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顎関節症の治療

口が開かない、顎が痛い人のために

顎関節疾患とは?

 顎関節症(がくかんせつしょう)とは、「口が開かない、耳の前(顎関節)が痛い、口を開けると耳の前で音がする」などの症状を主とする疾患をいいます。顎関節疾患の中でも、顎関節症は、かかっている人の割合が高く、女性に多い疾患として知られています。しかし、どの受診科へ行けばいいのか分からず、耳の周囲の痛みで耳鼻咽喉科を受診したり、整形外科を受診したりする場合や、歯科治療中に顎が痛くなってしまう場合があります。
 さらに、開けたまま閉じられなくなる顎関節脱臼(がくかんせつだっきゅう)腫瘍(しゅよう)類似疾患などの顎関節疾患も取り扱います。当科は一般社団法人日本顎関節学会認定研修施設となり、南大阪で最も多くの顎関節疾患患者が集中しており、手順の整った治療を周辺医療機関とも連携して行い、

治療方針と説明

 顎関節症ではないほかの病気と区別するために、X線撮影などを行った上で、「表」にしたがって病態診断し、場合によってはMRIを撮影し、治療方針を決定します。顎関節症ではない、脳梗塞(のうこうそく)やがんなどほかの病気と間違えないことが大切となります。

表 顎関節症の病態分類(日本顎関節学会、2013年改訂)

治療の流れ

 多くは、スプリントと呼ばれる口腔内装置(こうくうないそうち)を数か月間、夜間に装着することで治癒していきます(写真1)。この場合、噛みしめ癖など患者さんの生活習慣を改善する必要がある場合もあり、患者さん自身の自覚と協力も必要です。また生活のストレスが強いと長引く傾向があります。
 本来、顎関節症は生活支障度や苦痛のわりに比較的軽症の疾患ですが、長期にわたって痛みが続くとうつ傾向が強くなって重症感が増し、治りにくくなる場合もあり、慎重な対応が求められます。数%は関節注射や関節洗浄、あるいは手術が必要となる患者さんもいます。

写真1 スプリント療法
上下顎にスプリントを応用した例(夜間に使用)

治療後の注意点

 スプリントは、夜間のみ使用し日中は使用しないこと、また、期間を区切って使用することが大切であり、終了を指示されたら使用しないようにしましょう。場合により、噛みしめなどの生活習慣が是正されなかったり、強いストレスがあると再発してしまうこともあります。

診療実績、予後など

 多くの患者さんは、スプリントなどの保存的な治療で治癒します。
 顎関節症とよく似ていますが、たとえば滑膜骨軟骨腫症は関節に石灰化物が現れる疾患であって、顎関節症とは異なる疾患であり、MRIで鑑別することができ、手術をしないと良くなりません(写真2)。
 従って鑑別がきわめて重要となります。

  • 写真2 滑膜骨軟骨腫症 摘出物
  • 写真3 睡眠時無呼吸症の治療に用いる口腔内装置
    顎関節症に用いるスプリントとは異なり、上下一体型です。この装置は睡眠中の咽頭を広げ、いびきや無呼吸を軽減する効果があります。当科では睡眠時無呼吸症の治療も行っていますが、顎関節症の治療には用いませんので、混同しないようにしてください

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