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病院概要

大学病院改革プラン(近畿大学)

基本方針

  1. 特定機能病院として、安全で質の高い先進医療を提供します。
  2. 教育病院として、人に愛され、信頼され、尊敬される医療人を育成します。
  3. 南大阪における機関病院および救急災害拠点として地域医療に貢献します。
  4. 働きがいのある病院として、チーム医療と環境整備に努力します。
  • 医学部の教育研究に必要な附属施設としての役割・機能:学生の臨床教育の場として、実習内容のさらなる充実と実習に係る人員充足を図り、臨床スキルや医療知識を実践的に学ぶ機会を提供する。
  • 専門性の高い高度な医療人を養成する研修機関としての役割:近畿大学病院では南大阪唯一の大学病院として、すべての基本領域の専門研修プログラム(総合診療は除く)を設定し、かつ日本専門医機構が定める内科、外科、放射線科などにおけるサブスペシャルティ領域専門研修プログラムも設定している。引き続き、各基本・サブスペシャルティ専門領域の研修を進め、専門性の高い高度な医療人材を養成することにより、南大阪のみならず、大阪府全体から府をまたいだ住民の医療・健康維持に貢献する。シミュレーション教育の充実を図るため、シミュレーションセンターを強化し、リアルな訓練環境を提供する。また、令和5年度補正予算事業で採用され、購入することとなった手術支援ロボットを使用し、ロボット手術に関わる複数の診療科の統合型実習を導入する。
  • 医学研究の中核としての役割 ・機能:治験の実績は大阪府下で第1位の実施件数を誇っている。また、がん、心臓・脳血管を中心とした臨床研究が、本学の研究の強みである。「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」でも、臨床医学において強みを持つ大学として、東京大学・京都大学(第1グループ)、慶應大学(第2グループ)に続いて第3グループ(6大学)にランクされる。今後は、治験実施数の増加を図るとともに、臨床研究についても支援体制を強化し、更なる臨床研究の向上を目指す。
  • 地域医療構想等と整合した医療機関としての役割・機能等:当院に求められる高度医療・先端的医療の機能をより一層高め、診療の質の向上を目指し、地域の医療機関との役割分担、協力体制を強化し、大阪南部の地域医療に貢献する。

運営改革

病院長のマネジメント機能の強化・マネジメント体制の構築

  • 病院長が迅速かつ効果的に意思決定を行うためのサポート体制の整備を行い、意思決定支援の迅速化を図る。
  • 病院長のマネジメント機能強化のため、副病院長に明確なミッションを与えるとともに、病院長補佐の配置により、マネジメント機能の強化を図る。

診療科等における人員配置の適正化等を通じた業務の平準化

  • 診療科の稼動(入院・外来)を精査し、医師一人当たりの業務負担を軽減するため、医学部講師や助教の増員を行い、医師の負担が偏らないよう人数配置の適正化を図る。

医療計画及び病床の在り方をはじめとした事業規模の適正化等

  • 病院重要業績指標(KPI)の設定と経営改善を推進するとともに、南大阪の特定機能病院として、地域医療構想に合わせた最適な病床運営の在り方と地域や救急から求められる受入体制を構築する。

大学本部、医学部等関係部署との連携体制の強化

  • 法人が安定した経営基盤を維持できるよう、経営戦略を踏まえた中長期計画及び単年度における事業計画の策定を行うとともに、策定した中長期計画に基づく事業計画が着実に履行されていることを点検の上、必要に応じ改善に向けた指導を行うことを目的として、経営戦略委員会病院部会を設置・開催する。

人材の確保と処遇改善

  • 医師の働き方改革における負担軽減策として、周麻酔期看護師や診療看護師、臨床工学技士も採用し、手術麻酔補助等タスクシェアとして診療体制の質を維持した体制を継続する。診療看護師は、今後、これまでの経験を重視し中途採用制度により人材採用を行う。各診療科が協力して取り組む時間外や休日診療については実績に基づき、手当を支給する。

教育・研究改革

臨床実習に係る臨床実習協力機関との役割分担と連携の強化

  • 近畿大学病院では、高度で専門的な医療を学ぶ一方、慢性疾患の管理、高齢者医療、救急医療など地域に応じた医療ニーズやリソースの限界を理解し、実態に即した対応を臨床実習協力機関で学び、医師として幅広い診療能力を身に付ける。研修医が多様な疾患や患者への対応を学ぶために、大学病院と臨床実習協力施設の調整・連携により、一般的な疾患から希少疾患、急性期の対応から慢性期のケアまで、幅広い医療経験を積む。

臨床研修や専門研修等に係るプログラムの充実

  • 近畿大学病院と協力型臨床研修病院および臨床研修協力施設は、近畿大学病院を管理型の基幹病院とする病院群を形成し、研修医の受け入れを行う。この体制により、研修医はプライマリ・ケアをはじめとする基本的診療能力をより効率的に習得することができる。さらに、研修医が自身の将来の専門性に合わせて協力型病院や協力施設を選択できるよう配慮し、研修の自主性を確保する。これにより、研修医は継続的に多様な診療現場での実践経験を積み、総合的な診療能力を高める。

企業等や他分野との共同研究等の推進

  • 大学内外の異分野の研究を行う研究機関と連携した共同研究を実施する。共同研究のテーマは、理工系、文系を問わず多岐にわたる分野に及び、新しい技術や製品の開発、既存技術の改良など、臨床応用、社会実装に向けた様々な課題に取り組む。産官学連携の窓口である近畿大学リエゾンセンタ―と連携しながら、企業からの技術相談や、技術指導の依頼の受入を実施し、企業等の研究者と本学の研究者が共通の課題について共同で研究開発を行う。病院・医学部の先進的な研究技術を活用した受委託研究も実施しており、本学のスケールメリットを活かしつつ、国内外を問わず共同研究の活性化を図る。近畿大学と企業等との共同研究により、イノベーションの創出や産業界への技術移転を促進し、社会全体に貢献することを目指す。

教育・研究を支援するための体制整備

  • 医学を中心とする生命科学の基礎研究、臨床研究、トランスレーショナルリサーチの推進を図る。具体的には、共同研究施設・ライフサイエンス研究所の協働により、10名を超える専従技術員の技術的向上と研究者サポート体制の強化を進める。LC-MS/MS、第3-4世代NGS、シングルセル解析関連の最先端研究機器の継続的な設置と稼働維持を行う。全領域横断医療データベースの構築とオミックスデータとの紐づけ、画像AI解析技術等の活用推進に努め、解析ツールやクラウド利用の拡大を図る。若手研究者支援として、これらの最先端機器の使用に掛かる試薬の提供、技術的支援を行う。教育面においては、低学年からアクティブラーニングを実践し、現場で役立つ知識、技能を身につけるように促す。その上で、最新の医学知識と技術の反映および実践的なスキルを修得するためにシミュレーションセンターでの訓練環境を提供し、これらの教育を様々な現場における診療参加型臨床実習につなげる役割を果たす。
  • 人的・物的支援・制度の整備と活用:実験助手や実験補助を獲得した研究費等で雇用をしているが、社会保険の関係で給与支払いを実績払いにできないことがあり、月給制と時給制による雇用の差をなくし、新たな職種として制度を策定する。
    教育(授業)や研究の補助として、TAやSA制度の導入を検討する。
    また、AR・VRを活用した臨床シミュレーション教育の実施に向けた環境の整備などのICT基盤の整備についても積極的に実施し、教育・研究の向上を目指す。
    シミュレーション教育の充実を図るため、シミュレーションセンターを強化し、リアルな訓練環境を提供する。また、令和5年度補正予算事業で採用され、導入される手術支援ロボット(hinotori)を使用し、ロボット手術に関わる複数の診療科の統合型実習を導入する。

その他教育・研究環境の充実に資する支援策

  • がん、心・血管疾患等の臨床研究実績をさらに充実させるため、臨床研究体制の強化とトランスレーショナルリサーチの推進を図る。全領域横断医療データベースの構築とオミックスデータとの紐づけを進め、解析ツールやクラウド利用の拡大を図る。これにより、実績のある臨床医学研究の強化を目的としたICT化と人材育成を推進する。国際臨床研究支援の強化のために、英語対応URAを含む国際対応支援人材の登用や、グローバル研修の導入を検討する。これらの取り組みにより、臨床研究の質と成果を向上させ、国際的な競争力を高める。

診療改革

都道府県等との連携強化

  • 大阪府の保健医療行政が重点課題とする疾病について、地域がん診療連携拠点病院や肝疾患診療連携拠点病院などの拠点病院事業を通じて行政、関係機関と協力し、医療従事者の研修会や市民向けの講座などを行い、保健医療の向上に貢献する。 また、救急医療に関しては、消防機関との連携、後方支援の病院と連携し、南河内医療圏の3次救急医療機関として地域医療を支える。

地域医療機関との連携強化

  • 特定機能病院として、各医療圏の急性期、回復期等の病院および診療所と連携することで高度先進医療を提供し、医療・介護・障害福祉サービスが連携する大阪南部の地域包括ケアシステムにおいて近畿大学病院が中核となる役割を担う。

自院における医師の労働時間短縮の推進

  • 勤務計画において、時間外・休日労働時間が上限を超えないように取り組む。
  • 法定休日が確保された勤務計画を取り組む。
  • 自己研鑽要綱に基づき、労働時間と労働以外を明確にDrJOYを用いて管理する。
  • 多職種連携によるタスク・シフト/シェアを取り入れ、雇用計画や研修の受講を計画的に実施する。女性医師の育児による勤務時間の整備を行い、患者に直接接しない診療業務については遠隔による画像診断や読影を可能とし、女性医師の職場環境を整備することで、その他の医師の労働時間の短縮効果を図る。
  • 多職種連携によるタスク・シフト/シェア:医師の確保が困難な診療科を優先にタスク・シフト/シェアを進める。
    診療科によっては医師の獲得が困難であり、診療看護師や特定行為研修修了看護師の活用など医師の負担軽減につなげる。
  • ICTや医療DXの活用による業務の効率化等:現在約300施設と連携している電子カルテを用いた診療情報(血液・生体検査、画像検査等)の共有(ICT地域医療連携ネットワークシステム)について、更なる拡充を目指し、患者サービス向上を図る。
    今後も医療DXを推進することにより、業務の効率化、患者サービスの向上を目指す。
  • 地域医療確保暫定特例水準(B水準・連携B水準)適用対象医師の時間外:変形労働制を導入し、時間外勤務の短縮を図る。B水準においては時間外勤務時間数が年間1860時間までが猶予されているが、1700時間を目標にシステムで管理している勤務時間を精査し、分析を行い医師との意見交換を行い、時間外の縮減に取り組む。
    法定休日の取得、インターバル勤務、代償休息の取得の完全実施に向け、取り組む。
  • 医師少数地域を含む地域医療機関に対する医師派遣(常勤医師、 副業・兼業):大学病院本院に求められる体制評価における医師少数地域へ常勤医師派遣の貢献について、現状の地域医療体制を維持しつつ、要請等に対し継続・強化を図る。
    兼業についても地域医療機関に対して、要請に基づき、労働時間が超過しない範囲で継続する。

財務・経営改革

収入増加の取組推進

  • 地域の医療機関との顔の見える関係づくりに取り組み、紹介逆紹介に関する情報共有・意見交換を密にすることで信頼関係を構築し、紹介患者数・新入院患者数を増加させる。
  • 保険診療収入増に係る取組等の更なる推進:地域の医療機関との顔の見える関係づくりに取り組み、紹介逆紹介に関する情報共有・意見交換を密にすることで信頼関係を構築し、紹介患者数・新入院患者数を増加させる。高度で専門性の高いチーム医療、患者視点にたった安全・安心で信頼のできる医療サービスの提供、適切な診療報酬の算定等により医療収入を増加させる。
  • 保険診療外収入の拡充:高度先進医療を開発、提供する大学病院として、他の医療機関で提供できない治療についてセカンドオピニオンを積極的に受けることで、保険外収入を向上させる。コーディネーターとなる業者を通じて、治療目的の来日外国人を積極的に受入を行うことで、地域の医療需要に頼らない収入源を確保する。新病院移転に伴い、差額室料の見直しによる収入増を目指す。全国でもトップレベルの治験件数が維持できるよう、支援体制を整備し、治験収入を維持する。
  • 寄附金・外部資金収入の拡充:組織の使命や長期的なビジョンを再確認し、それに基づいた資金調達戦略を策定する。寄附金収入や外部資金収入の具体的な数値目標を設定し、定期的に進捗を評価する。

施設・設備及び機器等の整備計画の適正化と費用の抑制

  • 施設・設備等の劣化や病院の運営状況を考慮しながら適正な整備計画を策定し、施設・設備・機器等の更新や保守などを計画に沿い、年次で進める。
  • 自院の役割・機能等に応じた施設・設備・機器等の整備計画の適正化:南大阪唯一の大学病院、また災害拠点病院や三次救急といった自院特有の役割、機能を担い、継続して維持できるよう施設・設備・機器等の更新や保守については、価値残存率等を継続的に評価し、外部環境の変化なども考慮して年次毎の更新計画を立て進める。また、人工呼吸器等の医療機器はME機器管理室で集中管理しているが、使用状況の管理をシステム化し、機器台数の適正化を図る。
  • 費用対効果を踏まえた業務効率化:診療報酬上における新規算定項目、また未届けの施設基準(既存項目)の算定に向けた取り組みを行い、費用対効果を検証し医療収入増を図る。委託業務や機器の購買など、費用対効果を検証し、契約を検討する。
  • 省エネルギーに資する設備等の導入・導入後の維持管理:従来より、効率的な省エネルギーを意識し、ESCO設備やLED照明の一部導入を導入しているが、ここ数年の光熱費高騰を考えると、より省エネ効果の高い設備等の導入を検討する。
  • 保守・修繕等も見据えた調達と管理費用の抑制:施設・設備については、常駐の設備管理会社と連携し、保守や修繕費用を考慮した設備の更新や修繕を判断し、機能維持に努めている。機器に関しても購入費だけではなく保守費等の管理費用も考慮した上で更新を検討している。 引き続き、導入後の管理経費の抑制等を鑑み、調達を検討する。
  • 医薬品費、診療材料費等に係る支出の削減 ・その他支出の削減:自院の役割等を踏まえ、採用品目の選定に関しては院内委員会において審議・承諾が必要であり、適正な使用方法についても院内委員会で検討・承諾ののち周知する。この体制を今後も継続する。価格交渉については複数業者での競合だけでなく、ベンチマークの活用も検討する。