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食物アレルギー

食物経口負荷試験

食物アレルギーとは

 食物アレルギーとは、原因となる食物を食べた後に体に困った反応が誘発される病気です。食べてから15分から30分後に反応が始まります。そして、体に起こる困った反応とは、皮膚が赤く腫れたり、せきがでてゼーゼーしたり、お腹の痛みや下痢、そして吐いたりすることです。これらの反応のいくつかが同時に出て急速に進むことをアナフィラキシーと言います。原因となる食物でいちばん多いのは卵で、その次が牛乳です。幼児期の有症率は約10%と高いですが、その多くは成人になるまでに自然と治ります。

食物アレルギーの検査(血液検査、特異的IgE抗体)

 食物アレルギーの検査で、日本において最も行われるのは血液検査です。原因として疑われる食物に反応する免疫の成分(特異的IgE抗体)が血液中に存在する数を調べます。特異的IgE抗体の数の多さによって、クラス0〜6までの7 段階に分類されます。このクラスによる表記は見やすく、直感的に理解できるのですが、解釈にはやや注意が必要です。
 よくある誤解は「クラスが強いとアレルギー症状が強く出る」というものですが、実際にはそんなことはありません。
 また、クラス0〜1が「陰性」、クラス2が「疑陽性」、クラス3以上が「陽性」と表示されますが、クラス3なら絶対にアレルギー症状が誘発されるというわけでないのにも注意が必要です。クラスが高いとその食品に対するアレルギーである確率が高まる、というのが基本的な考え方です。クラス0だとアレルギーである確率は極めて低く、クラス6だとかなり高い確率でアレルギーということです。
 しかしながら、食べる量や、加工や加熱の程度によってもその確率は変化します。例えば、うどん1玉を食べるとアレルギー症状が誘発されるお子様でも、うどん1/4玉は食べられることがあります。また、生卵だとアレルギー症状が誘発されても、クッキーに含有されている加熱された卵なら食べられることもあります。これら個々の状況は、血液検査のクラスを見るだけではわからないのです。

食物経口負荷試験が最も確実な診断法

 食物経口負荷試験は、アレルギーを有することが疑われる食物を実際にお子様に食べてもらい、アレルギー症状が誘発されるかどうかを確認する検査です。日本のガイドラインで、食物アレルギーの最も確実な診断方法とされています。この検査の結果が陰性(アレルギーがでない)ならば、それまで食べられなかった食物の少なくとも一部を摂取できるようになります。食物アレルギーに対する治療をしたわけでもないのに、検査の後には食物アレルギーでなくなることもあるのです。
 また、多い量を食べるとアレルギー症状が誘発されても、少ない量なら問題なく食べられることもありますが、その食べられる量を食べ続けることで、アレルギーの状態が悪くなることはありません。それどころかむしろ、アレルギーの状態が改善することもあります。
 逆に、この検査の結果が陽性の(アレルギー症状がでた)場合には、誘発される食物の量や症状がわかり、誤って食べてしまった際などに生じるアレルギー症状の対策が立てやすくなります。

実際の検査方法と実績

 当院では、食物経口負荷試験を十分な観察と迅速な対応のために、日帰り入院で行なっています(表)。あらゆる食物で実施することが可能です。当院での検査数の実績は図をご覧ください。当院での食物経口負荷試験の陽性率(アレルギーがでた確率)は約20%で、アナフィラキシーショックになるのは約1%です。まず、外来でこの検査の実施の必要性や、どの量を食べる検査を行なうかなどを計画しますので、ご希望のある方は外来を受診してください。

  • 表 近畿大学病院小児科の日帰り入院 食物経口負荷試験のスケジュール
  • 図 近畿大学病院小児科の食物経口負荷試験実施件数の年次推移

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