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早期乳がんの治療

正確な診断と治療のために

乳がんは年々増加

 乳がんは女性のがんの罹患率(りかんりつ)第1位で、年々増加しています。2015年の統計によると、実に8万7050人の女性が乳がんに罹っていました(図)。現在、11人に1人の女性が乳がんに罹るといわれています。

図 乳がんの罹患数の推移(国立がん研究センターがん対策情報センター資料より、一部改変)。乳がん罹患数は年々増加しており、2015年は8万人を超えています

乳がんの診断・治療のための検査

 診断の基本は、マンモグラフィと乳腺(にゅうせん)エコーです。機器の性能が良くなったことと、読影(どくえい)の技術向上によって、微小な病変も見逃すことなく正確に診断できるようになりました。
 さらに、乳房MRI検査の導入によって、小さな病変の診断から大きな病変の診断まで幅広くカバーすることが可能になりました。
 当院では、放射線診断医だけでなく、画像診断に精通した乳腺外科医、臨床検査技師が毎週合同でカンファレンスを行い、過不足のない正確な診断を心掛けています(写真1)。確定診断には穿刺(せんし)吸引細胞診、針生検といった細胞や組織を採取して顕微鏡で確認する検査が必要です。今回はエコーガイド下吸引式乳腺組織生検という方法を選択しました。触診では分かりにくい異常病変(今回は石灰化という砂のような病変でした、画像)を専用装置で採取します(写真2)。
 乳がんの進行度は、腫瘍(しゅよう)の大きさ、リンパ節に転移があるかどうか、ほかの臓器に転移があるかどうかによって決まります。通常はⅠ期からⅣ期に分類されます。今回は、それよりも早期の0期に当たる非浸潤がんという診断でした。検診と診断技術の向上のため、0期やⅠ期で診断される乳がんが増えています。当科での0期の乳がんは、2014年には15.8%でした。

  • 写真1 グループのカンファレンス
    多職種で各症例の画像を確認し、広がり範囲や見逃しなどがないかチェックします
  • (画像) 検診発見の早期乳がん症例
    マンモグラフィ検査で右乳房に石灰化病変(→)がみられ、要精密検査となりました
    (写真2) エコーガイド下マンモトーム生検
    石灰化の部分を画像で確認しながら、専用装置で組織を削り取ります(左)。採取した標本のX線像(右)。間違いなく病変が採取できているかを確認しています

体にやさしい低侵襲手術を推進

 乳がん手術は縮小化しています。早期乳がんの場合は、温存手術とセンチネルリンパ節生検が標準的です。
 センチネルリンパ節生検とは、転移するなら最初に転移するリンパ節を見つけ出して、そのリンパ節だけを取る手技です。以前のようにリンパ節を全て切除すると、術後に腕がむくむ(リンパ浮腫(ふしゅ))などの症状が出ることがあります。センチネルリンパ節生検導入後は、このような症状に苦しむ患者さんは非常に少なくなりました。
 非浸潤がんという、さらに早期の乳がんでは、センチネルリンパ節生検も必要ないと判断し、乳腺の病変部だけを切除することもあります。浸潤がんの場合は、再手術が必要となり得るため、正確な診断を心掛けています。最終診断も非浸潤がんであれば、術後再発防止のための放射線療法だけを行うこともあります。

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