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新しい喘息の治療

気管支熱形成術

喘息とは?

 喘息とは、空気の通り道である気道にアレルギーによる「ボヤ」が常に起こっている状態です(このボヤを“炎症”といいます)。この状態になると、気道は色々な刺激に対して敏感になります。例えば、健康な人はホコリ、タバコの煙やペットのフケなどを吸っても、ほとんど何も起こらないのですが、喘息の患者さんでは気道が敏感に反応して狭くなり、咳や痰が出て、ゼーゼー(喘鳴(ぜんめい))したり、息苦しくなったりするのです。
 つまり、「ボヤ」が「大火事」になってしまうのです。「大火事」は、喘息発作と言い換えることができます。
 この「ボヤ」が軽い段階では「大火事」になっても適切な治療で元に戻りますが、「ボヤ」が続くと、気道をとりまく壁や筋肉が分厚くなって、だんだんと気道が狭く固くなり、元に戻らなくなってしまいます。そうなると、ちょっとしたことでも気道が「大火事」になりやすく、喘息症状が悪化することになり、日常生活や学校・労働活動、運動などに影響が出てしまうのです(図1)。
 喘息の症状は夜間に起こりやすいのです。理由は、交感神経と副交感神経という2つの神経によって調節されている気道が、昼間は交感神経が優位に働いて開く方向にありますが、夜間は逆に副交感神経が優位になって、狭くなるように働くため、喘息の発作が起こりやすくなるのです。

図1 気道断面図

喘息の症状

 喘息患者さんの症状には、以下のような特徴があります。
・夜間、早朝に現れやすい突然起こる息苦しさ、喘鳴(ぜんめい)(ゼーゼー、ヒューヒュー)、咳を繰り返す。
・ホコリやタバコの煙を吸うと咳が出やすい。
・風邪をひいた後に咳が長引きやすい。
・アレルギーの原因物質を吸ったとき、運動、気象の変化、精神的なストレス、月経などで症状が起こる。

喘息の診断

 当科では、患者さんの症状を把握した上で、いろいろな検査を駆使し、喘息とよく似た病気ではないことを調べて、喘息の適切な診断とその程度の判定を行っています。
 喘息の検査には、呼吸機能検査、呼吸抵抗検査、気道過敏性検査、胸部X線や胸部CT検査、血液検査、呼気ガス検査、喀痰(かくたん)検査などがあります。そのほか必要時に応じて種々の検査を組み入れています(図2)。
 当科では、約1500人の喘息患者さんの治療・管理を行っており、大学病院では西日本一の患者数となります。

図2 呼吸機能検査

治療薬の基本は、吸入ステロイド薬

 喘息と診断したら気道の「ボヤ」を鎮めるために吸入ステロイド薬を使うことが標準治療となっています。飲み薬ではなく吸入薬なので、薬が直接気道に働くため使用量は少なくて済み、副作用の心配はほとんどありません。
 また、「ボヤ」は恒常的ですので、「大火事」や気道が固く狭くなるのを防ぐため、ほとんどの患者さんは長い間、吸入ステロイド薬を使わなければなりません。ただ、「ボヤ」が下火になれば吸入ステロイド薬の量を減らすことができます。
 さらに、患者さんの病状に応じて、吸入ステロイド薬に気管支拡張薬や喘息を起こす物質をブロックする薬などを加えます。万が一、喘息発作が起きてしまった場合は、発作の程度に応じて、即効性に気管支拡張作用のある吸入薬(短時間作用性気管支拡張薬)を使ったり、医療機関を受診して点滴治療を受けることになります(図3)。
 喘息患者さんの治療のゴールは、「全く症状がない、短時間作用性気管支拡張薬を使うことがない、呼吸機能が保たれる、発作によって救急外来などを受診することがない」などを生涯維持することです。

図3 喘息治療の基本は吸入ステロイド薬を使うことです

重症者の新しい治療方法(気管支サーモプラスティ/気管支熱形成術)

 喘息患者さんの中には、吸入ステロイド薬の量を多くするとともに、長時間作用性気管支拡張薬やほかの喘息治療薬も使わざるを得ない場合や、これらの薬を使用しても、なかなか症状が安定しない方がいます。このような重症の喘息患者さんに朗報となる治療法が始まりました。2015年から始まった「気管支サーモプラスティ/気管支熱形成術」という治療法です(図4)。
 これは、気道の分厚くなった筋肉(気道平滑筋)を高周波で加熱し、筋肉量を減らす治療です。数日間入院し、気管支内視鏡を使って3週間の間隔で3回行います。ただし、以下の患者さんの場合にはこの治療を行うことができません。
 ①ペースメーカーなどの植え込み電気機器を使用している。
 ②気管支内視鏡検査に必要な薬剤が使えない。
 ③以前に同一部位において気管支サーモプラスティを実施した。
 ④呼吸器感染症に罹患(りかん)している。
 ⑤過去14日間に喘息が悪化したり、飲み薬のステロイド薬を使用している患者さんで、その量を変更(増量または減量)している。
 ⑥血液の固まる力が弱まっている(血液凝固障害)。
 ⑦血液をサラサラにする薬剤(抗凝固薬、抗血小板薬、アスピリン)や非ステロイド性消炎鎮痛薬(血液をサラサラにする副作用がある)などの使用を中止できない。
 この治療は健康保険が適用されており、2015年10月現在で、国内では当科を含め、限られた施設で行われている治療法です。

図4 気管支サーモプラスティ
気管支内視鏡を通じて器具が気管支の内側に接触し、気道の分厚くなった筋肉を加熱します

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