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前立腺がんの治療

最適な治療を提供

はじめに

 近年、食生活の欧米化や高齢化に伴い前立腺がんが増加の一途をたどっています。2020年には男性のがんの罹患率(りかんりつ)(病気になる人の割合)第1位になることが予測されています。
 当科では前立腺がんの根治をめざして日々努力をしています。そのためには患者さんの前立腺がんの状態に応じた適切な治療方針を選択することが大事になってきます。ここでは当科での前立腺がんの特徴、診断、治療について解説します。

前立腺がんの特徴

症状は?
 初期の前立腺がんは自覚症状がほとんどありません。これは前立腺被膜(前立腺の外側)にがんが発生することが多いため、尿道や膀胱(ぼうこう)を圧迫して排尿障害をきたしにくいからです。しかし、前立腺がんに気付かないでいると、骨などに転移し、痛みが出てくることがあります。
前立腺がんの成長は?
 一般的に前立腺がんの増殖は、ほかのがんに比べると遅いといわれています。ほかの病気で亡くなった高齢患者さんを解剖した際、発見されなかった前立腺がんが見つかる場合も少なくないのです。しかし、がんの顔つき(グリソンスコア)が悪いものでは増殖が速い傾向にあります。

前立腺がんの診断

PSA検査
 血液検査でPSAという前立腺から分泌される物質を測定します。一般的にはPSAが4ng/ml以上の患者さんは、前立腺がんの可能性が20%以上あるといわれ、精密検査を勧めています。
直腸診
 肛門(こうもん)から示指(しし)を入れ、前立腺を触診します。前立腺表面の硬さでがんの存在を調べます。
MRI
 X線検査の1つで前立腺がんがあれば、その部位に異常が認められます。初期がんの場合は分かりにくいことが多いです。前立腺組織生検 前述の検査でがんの疑いがある患者さんに行います。下半身麻酔をかけ会陰部から前立腺に針を刺し、組織を採取します。血尿、感染症などの合併症も数%はあり、安全のため入院して行います。この検査でがんの有無、および、がんの顔つき(グリソンスコア)を調べます。
病期診断
 前立腺がんと診断された患者さんについては、がんがどの程度進行しているかを調べるためCT、骨シンチを行います。この検査で①前立腺がんの大きさ②周囲のリンパ節への転移③骨への転移の判明でがんの状態を把握します(図)。

図 前立腺がんの進行

前立腺がんの治療

 前立腺がんの治療法には幾つかの選択肢があり、根治性、患者さんのQOL(Quality(クオリティ)of(オブ)Life(ライフ):生活の質)を考慮して決定します。治療方針はがんの病期、グリソンスコア、患者さんの年齢、全身状態などを総合的に判断し、医師と患者さんの間で話し合い決定します。
治療方針
・手術療法(根治的前立腺全摘除術)
・放射線治療
・ホルモン治療
・経過観察
根治的前立腺全摘除術
 がんが前立腺にとどまっている患者さんが対象になります。手術のアプローチとしては開腹および腹腔鏡(ふくくうきょう)があります。当院は2013年に手術支援ロボット「ダヴィンチSi」を導入しており、従来の開腹手術では困難だった複雑な操作が可能になっています。手術療法の長所は、がん細胞を完全に摘出でき根治の可能性が高いことが挙げられます。
 また短所としては手術合併症(出血、腸管損傷)、術後合併症(勃起不全、尿失禁)などがあります。
放射線治療
 がんが前立腺にとどまっている患者さんが対象になります。外照射(体の外から放射線を当てる)と内照射(前立腺の中に放射線物質を埋め込む)に分けられます。早期の前立腺がんに関しては、手術に比べ遜色(そんしょく)ない治療効果があります。放射線治療の長所としては、合併症を含めた治療後のQOLが高いことが挙げられます。短所としては、放射線治療の晩期合併症としての直腸潰瘍(ちょくちょうかいよう)出血性膀胱炎(しゅっけつせいぼうこうえん)、尿道狭窄(きょうさく)などがあります。
ホルモン治療
 前立腺がんは男性ホルモンに依存して増殖するという性質を持っています。この作用をブロックすることで前立腺がんの増殖を抑えます。副作用として女性の更年期障害のような症状が出たり、長期治療で骨粗(こつそ)しょう(しょう)を起こしやすくなります。また個人差もありますが治療効果も永続的ではなく、数年で効果がなくなることが多いです。

最後に

 前立腺がんは個々の患者さんの状態で治療方針、予後が大きく変わります。当科はこれらを考慮して、最適な治療を患者さんと相談しながら決定しています。

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