治療の完治と新たな標準治療の確立
肝臓は右上腹部で
肝がんとは肝臓に発生した
がんの進行度に応じたステージ分類があります。肝がんでは単発で病変の大きさが2cm以下がステージⅠ期、複数個もしくは大きさが2cm超の場合ではステージⅡ期、複数個でかつ2cm超ではステージⅢ期、さらに血管へのがん浸潤が加わるとステージⅣa期、
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように、肝臓病の初期では自覚症状がほとんどありません。しかし、肝臓が硬くなるにつれ肝臓の働き(肝機能)が徐々に悪くなり、肝硬変の症状が出始めます。症状としては、食欲不振、
超音波検査で肝臓に「しこり」が発見されると、造影CTもしくはMRIを
画像 肝がんの典型例
a.超音波(Bモード)で低エコー
b.動脈相における造影超音波像。豊富な腫瘍内血流を反映して、早期濃染を認めます
c.クッパ−相における造影超音波画像。腫瘍部が欠損像として描出されました
d.造影CTの動脈相。腫瘍の濃染像を認めます
e.造影CTの平衡相。腫瘍部は周囲肝実質と比べて低吸収を認めます。この症例に対してはラジオ波治療を行いました
肝がんに対する治療法は、がんのステージと肝機能(肝障害度)のバランスによって決定します(図2「治療とアルゴリズム」参照)。
ラジオ波
肝動脈
肝動注化学療法もカテーテル治療の1つですが、皮下に埋め込み型カテーテル・ポートシステムを留置することで持続的に抗がん剤を注入できる治療法です。
分子標的治療薬は最近、登場してきた新しい化学療法の1つです。肝がんでは
当院のラジオ波焼灼術の成績は、5年生存率(5年後に患者さんが生存している確率)が79%(図3)、局所再発率が4.9%です。また、肝動脈塞栓療法の根治(CR)率は71.4%でした。また、多くの臨床試験(SELECTED、SILIUS、TACTICSなど)を計画、実施することで、肝がん治療の根治と延命への新たな標準治療の確立をめざしています。
図3 当科における肝がんのラジオ波焼灼術の累積生存率