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肺がんの外科治療

安全で確実な手術

肺がんとは?

 肺がんとは肺や気管支の細胞から発生したがんである原発性肺がんを指し、大腸がんなど他の部位のがんが肺に転移した転移性肺腫瘍とは区別されます。
 肺がんの多くの方は無症状で、胸部X線単純写真(図1a)やCTスキャン(図1b)の検診でみつかることが多いです。
 肺がんは病気の進み具合、即ち病期はⅠ~Ⅳ期に分類されます。顕微鏡的には小細胞がんと非小細胞肺がんに分けられ、さらに非小細胞肺がんは腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんに分類されます。
 治療方法として手術、放射線治療、化学療法があります。小細胞肺がんは進行が早く大多数の方が手術対象とはなりません。従って、非小細胞肺がんの病期Ⅰ~II期とIII期の一部が手術の対象となります。

図1 肺がんの画像所見
 a:胸部X線単純写真
 右肺の中肺野(右肺中央、矢印先端)に3cmの腫瘤陰影を認めます。
 b:胸部CT 
 図1aの写真と同部位の右肺中葉に腫瘤を認めます(矢印先端)。

肺がんの手術

 肺は、右は3つ・左は2つの葉(よう)からできています (図2)。
 肺がんの手術では腫瘍の存在する葉全体と肺内のリンパ節を切除(郭清)する肺葉切除が標準です(図3)。病変の大きさや性状、患者さんの状態によっては片方の肺をすべて摘出する肺全摘術や逆に肺機能温存を目的として縮小手術(区域切除・部分切除)を行うこともあります。
 また、肺への到達法として、胸を開けて行う開胸手術と、小さい創を数カ所開けビデオカメラを使って行う胸腔鏡手術があります(下記Ⅳ章参照)。2016年のわが国の肺がん手術42107例では67.8%が胸腔鏡手術でしたが、当院でも胸腔鏡手術を標準としています。しかし、病気の進行程度や手術の大きさ、術中の所見などを判断しながら到達法を決定し、安全で確実な手術を心がけています。
 術後の入院期間は1~2週間であり、当院での平均は9.7日です。このように肺がんの手術は現在では安全な手術になりましたが、それでも種々の合併症が起こることはあります。一般的には、肺炎、出血、肺からの空気漏れ(肺瘻)、気管支断端瘻、血栓症、不整脈などがあります。

肺がんの術後補助化学療法

 ⅠA期(3cm以下でリンパ節転移なし)の5年生存率は80%程度にすぎず未だ満足すべきものではありません。術後の再発は遠隔の臓器におこることがしばしばで、これは手術の時点で微小な転移がすでに存在していたためと考えられます。このようながん細胞を制御するためにはIB期では経口のII-III期では点滴の抗がん剤が術後に投与されます。

肺がんに関する詳細は以下の近畿大学 外科学教室 ホームページを参照ください。
http://www.kindai-geka.jp/general/chest/learn_more.html

肺がん手術の低侵襲化を目指して

 肺がんの標準手術である肺葉切除を行うための胸の中に到達する方法には、いくつかあります。
1 開胸手術
腋(わき)から乳頭の下にかけて弓状、もしくは肋骨に沿って直線の12-15cmの長さの傷で行う手術(図4a)です。胸が大きく開きますので、外科医の手で肺を直接触ることができ、難易度の高い手術にも対応できます。当科では進行した肺がん(特に周囲の臓器を合併切除する必要がある場合など)や胸の中が癒着(ゆちゃく)している場合などに行っています。
2 胸腔鏡手術
8cm以下の小開胸1つと1cmの胸腔鏡を挿入する穴(ポート孔)を1-2つ開けることにより、胸腔鏡の画像を見ながら、もしくは小開胸創から直接胸の中を見ながら行う手術です(図4b)。小開胸創からは手は入りません。当科での通常の胸腔鏡下肺葉切除はこの分類に入ります。一般的に胸腔鏡手術は術後の痛みは和らぎ、回復も早いと言われています。主に早期の肺がんにおいて、行っています。
3 単孔式胸腔鏡手術
 通常の胸腔鏡手術においては、胸腔鏡を挿入するポート孔を別に作成して行いますが、すべての器具を一つの創から挿入して行う手術が単孔式胸腔鏡手術になります(図4c)。主に中国や台湾で多くの施設がこの術式を取り入れており、爆発的に手術件数が増加しています。3-5cmの創が一つできるだけですので、術後の痛みは少なく、さらに整容性にも非常に優れています(図5a&b)。一方で、一つの創から胸腔鏡と術者の操作器具のすべてが挿入されるため、手術には、器具と手技の工夫が必要になります。当科では、中国上海に短期留学したスタッフが現地の手技を学び、日本の多くの他施設に先んじて2018年4月より導入し、2020年現在までに100件以上の手術件数を安全に行っています。
4 ロボット支援下手術
日本において、2018年4月から、肺悪性腫瘍・縦隔腫瘍に対するロボット支援下手術が保険適応となりました。手術支援ロボット“DaVinci(ダ・ヴィンチ)”は、1cmのポート孔を4か所作成し、胸腔鏡とロボットアームを挿入し、高度な胸腔鏡手術を行うことが可能です(図4d)。「三次元モニター画面」と「ズーム機能」により、広く明るい視野で、細かい操作を確実に行うことができます。胸腔鏡手術と比べると創の数は増えますが、一つ一つの創が小さくロボットアームが創部にかかる負担を軽減してくれますので、術後の痛みは胸腔鏡手術より更に少なくなります。当科でも2019年7月より導入を開始しました。ロボット支援下手術には、操作するのに修練と資格を必要とし、現在当科では、2名の術者資格と1名の助手資格を有するスタッフが実際の手術を担当しています。
 
 以上のように当科では、単孔式胸腔鏡手術とロボット支援下手術の両方に対応し、より患者様の負担を軽減する手術を目指していますが、その一方で、手術の安全性と根治性を損うわけにはいきません。手術の適応と選択は、チームで検討し決定しています。単孔式胸腔鏡手術やロボット支援下手術の適応や方法などの詳細については、外来担当医にお問い合わせください。

図6 ダ・ヴィンチ手術イメージ

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