文字サイズ
T
T
ページの先頭です。

病名検索

腎がんの手術

腹腔鏡を使った低侵襲手術

腎がんとは?

 国内では腎がんに罹患(りかん)する人が年々増加傾向にあり、亡くなる方も増加しています。腎臓は背中側の両側にある直径約12㎝のそら豆状の臓器です。毎年10万人当たり8~10人が発症するといわれ、年齢は40歳代から70歳代に多く発症します。男女比は2対1ぐらいです。
 腎がんの症状は血尿、腹部腫瘤、疼痛(とうつう)がありますが、近年は超音波機器の普及や健康診断を機会に発見される偶発がんが増加しています。
 原因は肥満、喫煙などがありますが、透析患者さんでは健康な患者さんと比較して高率に発症すると考えられています。また、Von(フォン)-Hippel(ヒッペル)-Lindau(ロンドウ)病などの遺伝子疾患にも注意を必要とします。

確定診断には腫瘍の摘出が必要

 腎がんは、一般的に造影剤を使ったCT検査が腫瘤の診断に対する精度が高いといえます。同時にがんの広がり(局所の浸潤度や遠隔転移の有無)も診断できます。MRI検査、核医学検査、血管造影検査などは腫瘍の状態によって行う場合があります。
 残念ながら腎がんに対する腫瘍マーカーが存在しないのが現状となります。予後(回復経過)を占う要因としては、手術前CRP(炎症所見)の採血結果も重要と考えられています。そのため確定診断には、腫瘍を摘出する必要があります。
 進行度に応じてステージ分類がされていますが、腎臓に限局する腫瘍がステージⅠ期、Ⅱ期、腎臓の周囲組織に浸潤するものがステージⅢ期、Ⅳ期となります。

手術が有効、免疫療法・分子標的薬も使用

 腎がんは切除不能例や、全身状態不良などの理由での手術困難症例を除いて、基本的には手術療法が最も有効と考えられています。手術の場合、全身の評価を行います(心電図、呼吸機能などをチェックし麻酔が可能か評価を行う)。腎腫瘍の長径が4㎝以下であれば、腫瘍だけの腎部分切除を考慮しますが、それ以上に大きい腫瘍は、腎臓を全て摘出する根治的腎摘術が必要となります。
 近年普及した腹腔鏡手術は、小さな傷で腫瘍を摘出することが可能です。痛みも少なく、手術後の早期回復が望めます。
 手術適応としては原則、腫瘍の大きさが7cm以下のものとしています。全摘手術だけでなく、部分切除術も可能です。当科はロボット支援腹腔鏡下手術を全般に取り入れ、年間症例数は腎臓だけでも平均30~40例にのぼり、良好な治療成績をあげています。
 診断当初に転移を伴う進行性腎がんの症例や手術困難症例、術後の再発症例には、2006年からは分子標的薬が登場し、2017年からは免疫チェックポイント阻害薬が保険収載され進行性腎がんに対する治療の選択肢が増えています。当科では多数例の使用経験があり、患者さんに対するケアも十分に行っております。
 また、進行性腎がんに対して積極的にワクチン治療などの臨床試験も実施しております。

  • 画像1 左腎臓に約2cm大の腫瘤を認めました
  • 画像2 腎腫瘍切除後、腫瘍は消失しました

診療科案内

受診について

病名検索