腋下切開法による手術
食道は
生まれてくる前からお母さんのお
食道と気管の位置関係からは、最も多いのが口側の食道がどこにもつながっていない盲端に終わり肛門側の食道は気管につながっているもので、全体の90%を占めています(グロスC型)。次に多いのは口側食道、肛門側食道とも盲端に終わっているタイプです(グロスA型)。そのほかにもいろいろなタイプがありますが、この2つがほとんどを占めています(図1)。
図1 先天性食道閉鎖症の分類(食道と気管の位置関係)
母親に羊水過多があることや胎児の胃が見えないことなどの理由で出生前診断を行うケースが増えています。出生後の症状としては口から
食道が胃に通じていないため、ミルクを飲めず、肺炎などの肺合併症を起こすこともあります。
基本的にはグロスC型の場合は緊急手術を行います。従来は胸を大きく切開し、口側食道と肛門側食道をつないでいました。しかし、この方法では術後に側弯や右腕を拳げるのが難しいことが問題でした。
このため現在では、
これに対し腋下切開法は「図2」のように右腋下を短く切開して手術を行う方法です。当院は2004年から腋下切開法で手術を行ってきました。その結果、「写真1」に示すように皮膚切開線は脇の下に隠れ、外からは分からなくなっています。
また腋下切開法では筋肉を切開しないため、腕の拳上困難も起こっていません。グロスA型や上下食道間の距離が長いものでは、まずお腹から胃にチューブを入れます(
食道閉鎖症の赤ちゃんの治療成績はあまり良くありませんでしたが、近年は非常に改善しています。現在では、重篤な染色体異常、高度の心奇形や超低体重出生児など特殊な赤ちゃんに対してどう治療していくかが課題となっています。
写真2 NICUでの診療風景