リハビリテーション部では理学療法士24名、作業療法士5名、言語聴覚士10名(非常勤1名)が所属しています。
急性期といわれる発症直後や手術後から合併症を予防、日常生活動作の獲得を図るために理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が早期から介入します。医師、看護師をはじめ薬剤師や管理栄養士などの多職種と協力しながら、よりよいリハビリテーションの提供を行っています。加えて研究や学生の教育と育成にも関わっています。
理学療法部門では主に4チームに分かれており、その専門性を活かし、リハビリテーションの提供を行っています。他にもNICUでのディべロップメンタルケアや糖尿病の運動療法、化学療法・移植前後の身体機能の維持や向上のために対してのリハビリテーションも行っております。
『運動器』は“動く”ことに関わる骨、筋肉、関節、神経などの総称であり、低下した筋力や関節の動く範囲の改善を図り、立ち上がり、歩行、階段などの移動手段や日常生活動作の獲得、障害された機能を回復し自宅復帰・社会復帰ができるように、また、スポーツ活動への復帰を目指して実施しています。
運動器部門では主に整形外科での手術後の後療法としてリハビリテーションの提供を行っています。対象疾患として、変形性関節症をはじめとする各種関節疾患、脊椎・脊髄疾患、骨・軟部腫瘍、骨折などに対して入院加療された方を対象にしています。
手術後は出来るだけ早期から機能向上を目的として開始し、歩行や日常生活動作の自立・獲得を目指して個々の患者さまの安静度や全身状態に合わせて進めています。また入院中にはリハビリテーションを通じて退院後の生活や障害予防のため説明なども同時に行っております。
主に脳梗塞、脳卒中などの脳血管疾患や神経難病に対するリハビリテーションを行っています。脳卒中では発症後から介入し、医師や看護師など多職種で相談の上、立ったり、歩いたりする練習を早期から行い、1日でも早く日常生活動作の獲得を図るようにしています。
神経難病の患者さまに対しても身体機能の向上や呼吸機能の向上などを目的とし、リハビリテーションを提供しています。
肺がんや食道がんの術前後など周術期と呼ばれる期間から介入をしています。
手術前から呼吸機能の向上や痛みをできるだけ少なくするような呼吸や痰の出し方の練習を行います。手術後は肺炎などの二次的な合併症を予防するために、呼吸方法の説明や歩行練習などを行い、身体機能の向上、日中の活動性を向上させていくように関わっています。またCOPDや間質性肺炎などの慢性肺疾患患者さまに対しても呼吸リハビリテーションを提供し、身体機能の向上、日中の活動性の維持・向上を図るようにしています。
冠動脈バイパス術などの心臓手術後より、運動負荷を多職種で検討しながら、日常の活動性を高めるように関わっています。また、昨今、増加している心不全入院に対して、ハートノートなどの教育資材を使用しながら、多職種により心不全教育を実施しています。心不全の再入院を減少させるように積極的に介入しています。集団での心臓リハビリテーションも行っており、集団でありながらも個人個人にあった運動負荷を専門の理学療法士がつき、提供しております。
作業療法では身体障害や高次脳機能障害などによって生じる応用的動作能力(食事、整容、更衣、排泄、入浴、家事など)の評価やその回復を図るための治療を実施しています。対象疾患としては、脳卒中などの中枢神経疾患や神経難病、上肢を中心とした整形外科疾患、呼吸器疾患、熱傷など、多岐にわたって作業療法を提供しています。
言語聴覚部門は入院部門・外来部門・聴覚部門の3つに分かれています。
急性期脳血管疾患を筆頭に、頭頸部・食道癌の周術期、神経筋疾患、呼吸器疾患などの入院患者さまを対象にしています。脳卒中センターでは発症直後より介入し、言語機能や発声発語機能の改善だけでなく、認知機能や記憶も含むコミュニケーション能力の拡大を目標にした訓練を行っています。
また当院は令和2年度に地域がん診療連携拠点病院(高度型)に指定されており、集学的治療の一環として、がんのリハビリテーション(頭頸部・食道癌の摂食嚥下障害や音声障害)にも積極的に取り組んでいます。摂食嚥下チーム医療の一員として、多職種と連携し、安全かつ最良の嚥下機能の獲得、食べることでのQOL向上を目指しています。
主な対象は、ことばの発達に問題のある方、発音に困難がある方、音声に問題のある方、なめらかに話すことに困難のある方など、さまざまなことばの側面について、幅広い年齢層の方々の相談・評価・訓練・指導にあたっています。
なお、これとは別に2年前から無喉頭音声、摂食嚥下障害、顔面神経麻痺に対する言語聴覚士の治療外来も始めました。受診には耳鼻咽喉科医の診察が必要です。
聴覚部門では人工内耳植え込み術をおこなった患者さまに、聴取能の改善を目標にリハビリテーションを提供しています。伝音性難聴や混合性難聴の患者さまが適応となる人工中耳、埋め込み型骨導補聴器のフィッテイングも多数実施しています。また地域のクリニックなどから紹介された難聴の患者さまや産婦人科での新生児聴覚スクリーニングで要再検となったお子さんの聴覚機能の精査も実施しています。
リハビリテーション部では患者さまにご協力頂き、リハビリテーションを学んでいる学生が実習をさせていただいております。実習は担当療法士の監督のもと進めていきます。学生が実際に検査や評価を行っていくことがあります。
患者さまにご協力を頂く場合は説明をさせて頂き、ご了承を頂くようにしておりますが、ご本人が学生による見学や実際の評価・検査を行われることを希望しない場合は、遠慮無くお申し出ください。それにより、患者さまの診療に影響を与えることは一切ございません。