食道表在がんの内視鏡治療
食道は
がんは、一番内面の粘膜層から発生して次第に外側へと広がってゆきます。粘膜層にとどまるがんを早期がん、粘膜下層まで広がったがんを
食道がんは、お酒、たばこ、熱いもの(お
図 食道壁の構造
食道壁は内側から粘膜層、粘膜下層、固有筋層、外膜から構成されます
食道がんは胃がんや大腸がんと比較して早期にリンパ節に転移しやすく、早期の段階で発見することが大変重要です。早期の病変は正常部分との違い(色調や
具体的には、ヨードという色素を食道内に散布して観察したり(画像1)、当てる光の波長を変えて(NBI)観察したり、小さな超音波装置を内視鏡の先端に装着したりして、がんの壁内への浸潤程度も詳しく診断します。内視鏡(胃カメラ)検査の大きな利点は、直接組織を採取してがんがあるかないかを顕微鏡検査で確認できることです。
がんが見つかった場合は、表在がんであってもリンパ節転移をきたす危険性があることに注意して、体幹部造影CT検査やPET検査なども追加して転移を確認します。
画像1 胸部中部食道にわずかに赤みがかった領域(がん)を認めました(左)。ヨード散布すると、がんの存在(↑)が明瞭となりました(右)
食道がんの治療法は主に内視鏡治療、外科手術、抗がん剤治療、放射線治療があり、がんの広がりによってその方法を選択します。進行がんになってしまうと内視鏡治療の選択肢はなくなります。
がんが10mm程度までの大きさの場合は、スネアという金属性の輪状の道具で病変を一つかみして切除(内視鏡的粘膜切除術:EMR)し、それ以上に広がる病変は針状の電気メスを用いて病変部を端から剥がして一括切除(内視鏡的粘膜下層
2014年の食道
画像2 がんの部分を内視鏡で剥離(左)。切除された標本(右)