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双極性障害(躁うつ病)の治療

光トポグラフィー検査で早期診断

双極性障害(躁うつ病)とは?

 双極性障害(そうきょくせいしょうがい)とは、テンションが高く気分が高揚し、何かせずにはいられない気持ちになる(そう)状態と、逆にテンションが低くなり、1日中気分も憂うつで何にも興味・関心を持てなくなるうつ状態という両極端な状態を繰り返す病気のことです。躁状態のときには、疲れを感じず過剰なほど積極的でいつも以上に元気なため、患者さん本人も病気だとはなかなか気がつきにくいのです。うつ状態になって初めて「気分が落ち込んでつらく苦しい」「おっくうで何もできない」と受診をされるので、当初は「うつ病」と診断されることも少なくありません。
 これは、うつ状態が長く続き、数か月から数年を経ないと躁・軽躁の状態が現れないこともまれではないため、専門医であっても長期にわたる経過観察が必要になります。
 活発な啓発活動もあって、うつ病は社会的に広く認知されてきています。
 うつ病は、薬(主に抗うつ薬)と休養によって回復可能な誰もが(かか)りうる心の病気とされています。しかし、治療にもかかわらず再発を繰り返したり、完全に回復することなく社会生活に支障をきたしている患者さんも少なくありません。現在、うつ病と診断されている人の10人に1~2人が双極性障害(躁うつ病)と診断されるといわれていますが、再発を繰り返すうつ病では、10人のうち3~4人が双極性障害だともいわれています。
 双極性障害とうつ病とでは、薬の効き方が異なることなどから病気の成り立ちが違うと考えられています。しかし、憂うつな気分が続く、普段できていたことができなくなるなど気分が晴れない状態は、うつ病、双極性障害のうつ状態に共通する症状なので、患者さん自身も「自分はうつ病」だと考えている場合も少なくありません。

双極性障害とうつ病の違い

 双極性障害とうつ病との大きな違いは、経過中に躁状態が現れるかどうかです。躁の状態は、ハイテンションで、眠らなくても元気に行動できるなどエネルギーに満ちあふれている状態になりますが、重くなると話題が次々に飛んで話の内容にまとまりがなくなったり、実現不可能なことを言い出すなどの行動がみられ、周囲とトラブルを起こします。
 双極性障害にはⅠ型とⅡ型があります。うつ状態は両者に共通していますが、Ⅰ型では、躁の状態がはっきりしていて重いのが特徴です。それに対してⅡ型では、生活上、大きな支障をきたさない程度の比較的軽い躁状態で、とりわけ患者さんはご自身の状態を「絶好調」ととらえ、見過ごされがちです。
 では、どうしたらうつ状態から、双極性障害とうつ病を見分けることができるのでしょうか。例えば、双極性障害でのうつ状態では、過眠(ないしは横になりたがる)や過食などが現れることがあります。うつ病では眠れない、食欲がないなどが一般的なので、同じようなうつ状態でもこうした違いが参考になります。
 さらに、おっくうなのにイライラして身の置きどころがないなど、気分と行動が不釣り合いであったり不安定であるのも特徴です。この状態を躁うつ混合状態といい、うつから躁、躁からうつに移行するときにはしばしばみられます。この躁うつ混合状態の時期は、自殺のリスクも高まるので注意が必要です。
 また、うつ病の治療中に抗うつ薬によってイライラがひどくなったり、怒りっぽくなったりする場合も双極性障害を疑うきっかけになります。

双極性障害を見極めるポイント

 双極性障害を見極めるためには、うつ状態だけでなく、これまでの人生で、躁状態(とくに軽躁状態)があったかどうか、また躁うつ混合状態的な時期はなかったかどうか、さらには波乱万丈な生活歴などを把握しておくことが大切です。双極性障害であったとしても「元々、こういう性格だったから」と家族など周囲の方も、双極性障害とはなかなか認知しづらく、受診が遅れてしまうこともあります。
 感情の起伏には個人差が大きいので、行動面、例えば浪費を繰り返す、飲み歩いて帰ってこなくなるなどの逸脱した行動がエピソードとしてみられないか(普段とは違って、ある特定の時期にだけみられること)にも着目する必要があります。また、うつ状態が2~3か月で自然に良くなることを繰り返す場合などでも、双極性障害が疑われます。

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