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PETの検査・診断

がんの存在・広がりを正確に診断

がんとは?

 人間の体の細胞は細胞分裂することで絶えず入れ替わっており、新しい細胞が誕生しています。しかし、細胞分裂は完璧ではなく、細胞分裂に失敗した「傷ついた細胞」も誕生しています。傷ついたほとんどの細胞は、体内の修復機構によって修復されて正常な細胞となり、修復不可能な細胞は、その細胞を排除することで、体内には常に正常な細胞しかない状態を保とうとしています。
 しかし、残念ながら「傷ついた細胞」の中には修復に失敗し、また排除されることなく生き残る細胞も存在します。この「生き残った傷ついた細胞」の中で「腫瘍(しゅよう)となる条件」を満たした細胞が増殖していくと良性腫瘍や悪性腫瘍となってしまいます。細胞が傷つく原因には上記のような細胞分裂時の失敗のほかにも、喫煙や過度の飲酒、ウイルス、ストレス、食生活、運動不足、紫外線などさまざまなものが刺激となっており、現代社会ではいくら健康や食生活に気を付けても避けられない病気となっています。

日本のがんの動向

 厚生労働省の発表では約50%の人が生涯に一度はがんに(かか)るという結果が出ており、がんによる死亡率は約30%となっています(2011年/男性32%、女性24%)。これに対し老衰はわずか数%と低く、現在では何らかの疾患によって亡くなるという方がほとんどです。がんによる死亡の内容をもう少し詳しく見てみると、1年間で気管支および肺がんで約7万人、胃がんで約5万人、大腸がんで約4万人、肝がんで約3万人が亡くなっています。

PET検査とは?

 人間の細胞はブドウ糖を栄養源に活動をしています。がん細胞も例外ではなくブドウ糖を栄養源に成長しています。がん細胞は成長が速いため正常細胞よりも多くのブドウ糖を消費しています(図)。PET検査はこの点を利用した検査です。
 ブドウ糖に放射性同位元素をつけた18F-FDG(エフディージー)(FDG)という薬剤を投与すると、がん細胞はブドウ糖と一緒にFDGをたくさん取り込み、がん細胞から微量の放射線が出るため、体内の放射線を検出するPETカメラ(写真1)でがんが映ります(画像1、2)。PET検査に使用するFDGは日本核医学会および日本アイソトープ協会が定めるガイドラインに準拠し、サイクロトロン(写真3)と合成装置を使って、検査当日に製造して品質管理試験に合格したものを使用します。この薬剤による副作用の心配はありません。

  • 図 がん細胞も正常細胞もブドウ糖を栄養源にして活動しています。しかし、がん細胞は正常細胞よりも多くのブドウ糖を消費します
  • 写真1 当院のPET/CT検査装置
    PET/CT装置は、がん細胞に取り込まれたFDGから出る微量の放射線の検出が可能で、CT画像と併せて病変の部位や広がりを正確に診断できます
  • 画像1 左乳がん腋下リンパ節転移
    PET/CT検査で、左乳腺内にFDGが集積している腫瘤があり()、乳がんと診断できます。左の(わき)のリンパ節転移にもFDGが集まっています()。PET/CTでは病変の広がりを一度に検査できるため、適切な治療法を選択できます。甲状腺にもFDGが集まっています([G]→[/G])が、これは慢性甲状腺炎によるものです
  • 画像2 肺がんと肝転移
    右肺の上に白く光っている部分()がFDGの集積した肺がん。同時に腹部(肝臓)にも黄色く光っている部分()があり、肺がんの肝転移です。肝転移はCTでははっきりと映っていませんが、PET/CTの画像でははっきりと映っており、CT画像と重ねることで病変の場所が正確に分かります。このようにPET検査では全身の検査が一度に行えるのが大きな長所です

PET診療

 がんは、進行程度のどの段階で発見、治療するかで、その後の生存率が大きく違ってきます。PET検査はおよそ1cm前後のがんも発見することができるため、病変の部位やその周囲への広がり(画像1)、さらに転移巣などの遠隔部への広がりを正確に評価できます(画像2)。つまり、手術、化学療法など病期に合わせた適切な治療法の選択が可能になります。
 例えば肺がん検診は肺だけ、胃がん検診は胃だけの撮影しか行いません。しかし、PET検査は一度に全身の撮影を行うため、全身のがんを見つけることも可能で、検診としても非常に優れている検査といえます。

大阪南エリア初のPET施設

 当院は2005年10月にがん診療において高度医療へのさらなる取り組みの1つとして、がんの早期発見、進行度診断などに有効なPET装置を大阪南エリアとしては初めて導入し、高度先端総合医療センターPET分子イメージング部を設立し運営しています(写真2)。同部にはFDG製剤を作成するサイクロトロン(写真3)と合成装置をはじめ、PET検査用のPET/CT2台を設置しています。

  • 写真2 高度先端総合医療センターPET分子イメージング部
  • 写真3 当院のサイクロトロン
    PETに使うFDG製剤は、当施設内のサイクロトロンと合成装置を使って、検査当日に製造して品質管理試験に合格したものを使用しています

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