当院では、国内で承認された医薬品、医療材料を、添付文書に記載された内容と異なる方法(適応外・禁忌)で使用する際に、その適切性、安全性等を「臨床倫理委員会」にて審査いたします。その結果、その使用による患者(被験者)の利益が不利益を上回ると判断された場合、速やかに治療を実施することができるよう、対象者となられる方に事前に同意をいただくことに代えて、当院ホームページにて情報を公開することとしております。適応外・禁忌使用の薬物により発生した副作用については、国の「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となります。
なお、本件について拒否される場合やご質問がある場合は、下記の問い合わせ先にご連絡ください。
実施内容 | 重症ケアユニットにおける高濃度カリウム注射製剤を用いたカリウム補正 |
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使用する 医薬品の 名称 |
KCL 注 20mEq キット 20mL |
診療科 | 集中治療部門、救命救急部門、循環器内科、心臓血管外科、小児心臓血管外科、小児科 |
対象者 | ICU、救命救急病棟など、緻密なカリウム管理が必要な患者 |
承認日 | 2021年9月1日 |
対象期間 | 承認後永続的に使用 |
概要 | 低カリウム血症に対する治療は内服でのカリウム補充を行いますが、重症の場合や内服困難な場合は注射剤を使用します。注射用カリウム製剤は、添付文書において、40mEq/L以下に希釈し20mEq/hrを超えない速度で使用し、1日の投与量が100mEqを越えないようにすることとされています。しかし、全身管理を行う重症患者さんでは、輸液量を制限しなければ心不全に至るリスクが大きく、かつ速やかにカリウム値を補正しなければ不整脈を起こすリスクも大きくなります。そのため、集中治療部門、救命救急部門、循環器内科、心臓血管外科において注射用カリウム製剤を希釈しないで、あるいは高濃度の希釈で投与する必要が生じます。 |
対策 | 高濃度カリウム注射液を使用することで、予想より血清カリウム値が上昇することがあり得ます。そのため、カリウム注射製剤を適正に使用するための院内研修を常時行っています。また、適正なカリウム注射製剤投与のために、①最も早いカリウム製剤の体内への投与速度を0.25mEq/kg/hr以下に取り決めています。➁高濃度カリウム注射液を点滴ルートの側管から投与するときは、輸液ポンプを接続し機械的に調節します。③高濃度カリウム注射液の投与時は必ず心電図モニターを装着し観察を継続します。④高濃度カリウム注射液の投与開始時には、医療者2名で、指示の内容をはじめとする医療行為を確認いたします。 |
お問合せ先 | 近畿大学病院 安全管理部 (072)366-0221 |
実施内容 | 手術部位のマーキングや病変部位の染色等のためのピオクタニンの使用 |
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使用する 医薬品の 名称 |
メチルロザニリン塩化物(別名ゲンチアナバイオレット、クリスタルバイオレット) (商品名ピオクタニン) |
診療科 | 外科・形成外科・皮膚科・眼科・脳神経外科・産婦人科・消化器内科など |
対象者 | 当院で手術・治療・検査を受ける患者 |
承認日 | 2022年10月5日 |
対象期間 | 永続的に使用 |
概要 | 手術部位のマーキングや病変部位の染色等のためにピオクタニンという色素を用いる場合があります。ピオクタニンの臨床使用に際しては、海外(カナダ保健省)において、動物実験でピオクタニンを経口的に摂取した動物に発がん性を認めたことが報告されています。しかし、医療現場では一時的に局所使用することが一般的であり、これまでピオクタニンは、臨床の現場で永く使用されてきましたが、発がんの報告はありません。従いまして、当院におきましては、その使用による患者の利益が不利益を上回ると判断される場合、必要最小量の使用にとどめ使用いたします。 |
お問合せ先 | 近畿大学病院 安全管理部 (072)366-0221 |