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進行胃がんに対する先進医療

胃がんの特徴と現状

胃がんは一般的に60〜70代の男性に多く見られるがんです。喫煙や過度な飲酒、ピロリ菌などが発生に影響しているとされ、かつてはがん死亡数の1位を占めていました。近年はピロリ菌の除菌治療や検診の普及、治療の進歩により、死亡数は減少傾向にあります。しかしながら、高齢者人口の増加に伴い胃がんにかかる人の割合は高くなっており、早期発見・治療の重要性が更に増しています。

胃がんの治療法

胃がんは大きく2つに分類され、がんが粘膜下層までにとどまるものを「早期胃がん」、粘膜下層より深いものを「進行胃がん」と言います。胃がんの治療技術は年々進歩し、選択肢が広がりました。
当院では、がんの進行度を的確に見極め、内科や放射線治療科など多くの診療科と連携の上、質の高い最先端の治療を提供しています。早期胃がんに対しては、内視鏡(胃カメラ)による治療や腹腔鏡手術、ロボット支援下手術など体への負担が少ない治療を行っています。切除が可能な進行胃がんの場合は、手術前後に化学療法や放射線療法を組み合わせた治療にも取り組んでいます。

腹膜播種に対する腹腔内化学療法

胃がんの転移で一番多く、治療が難しいとされるのが腹膜播種(腹膜への転移)です。腹膜播種とはがん細胞がお腹の中で種を播いたように広がった状態で、これは手術時に「がんを完全に取り切った」と考えていても、既に腹腔内にごく少量のがん細胞がこぼれ落ちているからだと考えられています。
胃がんが進行すると、胃の壁の深くまで入り込んでがん細胞が胃の表面に露出します(図①)。がん細胞が胃の表面に露出すると腹腔にこぼれ落ち(図②)、こぼれ落ちたがん細胞が腹膜に付着・発育し腹膜への転移(腹膜播種)が生じます(図③)。

腹腔にがん細胞がこぼれ落ちてしまうと治療が困難になります。これは抗がん剤の内服や点滴による治療方法では腹膜内に存在するがん細胞に抗がん剤が届きにくくなるためです。当院では「抗がん剤が届きにくい場所」=「腹腔内」に直接抗がん剤を届ける方法、つまり腹腔内化学療法を用いた臨床試験を、医師主導型試験として、進行胃がん患者さまに行ってきました。その試験結果を踏まえて、パクリタキセル腹腔内投与が当院外科からの申請により先進医療B47として厚生労働大臣の公示を受け、施行が可能となったのです。

この治療方法はタキサン系と呼ばれる抗がん剤の腹腔内への投与と他の抗がん剤の内服や点滴、加えて手術を併用した治療です。その結果、がん細胞の増殖を抑え、胃周囲へのがんの広がりや、既に腹膜にこぼれ落ちたがん細胞を消滅させる事により、がんが再発する可能性の低下を期待するものです。

※これまで、厚生労働省が定めた「先進医療」や「患者申出療養制度」という制度に基づいて本治療を実施してきました。ですが「患者申出療養制度」は2017年6月27日に、「先進医療」は2018年4月26日に終了しており、これらの制度を用いて腹腔内化学療法を受けることが出来なくなりました。

その為、現時点での腹腔内化学療法は、保険承認が適応されていない投与方法となります。
その為、治療開始から中止までの間の、薬剤費、診療費、検査代などが全額自費診療となっています。

治療に関するご相談は、患者支援センターまたは診療科へお問い合わせください。

外科(上部消化管部門)今野元博教授
進行胃がんに対する集中的治療が専門。手術に加えて先進医療を併用した治療をおこなっています。

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