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食道がんの放射線治療

体にやさしい治療

食道がんの放射線治療

 食道がんに対する放射線治療は切除可能な早期食道がんから切除不能な局所進行食道がんまで幅広い適応があります。その中でも遠隔転移の無い切除不能食道がんにおいては抗がん剤と放射線療法を併用した化学放射線療法が標準治療となっています。ただし、化学療法が併用できない高齢者や合併症がある患者さんは放射線治療単独での治療となります。
 当院では年間約50件の食道がんに対する放射線治療を行っています。UICC第8版(国際的な病期分類)による病期別の5年生存率はⅠ期65%、Ⅱ期44%、Ⅲ期34%、Ⅳ期16%となっています(図1)。Ⅰ期の表在食道がんにおいては手術に近い治療成績となっています。

図1 当院の食道がんに対する(化学)放射線治療による病期別生存率

化学放射線療法の実際

 食道がんに対する化学放射線療法では、1回2グレイ(放射線の単位)を30回、計60グレイを照射します。月から金曜日の週5回照射を行い、6週間かかる治療になります。シスプラチンと5-FUという化学療法を同時に併用します。
化学療法は持続点滴が必要なため、その期間は入院での加療となりますが、放射線治療単独であれば外来通院でも治療可能です。患者さんの状態や生活環境などに合わせて化学療法併用の有無や外来・入院加療などを決定しています。
 図2に示すのは75歳女性。気管への浸潤が疑われるⅣ期の局所進行食道がんでした。放射線治療前は大きな原発巣により、流動食しか食べられない状態でした。放射線治療60グレイおよび化学療法(シスプラチン・5-FU)2コース併用にて食道がんは消失し、4年経過の現在も再発無く、通常食の摂取が可能で元気にしておられます。

図2 a)放射線治療前CT、中央の矢印部分が食道がん。 
b)治療後4年経過時CT、病変は消失したままです。

頸部食道がんに対する強度変調放射線治療

 当院では頸部食道(けいぶしょくどう)癌に対して喉頭(こうとう)温存手術が積極的に行われています。ただし、がんが進行してくると喉頭も同時に切除しなければなりません。そういった患者さんの喉頭温存を目的として、頸部食道がんに対し強度変調放射線治療を行っています。通常の放射線治療では周囲のリスク臓器(喉頭・脊髄(せきずい)・肺など)により、病変に対して十分な線量が入らないことがありました。強度変調放射線治療では多方向から様々な強度の放射線を用いることでリスク臓器への線量を軽減しつつ病変全体に十分な線量を投与することが出来るため、治療効果の向上が期待できます。食道がんに対してIMRTが出来る施設は国内でも少なく、今後の普及を目標として現在は多施設共同試験(臨床試験)として行っています。

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