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急性心筋梗塞のカテーテル治療

ハートコールによる24時間体制

急性心筋梗塞とは?

 心臓は筋肉の塊で、収縮と拡張を繰り返してポンプのように全身の臓器に血液を送り出している臓器です。心筋は心臓の周りを包み込むように存在する冠動脈という血管によって酸素や栄養分を含む血液を供給され、養われています。冠動脈は心筋の養う部分によって右冠動脈と左冠動脈に分かれています。左冠動脈はさらに心臓の前壁を養う前下行枝と、側壁を養う回旋枝の2つの動脈に分かれます(画像)。急性心筋梗塞(きゅうせいしんきんこうそく)はこの冠動脈が突然詰まり、心筋が時間とともに壊れていく(梗塞)病気です。
 近年、高齢者の増加につれ虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)は増え続け、3大死因の1つになっています。なかでも急性心筋梗塞は年間約25万人が発症していると推定され、うち少なくとも14%以上が病院到着前に心停止状態となっており、その大部分は心室細動などの重篤(じゅうとく)な不整脈が原因だといわれます。高血圧や糖尿病、高コレステロール血症の疾病を持つ家族がいたり、喫煙やストレスがある人は心筋梗塞発症の危険因子であり、こうした危険因子を複数持つ方は狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞という病気になる可能性が高いといわれています。

画像 正常例の冠動脈造影検査
カテーテル先端から造影剤を注入し、左冠動脈と右冠動脈を撮影します。左冠動脈はさらに前下行枝と回旋枝に分岐します

大半は胸痛が30分以上続く

 多くの場合、自覚症状は、胸部の激痛、絞扼感(こうやくかん)(締め付けられるような感じ)、圧迫感として発症します。胸痛は30分以上続き、冷や汗を伴うことが多く、重症では血圧が低下し、顔面蒼白な状態になることがあります。しかし、高齢者では特徴的な胸痛ではなく、息切れ、吐き気などの消化器症状で発症することも少なくありません。また、糖尿病の患者さんは無痛性のこともあり、無痛性心筋梗塞は約15%に上ります。これまで経験したことがないような激しい痛みを前胸部中心に感じ、なかなか収まらないときには、「心筋梗塞かも?」と考えてください。血流が止まっている時間が長いほど、心筋の梗塞範囲は大きく進行していくため、すばやい受診が大事です。心筋梗塞は突然死の原因にもなるため、その症状を知り、初期の対応を誤らないことが大切です。特に初期は危険な不整脈が起きやすくなっており、意識を失うことがあります。自分で車を運転して病院に向かうのは大変危険です。まず、すぐに近くにいる誰かに症状を伝え、必ず救急車を呼んでもらいます。可能なら自ら119番コールをしてください。

冠動脈造影で詳しく検査

 急性心筋梗塞はできるだけ早く診断し、治療を行うことが重要です。受診では、直ちに心電図で異常がないかを調べ、さらに心臓超音波検査で心臓の壊死(えし)を起こしている部分(動きが悪くなっている部分)がどの部位かを判断します。同時に血液検査も行います。心筋梗塞の急性期には壊死に陥った心筋から心筋逸脱酵素(しんきんいつだつこうそ)が放出され、血液中で上昇します。
 しかし、いずれの血液検査も心筋梗塞の発症から血液中で上昇を始めるまでには時間的にずれがあるため、発症直後であれば、たとえ心筋逸脱酵素が上昇していなくても、急性心筋梗塞を否定することはできず、心電図、心臓超音波検査などで急性心筋梗塞が疑われる場合は直接、冠動脈を観察する冠動脈造影検査を行います。
 この検査は、局所麻酔をした後、手首、(ひじ)大腿(だいたい)の付け根の動脈から、直径2mm弱の柔らかい管のカテーテルを血管や心臓の中に挿入し、内圧を測定したり、カテーテル先端から造影剤を注入して、X線を使ったビデオなどで形や動きを見るものです。この冠動脈造影によって冠動脈の状態が詳しく分かります(画像)。

カテーテルによる再灌流治療

 冠動脈造影検査で閉塞部位を確認すると、心筋が壊死する前に、血流を再開させることが必要であり、直ちに再灌流(さいかんりゅう)治療を行います。手首や足の付け根の動脈からカテーテルを心臓まで入れて、詰まった血管を風船やステントと呼ばれる網状の金属で押し広げて、心筋への血流を回復させます(図)。ステントは、血管内腔(けっかんないくう)を押し広げた状態を保つことで、血流を改善し心筋のダメージを最小限に食い止めることができます。一度、壊死した心筋は元には戻らないため、治療は一刻も早く行います。
 ステントは血管の細胞にゆっくりと覆われてくるため永久にむき出しの状態ではありませんが、ステント留置後約1年間は十分に覆われていない可能性があり、血栓が付いて閉塞する可能性があるため、血液をさらさらにする抗血小板剤の服用が必要です。
 急性期に心筋の血流が回復した後は、後療法として心筋の保護と動脈硬化の進展を抑えるため心臓のリハビリテーションと薬物治療、また次の心筋梗塞の発症を防止するため、禁煙や運動などの生活習慣の改善などが重要です。

図 急性心筋梗塞の再灌流治療
右冠動脈近位部に閉塞を認め、同部位にステントによる治療を行い、再灌流治療に成功しています

ハートコール 0120-145-810

 急性心筋梗塞を代表とする循環器救急疾患は、発症から受診までの時間短縮が非常に重要で、当院はハートコールといった医師に直通の24時間体制のシステムを構築し、夜中でもオンコールによる迅速かつ的確な循環器診療体制で最新の医療を患者さんへ提供しています。2018年の緊急心臓カテーテル治療は167件です。

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