経験豊富な多数の専門医が診療
副腎は、左右の腎臓の上にある
図 副腎偶発腫
副腎偶発腫が見つかれば、どのようにすればいいのでしょうか。大切な点は、この腫瘍が何らかのホルモンを過剰につくりすぎていないか、悪性ではないのかの見極めです。ホルモンを過剰につくりすぎておらず、悪性でもなければ何も処置する必要はありません(ただし、定期的な経過観察は必要です)。
副腎偶発腫が発見された場合は、この腫瘍の見極めを行うことが必要なため、一度は内分泌専門内科を受診し、必要に応じて入院、精密検査を行うことが求められます。
見つかった副腎腫瘍の見極めを行うために、CT検査や腹部超音波検査を追加で行います。必要に応じてMRI検査やシンチグラフィー検査を行うこともあり、これらの画像検査で、副腎腫瘍の大きさや形、内部の構造などを調べます。
また、採血検査、
当院に紹介される副腎腫瘍患者さんの多くは、最終的に副腎ホルモンの分泌異常がない副腎腫瘍(非機能性腫瘍)という診断がされています。
しかし、一部の患者さんで、副腎ホルモンを過剰産生する腫瘍(機能性腫瘍)があり、後述の病気と診断され、治療を必要とするものがあります。また、腫瘍が大きい場合(判断基準/4cm以上、施設によっては5cm以上)や、観察中に大きくなる場合は、悪性腫瘍の可能性もあり、手術を検討します。
画像 副腎腫瘍(←)
原発性アルドステロン症/副腎の皮質からは、アルドステロンというホルモンが分泌されています。このホルモンが過剰に分泌される病気が原発性アルドステロン症です。主に、高血圧を引き起こします。最近までは、アルドステロン症はまれな病気とされていましたが、最近は発見されることが増えています。
この病気では、高血圧のほかに、血中のカリウム濃度が低下する場合があり、低下が著しいと手足の脱力などの症状が現れることがあります。最近、過剰なアルドステロンが心臓や脳、腎臓などに悪影響を与えることも明らかになっています。
治療は、片側の腫瘍が原因の場合と、両側の場合とで治療法が異なります。片側の腫瘍が原因の場合には、手術を行います。両側の場合や、片側の場合でも何らかの理由で手術ができない(もしくは、希望しない)場合には、アルドステロン作用を
手術療法を前提とする場合は、左右の副腎のどちらからホルモンが分泌されているか確認するため、放射線科でカテーテル検査を行います。
クッシング症候群/アルドステロンと同じように、副腎の皮質から、コルチゾールというホルモンも分泌されており、このホルモンが過剰に分泌される病気がクッシング症候群です。高血圧や糖尿病、肥満・丸顔、にきび、筋力低下、
褐色細胞腫/副腎の髄質からは、アドレナリンやノルアドレナリンというホルモンが分泌されています。このホルモンが過剰に分泌される病気が
治療は、可能な限り外科的に腫瘍を摘出します。また、褐色細胞腫には、副腎以外の臓器(副甲状腺や甲状腺)に腫瘍を併発することがあり、これらの臓器について検査をし、必要に応じて治療を行います。
当院には、経験豊かな内分泌専門医が多数勤務し、副腎を含めた内分泌疾患の診療に従事しており、副腎偶発腫で当院へ紹介される患者さんが年々増加しています。2019年には副腎腫瘍の精査目的で、38名の患者さんが入院し精密検査を受けられました。
最終的な診断は、原発性アルドステロン症が26名、非機能性が4名、サブクリニカルクッシング症候群が3名、その他が5名でした。