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診療科・部門のご案内

消化器外科

おなかのヘルニアセンター

そけいヘルニア(脱腸)とは?

ヘルニアとは、腹腔内容物(腸管や脂肪)が、お腹の壁が弱くなった部分から飛び出す状態のことで、いわゆる脱腸です。そして、太腿の付け根部分に生じるヘルニアの総称をそけいヘルニアといいます。また腸が出た状態で放っておくと、腸閉塞になり緊急手術が必要になることがあります(ヘルニア嵌頓)。そけいヘルニアは、手術しなければ治りませんので、症状がなくても元気なうちに手術することをおすすめしています。

  • 足の付け根(そけい部)が
    脹れてきます。

おなかのヘルニアセンターのご紹介

おなかのヘルニア(脱腸)センターを2024年4月に開設しました。そけいヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニアなどのおなかに発生するヘルニア(脱腸)や食道裂孔ヘルニアに対する診療を行います。
近畿大学奈良病院では、消化器外科手術に精通した外科医と麻酔科専門医が協力して、安全性に配慮し、術後の痛みや再発が少ない手術(腹腔鏡下ヘルニア修復術)を積極的に行なっています。
これまで、私たちが培った技術を基に安全・安心な治療を提供し、患者様に満足していただけますように、スタッフ一同協力してまいりますので、どうぞ安心しておまかせください。

  • おなかのヘルニアセンター
    リーダー
    診療講師

    がくはら あつし
    額原 敦

  • おなかのヘルニアセンター長
    診療部長
    教授

    きむら ゆたか
    木村 豊

当科でのそけいヘルニア(脱腸)に対する手術

  • そけいヘルニア(脱腸)に対して、腹腔鏡手術(TEP法、TAPP法)を中心に行います。
  • 麻酔科専門医による全身麻酔下で安全に手術を行います。
  • 最新のCTで術前に患者様のヘルニアの状態を正確に診断します。

当院ではTEP法Totally Extra-Peritoneal repair;完全腹膜外修復法)またはTAPP法(Trans-Abdominal Pre-Peritoneal approach; 経腹的腹膜外修復法)による腹腔鏡下ヘルニア修復術を行なっています。TEP法はお腹の中にはいらず、腹膜と筋肉の間をはがして空間を作成し、メッシュでヘルニア門をふさぐ術式です。当院では臍の一つの小さな傷(約2.5㎝)もしくは小さな傷2か所で手術(SILS-TEP法またはSILS+1 TEP法)を行っており、創が小さく疼痛が軽減され、早期社会復帰が可能と考えています。また、TAPP法においても、小さな傷3か所で手術で行っています。

前立腺手術後などは癒着のため腹腔鏡でのアプローチが難しいため、そけい部切開法が有用ですので、当院ではそけい部切開法(メッシュプラグ法、リヒテンシュタイン法など)を行なっております。

そけいヘルニアの分類

外そけいヘルニア

年を取り筋肉が衰えてくると、そけい管の入り口が緩み、隙間から腹膜が袋状に出てくるようになります。ヘルニアの袋がそけい管内を通り脱出します。鼠径部の外側から出てくるタイプです。そけいヘルニアで一番多いです。

内そけいヘルニア

年を取り筋肉が衰えてくると、腹壁の弱いところを直接押し上げるようにして腹膜が袋状に伸びて脱出します。鼠径部の内側から出てくるタイプです。高齢の男性に多く見られます。

大腿(だいたい)ヘルニア

大腿ヘルニアは通常のそけいヘルニアよりも下方で膨らみます。中年以降の痩せ型の女性に多く、嵌頓症状で発症すれば、緊急手術となることがあります。

その他のヘルニア
閉鎖孔(へいさこう)ヘルニア

痩せた高齢女性に多く見られます。骨盤の閉鎖孔を通る閉鎖神経の圧迫症状(下肢痛や股関節痛)を訴えることがあります。嵌頓した場合は、緊急手術となることがありますが、超音波ガイド下整復を行い、整復できれば待機的手術が可能です。

再発そけいヘルニア

  • 手術を行った側がまたそけいヘルニアになることを再発そけいヘルニアと言います。再発率は通常2%程度と言われています。
  • 再発そけいヘルニアの治療は手術治療が基本となりますが、前回手術の影響の癒着で難易度が高いとされています。
  • 当院では前回手術の術式に応じて、適応のある方に腹腔鏡下修復術を選択し、安全に手術を行っています。
  • 以前そけいヘルニアの手術を受けたにも関わらず、再び同じ部位がふくらんできた方(再発)は、一度ご相談ください
  • 再発とはいいませんが、以前そけいヘルニアの手術を受けた反対側がふくらんでくることがあります(対側発生)。その場合も、ご相談ください。

腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニア

  • 腹壁瘢痕ヘルニアは過去の腹部手術において切開・縫合した筋膜・筋肉が離開し、その隙間から腸などが脱出する病気です。
  • 腹壁瘢痕ヘルニアの修復方法はメッシュを用いた修復術が主流です。IPOM法(IntraPeritoneal Onlay Mesh)、IPOM plus法Rives-Stoppa法MILOS法(mini or less open sublay)など様々であり、当院では患者様に応じて適切な術式で対応しています。
  • 腹腔鏡手術低侵襲で、メッシュ感染を低減させるとされています。当院ではlap-IPOM plus法やeMILOS法(endoscopic mini or less open sublay repair)を行っています。
  • 入院期間は3日から1週間程度となります。
  • 以前お腹の手術を受けて、手術の創がふくらんでこまっておられる方は、一度ご相談ください。

食道裂孔(しょくどうれっこう)ヘルニア

  • 社会の高齢化に伴い、胸やけ、げっぷ、胸痛、咳嗽などを訴える大きな食道裂孔ヘルニアが増加しています。
  • プロトンポンプインヒビター(ネキシウム、パリエットなど)、P-cab(タケキャブ)などの内服で改善しない場合、大きな食道裂孔ヘルニアについては、外科的治療の適応となります。
  • 当院では低侵襲な腹腔鏡下食道裂孔ヘルニア修復術を行っております。
  • 症状やヘルニアのタイプに応じて、食道裂孔縫縮、メッシュ修復、噴門形成術(Nissen法、Toupet法)を行っています。
  • 1週間程度の入院となります。
  • お薬を内服しても胸やけなど逆流性食道炎の症状が治らない方は、一度ご相談ください。

担当医師紹介

2010年 大阪市立大学卒
【資格】
日本外科学会外科専門医
日本消化器外科学会専門医
消化器がん外科治療認定医
da Vinci サージカルシステム認定医
日本消化器病学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本臨床栄養代謝学会認定医
日本食道学会食道科認定医
マンモグラフィ読影認定医
ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本ヘルニア学会 会員

おなかのヘルニアセンター・リーダー
診療講師

がくはら あつし
額原 敦 医師

2006年 大阪大学卒
【資格】
日本外科学会外科専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
消化器がん外科治療認定医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医・指導医
日本食道学会食道科認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
医学博士(大阪大学)

診療講師

ふくだ しゅういち
福田 周一 医師・医学博士

2010年 大阪大学卒
【資格】
日本外科学会外科専門医
日本消化器外科学会専門医
消化器がん外科治療認定医
日本臨床栄養代謝学会認定医
日本肝臓学会肝臓専門医
医学博士(大阪大学)

医学部講師

ふくだ やすなり
福田 泰也 医師・医学博士

2012年 大阪大学卒
【資格】
日本外科学会外科専門医
日本消化器外科学会専門医
消化器がん外科治療認定医

医学部講師

いしかわ さとし
石川 慧 医師

2015年 大阪医科大学卒
【資格】
日本外科学会外科専門医

医学部講師

みなみ そういちろう
南 壮一郎 医師

診療体制・スケジュール・実績

 
AM 原口 額原 福田 古賀 木村
PM 原口 額原 福田 古賀 木村

月曜日から金曜日まで、対応しています。
(可能であれば、かかりつけの先生に予約を取っていただいて紹介状を持参して、ご来院ください。その方が、待ち時間が短くなります。)

初回外来で、診察・術前検査(CT含む)を行い、次の外来で術前説明を行います。 (入院までに麻酔科受診があります。)

手術前日に入院。(当日入院も可能)

手術

術後2-3日で退院。(術後翌日の退院も可能)

そけいヘルニア(脱腸)手術数 推移

2020年に腹腔鏡下ヘルニア修復術を導入して以来、
多数の患者様に腹腔鏡手術を行なっています。