瘍内科や関連施設でキャリアパスを歩んでいかれる先生方だけなく、私のようにゆくゆくは地元に帰ってがん診療に携わりたいという希望をもつ者を快く受け入れてくださったことに感謝しています。
大学病院では医学研究も重要な使命ですが、当科は市中病院で活躍する腫瘍内科医の育成にも力を入れておられます。
医学部入学後、授業を受けるなかで化学療法に興味を持つようになりました。学生実習や初期研修では、腫瘍内科、血液内科の先生方から患者さんへの病状説明に同席したことが印象的でした。
どの先生も、患者さん1人ひとりの病状だけでなく、生活背景、大切にしているもの、治療中の目標などを把握され、それを踏まえて治療方針を患者さんと一緒に決める、いわゆるShared Decision Makingを実践しておられ、感銘を受けました。
その後、初期研修で実際に担当医として悪性腫瘍の患者さんを診療していく過程で、腫瘍内科、血液内科を志すようになりました。
医師になって7年目で出産しました。内科専門医のみを取得し、血液専門医の研修が修了する間近の時期でしたが、さらに腫瘍内科の研修もしたいという出産前からの希望に変わりはありませんでした。
現在、日本での腫瘍内科のありかたは施設によってさまざまですが、臓器横断的な診療を行う腫瘍内科医が複数在籍する施設で研修できたらいいなと思っていました。
そんな折、近大腫瘍内科のホームページに掲載されていた「医局見学のご案内」を拝見し、見学を申し込んだという経緯です。
見学した科内カンファレンスでは、症例についてていねいな検討が行われており、若手の先生方はもちろん私のような見学者であっても積極的に発言できる雰囲気に魅力を感じました。
診療内容だけでなく、家族との時間を持つための勤務条件の配慮もしていただきました。
面談では、愛媛と大阪を行き来しながら勤務することに加え、家族の事情で急に休む必要が生じた際にも対応できるよう希望しました。
そうした事情にも配慮していただいたおかげさまで、フレックスタイム制を活用して金曜日にも家族と一緒に過ごすことができています。
夫の職場にも配慮いただき、医師である夫が大学院生である時期の平日、単身赴任での研修をさせていただいています。
主任教授の林秀敏先生は私の希望をお聞き届けくださり、常々、「やりたいことは全部やって帰りなさい」とおっしゃっていただいています。
腫瘍内科の臨床について実践的に学びたいと考えていた私が実際に入職して魅力を実感したのは、先ほどお話しした科内カンファレンスとキャンサーボードでした。
科内カンファレンスでは腫瘍内科の全員が一堂に会し、診断や治療方針について検討します。多くの先生方にご指導いただき、教科書やガイドラインを読むだけではわからないこと、診療のコツを知ることができます。
見学のときに感じた通り、若手が発言しやすい雰囲気をつくってくださっていますので、それぞれの先生方が年次にかかわらず自分なりの意見や課題をもって参加しています。
仮に基本的なことがわかっていなくて質問したとしても、とがめられたりすることはありません。
むしろ、若手が誤解しがちなところ、わかりにくいところ、陥りやすい落とし穴ととらえ、ご自身の経験に基づいてとても教育的に、ていねいに説明してくださいますのでありがたく思っています。
当科には、臓器横的診療をしながら肺、消化器、乳腺など、それぞれの専門領域で最先端をゆく先生方がおられるため、今後の治療開発の動向なども知ることができるのも大きな魅力です。
もう一つの魅力は、外科や放射線科の先生方と行う、臓器別のキャンサーボードが複数開催されていることです。
腫瘍内科は主治医1人で診断・治療が完結するわけではなく、他科の先生方と一緒にがん診療を進めていく必要があります。腫瘍内科の研修では、どのタイミングで、どんなことを、どの科の先生に相談したらよいのかを学ぶことも大切です。
その意味では、若手も興味のあるキャンサーボードに自由に参加でき、自分の診療している症例について相談できるのは貴重な機会だと思います。
私は、臓器横断的ながん診療を学びたいと考えていました。近畿大学のように、複数のがん種を豊富な症例数で診療する腫瘍内科は、国内でも限られていると思います。その点で、当科は私の希望に合った研修の場だと感じています。
当科は、腫瘍内科医として臨床・研究両面で多くの経験のチャンスがあり、1人ひとりの希望に合わせて成長していける場だと実感しています。
私自身は、当科で残り半年の勤務を終えたあとは市中病院の腫瘍内科に勤務し、がん診療に関わりたいと考えています。
腫瘍内科に興味をお持ちの先生方は年齢、性別、キャリアを問わず当科に見学に来ていただき、その魅力をご自身で実際に確かめていただくことをお勧めします。
(2026年5月29日インタビュー)