栄養部
栄養部とは
部署理念
『患者さまの思いを共有し、食・栄養の専門職として治療実績向上に貢献する。』
栄養部は、中央部門に属し、患者さまのQOL向上や栄養状態の改善に貢献すべく業務に従事しております。
「食」に関わる専門部署として、食事・栄養を「治療の一環」と考え、患者さまの治療が円滑にすすむサポートができるよう、スタッフ一丸となって取り組んでいます。
- 当院では、入院時食事療法(Ⅰ)に準じた食事管理を行なっています。
概要
1.栄養管理業務
栄養管理では、病棟担当制にて一般病棟9病棟・救命病棟・ICUを8名の管理栄養士それぞれが病棟を担当し、患者さまの栄養管理を行なっています。入院患者さま毎に栄養評価を実施し、栄養管理計画を作成、病状や治療状況に応じた食事内容や経腸栄養剤・輸液メニュー等を提案していきます。医師、看護師をはじめとした多職種と情報共有を行ないながら、多職種連携をモットーに日々業務に携わっています。
また、入院・外来患者さまを対象とした栄養食事指導では、食事療法が必要な患者さま・ご家族に対し、医師の指示に基づき、日常の食習慣に合わせた内容で、お話をさせていただいています。
- 病棟業務(栄養アセスメント、食事調整、栄養療法提案等)
- 病棟栄養カンファレンス・退院前カンファレンス参加
- 栄養指導(入院・外来・集団)
- チーム医療 等
2.給食管理業務
給食管理では、HACCPに準拠した衛生管理を行い、安心・信頼のできる食事のご提供を心がけ、食事で楽しみを感じていただけるよう、毎日選択メニューを実施、二十四節気に合わせた行事食の提供を行なっています。年2回の嗜好調査や日々患者さまからいただくご意見の他、栄養委員の医師、看護師、薬剤師等による検食や、管理栄養士による糖尿食や腎臓食、嚥下食など特別治療食の検食など、様々な方面から幅広い意見を集めるよう努めています。
2016年4月には、これら意見をもとに、献立や食器の再編を行い、さらに総合大学のメリットを活かし「食事満足度向上プログラム」を開始しました。近畿大学農学部食品栄養学科の学生による献立表の刷新をはじめ、農学部で採取されたハーブ(スペアミントやタイム等)、附属農場で収穫された近大みかんなどを献立へ取り入れ始めました。また、地元で収穫された各種農作物を病院食に取り入れるとともに、食材や献立に関する情報を学生考案のイラスト付きメッセージカードで紹介するなど、食環境の観点からも満足度を向上させる取り組みを行っています。
- 院内約束食事箋の作成・管理
- 食事提供
- 献立管理
- 衛生管理
- 検食実施(毎食)
- 嗜好調査(年2回)等
3.その他業務
特徴
1.栄養管理
1)病棟業務
各病棟に1名ずつ管理栄養士を配置し、入院患者さまの栄養管理を担当しています。
日々、患者さまの食事内容の調整や、咀嚼嚥下機能に応じた食事形態の調整、治療に応じた経過腸栄養剤や輸液の提案を行なっています。
また、週に一度、病棟毎に医師や病棟看護師と栄養カンファレンスを行い、多職種で情報共有、ディスカッションを行なっています。退院時には、退院前カンファレンスに参加し、在宅支援も実施しています。
2)栄養指導
主治医からの依頼で実施していますので、ご希望があれば主治医へお伝え下さい。
糖尿病や高血圧症などの生活習慣病をはじめ、消化器の手術後やがん患者さまなど、様々な疾患に対して栄養指導を実施しています 。
①個人指導
【入院個人指導】
実施場所:各入院病棟
実施日:月曜日~土曜日 ※祝日を除く
月曜日~金曜日(9:00~17:00)
土曜日(9:00~12:00)
病室に直接伺い、実施させていただきます。
【外来個人指導】
実施場所:外来栄養相談室(2階6番窓口の隣)
実施日:月曜日~土曜日 ※祝日を除く
月曜日~金曜日(9:00~17:00)
土曜日(9:00~12:00)
②集団指導
医師、看護師、薬剤師、管理栄養士等により療養に関する講義を実施しています。
【糖尿病教室】
毎週金曜日 外来・入院隔週
外来 13:00~ 予定表
入院 10:00~ 予定表
【腎臓病教室】
(毎月第4木曜日13:30~)
3)チーム医療
食・栄養の専門職として、他職種と連携して患者さまの治療やケアを実施しています。
現在参加しているチーム
- 栄養サポートチーム(NST)
- 褥瘡対策チーム
- 緩和ケアチーム
- ストーマケアチーム
- 糖尿病チーム
- 腎臓病チーム
- 透析チーム
- 心臓リハビリチーム
- 摂食嚥下支援チーム
- 呼吸リハビリチーム
- 身体拘束最小化チーム
2.給食管理
1)食事の時間
朝食 7:30
昼食 12:00
夕食 18:00
2)適温サービス
温かいものは温かく、冷たいものは冷たく、適温でお届けできるように、温冷配膳車を使用しています。
3)当院のお食事について
一般食から治療食まで150種類以上の食種をご用意しています。
一般食(常食)
-
【献立例】
・銀鮭の塩焼き
・牛肉とピーマンの炒め物
・ポテトサラダ
・ごはん
-
【献立例】
・いかのチリソース
・茄子の含め煮
・卵豆腐
・ごはん
-
【献立例】
・鶏肉のじぶ煮
・高野豆腐の卵とじ
・野菜のかつお和え
・ピオーネ
・ごはん
各種特別治療食
一例)
糖尿食
1日のエネルギー量や炭水化物量を調整した食事です。
食事バランスを考慮して副食に野菜をたくさん使用しています。
減塩食
1日の塩分量を6g未満に調整した食事です。(高血圧治療ガイドラインより)
香味野菜や濃くとっただし汁等を活かし、薄味でも美味しく食べることができるように工夫しています。
嚥下食
嚥下調整食学会分類2021(日本摂食嚥下リハビリテーション学会)に基づき、咀嚼や嚥下機能が低下している患者さまに嚥下食の提供を行っています。
食欲不振食(各種パール食)
化学療法や放射線療法の副作用などによる有害事象に対応した5種類の食種をご用意しています。
(果物やデザート中心の食事、口内炎に対応した刺激の少ない食事、主食の麺類対応、3食の食事量を減らしておやつを提供など)
4)食事満足度向上のための取り組み
選択食
(朝食)パンメニュー、ご飯・粥メニュー
(昼食・夕食の主菜) 基本メニュー、選択メニュー
※常食、妊産婦食、パール食のみ
行事食
少しでも食事に季節や楽しみを感じていただけるようにその時々にあわせた『行事食』を年45回程提供しています。
近大プレート
毎月12日を近大プレートの日と称し、近畿大学に関連のある食材を使用したプレート食を提供しています。
近畿大学附属農場で収穫された近大みかんをはじめ、農学部で栽培されたさつまいも、近畿大学が包括連携協定を結んでいる生駒市や平群町、東大阪などで収穫された果物や野菜を使用しています。
小児食
小児食を提供している患者さまに、食事の見た目も楽しんでいただけるよう、定期的にお子様ランチプレートなどをご提供しています。
農学部や近畿大学附属農場との連携
近畿大学農学部や近畿大学附属農場と連携し、近畿大学で育てた野菜や果物を病院食に取り入れています。
(近大みかん、近大マンゴー、ミニトマト、ハーブ、ミント、ズッキーニ、南瓜、じゃが芋、玉ねぎなど)
◆近大みかんと冬野菜の和え物◆ レシピ
地産地消の推進
平群町等近隣で栽培された野菜や果物を病院食に取り入れています。
(平群産ぶどう、古都華、紫ししとう、新玉ねぎなど)
おやつ
小児食を提供している患者さまに、15時におやつをご提供しています。また、月1回スペシャルおやつデーを設定しています。
(綿菓子、かき氷、フルーツポンチ、プチパフェ、モンブラン、さつまいもプリンなど)
3.その他
1)各種イベント開催
小児病棟において、近畿大学農学部食品栄養学科と連携し、夏祭りやハロウィンイベント、クリスマスイベントを実施しています。
イベントでは手作りおやつをご提供しています。
2)ファミリー食の提供
入院中の患者さまに面会や付添いをされる方への食事提供を行っています。(事前申込制)
ファミリー食詳細
3)研修会、学会活動
部署内勉強会や栄養カンファレンス、医療安全研修、学会発表などを定期的に行っています。
4)学生教育
管理栄養士養成施設(大学)の臨地実習・講義を担当しています。
設備・施設
栄養部内の設備・施設について一部ご紹介いたします。
温冷配膳車
温冷配膳車を使用し厨房から食事を運び各病棟へ配膳します。温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で提供できるように努めています。
スチームコンベクションオーブン
蒸す・焼く・蒸しながら焼くなどの様々な調理機能を備えたスチームコンベクションオーブンを使用しています。
実績(2023年度)
- 栄養指導件数:4,001件 年次実績推移2024 栄養指導実績(病名別)2024
- 栄養管理計画書作成数:10,988件
- 病棟患者訪問件数(食事調整等):5,536件
- 提供延べ食数:267,998食
- 加算
- NST加算
- 早期栄養介入管理加算
- 個別栄養食事管理加算(緩和)
- 栄養情報提供加算
- 摂食嚥下機能回復体制加算
- 周術期栄養管理実施加算
- 入院・外来栄養食事指導料
- 外来栄養食事指導料(注2、注3)
- 集団栄養食事指導料(入院・外来)
スタッフ紹介(2024年4月現在)
所属学会
- 日本栄養治療学会(JSPEN)
- 日本病態栄養学会
- 日本集中治療医学会
- 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
- 日本臨床栄養学会
- 日本緩和医療学会
学会活動、論文掲載、書籍など
2024年度
- 「パネルディスカッション管理栄養士企画 GLIM criteriaの導入と実践、栄養治療への活用」
日本栄養治療学会近畿支部第16回支部学術集会
- 「災害時の備え事例発表」
令和6年度郡山保健所管内特定給食施設等関係職員研修会
- 「GLIM基準導入における課題と成果」救命救急センターの立場から
日本病態栄養学会第1回近畿地方会
- 「外来がん患者における栄養関連因子に関する検討」
令和6年度奈良県栄養士会研究発表会
- 「1人でも、多職種と一緒でも、栄養管理には必須!!どこをみる?ミールラウンドのコツと技 ミールラウンドをはじめる前に準備すること」
ニュートリションケア 2024 vol.17 no.5
- 「1人でも、多職種と一緒でも、栄養管理には必須!!どこをみる?ミールラウンドのコツと技 ミールラウンドの実際 チームで多職種が介入し自力摂取が可能になった症例」
ニュートリションケア 2024 vol.17 no.5
2023年度
- 抗癌剤治療中膵がん患者のFAACTと身体及び食事摂取状況に関する検討
第39回日本臨床栄養代謝学会学術集会
- 急性期脳神経疾患患者における誤嚥性肺炎発症と早期栄養介入・口腔衛生保持の重要性
第39回日本臨床栄養代謝学会学術集会
- タスクシェアに貢献する救命救急センターでの管理栄養士による栄養サポート
第51回日本集中治療医学会学術集会
- 外来化学療法中がん患者の体重減少と食事摂取状況に関する検討
第45回日本臨床栄養学会総会
- 集中治療室への管理栄養士配置の意義
日本集中治療医学会第7回関西支部学術集会
- 摂食嚥下障害に対する管理栄養士の関わり
第15回日本臨床栄養代謝学会 近畿支部学術集会
- 食事に関わる課題点について多職種の専門性を生かしたアプローチにより普通食が摂取可能となった1例
第15回日本臨床栄養代謝学会 近畿支部学術集会
- がん患者さんへの栄養介入~R4診療報酬改定から1年経過して~
第19回奈良がん医療研究会『まほろば塾』
- 救命救急センターでの管理栄養士業務
奈良県TCS研究会 第15回セミナー
2022年度
- 大学病院におけるがん終末期患者に対する管理栄養士の関わり
第14回日本臨床栄養代謝学会 近畿支部学術集会
- 救命救急領域での早期栄養介入管理加算の意義と管理栄養士の未来
第14回日本臨床栄養代謝学会 近畿支部学術集会
- 早期栄養介入のため管理栄養士に求められること
第26回日本病態栄養学会学術集会
- 頚髄損傷による嚥下障害に対して腸瘻にて栄養管理を行った胃がん既往患者の1例
第12回南大阪・紀北NST研究会
- がん患者への栄養介入について
第29回Osaka Cancer Care Forum
- 緩和ケアにおける栄養管理の重要性
初心者からのがん病態栄養管理セミナー
- 免疫を整える食習慣って?~おいしく食べて健康に~
KINDAIオープンファーム2022
- ダメダメ指導にさようなら栄養指導の〇と×
慢性腎臓病(CKD)の栄養指導から体重減少を来した高齢患者
ニュートリションケア2022.vol15.3
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の検査
ニュートリションケア2022.vol15.4
2021年度
- 非結核性抗酸菌症(NTM)における栄養障害とサルコペニアの有病率
第36回日本臨床栄養代謝学会学術集会
- 慢性心不全患者へのチームでの関わり~管理栄養士と理学療法士の立場~
第13回関西心不全栄養療法研究会
- がん患者さんの栄養管理~病態に応じた関わりについて~
奈良県栄養士会研修会
- 症例を読み解くキーポイント
ヘルスケアレストラン2021.5
- 症例を読み解くキーポイント
ヘルスケアレストラン2021.8
- 症例を読み解くキーポイント
ヘルスケアレストラン2021.11
- 症例を読み解くキーポイント
ヘルスケアレストラン2022.2
- 重症患者の早期栄養介入管理の実際
ニュートリションケア2021.vol14.2
- コロナ禍で糖尿病診療はどう変わった?~食事療法について~
第18回チームで考える糖尿病医療の会
- 糖尿病患者の食生活へのかかわり~入院から外来まで~
糖尿病 病診連携の会
2020年度
- 間接熱量計(CARESCAPE TM ベッドサイドモニタB650)の使用経験
第35回日本臨床栄養代謝学会年次学術集会
- 緩和ケアチームの重症心不全患者への対応
第11回関西心不全栄養療法研究会
- 救命救急センターにおける管理栄養士病棟配置による早期経腸栄養の実践効果
JSPEN Vol.2(5):2020
2019年度
- 当院緩和ケアチームにおける個別栄養食事管理加算の現状
第24回日本緩和医療学会学術大会
- 頭頚部癌患者における病棟担当管理栄養士の介入効果について
第23回日本病態栄養学会年次学術集会
- がん患者の栄養指導の実際
第25回Osaka Cancer Care Forum
- 救命救急センターにおける管理栄養士による早期経腸栄養実践効果
第34回日本静脈経腸栄養学会年次学術集会
- 脳神経外科急性期の管理栄養士による経腸栄養管理
第11回日本静脈経腸栄養学会近畿支部学術集会
- 救命救急センターにおける管理栄養士による早期経腸栄養実践効果
JMDS(日本メディカルダイエティシャン研究会)2019 in 高知
- 症例で学ぶ経腸栄養剤の選択のポイント 腎疾患
ニュートリションケア2019冬季増刊
取得資格
- 日本糖尿病療養指導士:4名
- 栄養サポートチーム(NST)専門療法士:4名
- がん病態栄養専門管理栄養士:1名
- がん病態栄養専門管理栄養士研修指導師:1名
- 病態栄養専門管理栄養士:2名
- 静脈経腸栄養(TNT-D)管理栄養士:1名
- 栄養教諭1種免許状:1名 (重複あり)
入院患者食事調理等業務
受託会社(日清医療食品株式会社)職員28名
- 管理栄養士:2名
- 栄養士:5名
- 調理師:7名
- 調理員:13名
- 事務員:1名
嗜好調査結果
2023年9月実施 嗜好調査結果 「嗜好調査結果」
年2回定期的に実施しています